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3件
散歩もの
文具メーカー勤務のサラリーマン・上野原が、勤務中や休日に歩いた都内の風景の数々。北品川、目白、吉祥寺、井の頭公園…。ふと目にとまった出来事を淡々と描くことが、ここまで上質な人間ドラマを生み出した。「孤独のグルメ」の黄金コンビが贈る、極上のエッセイ風コミック。
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散歩もの
2009/11/14 07:59
「孤独のグルメ」ほどの派手さはないけど……。
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「孤独のグルメ」の久住昌之×谷口ジローコンビによる散歩マンガ。季刊誌「通販生活」に二年間(つまり、四回×二年=八話)連載されたものに、原作者のあとがきと原作うらばなしを収録したもの。
ページ数的にはこぢんまりとしているが、密度は、濃い。
特に、谷口ジローの絵は、薄墨やトーンを多用しているため一見白っぽい印象を受けるものの、その実、「孤独のグルメ」以上の緻密さ。季刊誌、ということで、スケジュール的にも余裕があったせいかな? むしろ、こんな絵を文庫サイズに縮小印刷できたことが、異常。
内容的には、主人公がいろいろな場所を散歩して、そこで見聞したものに触発されてちょこっと内省的なったり過去を振り返ったりする、ってだけの、エッセイ的なマンガ、でしかないのだけれど、「空間的な移動=散歩」と「回想=主人公の内面内での、時間的な移動」とが密接にリンクしていて、ページ数のわりには随分と奥行きがあるように受け止めてしまう。
「孤独のグルメ」における「ゴローちゃん」ほどはっちゃけた過剰なモノローグに彩られているわけではなく、その意味ではかなり地味な内容なんだけど(なにせ、ものが「散歩」だ)、淡々と何度も読み返したくなるような妙味がある。
散歩もの
2014/04/05 15:44
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0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:REON - この投稿者のレビュー一覧を見る
作者が好きなので手に取ってみた一冊。独特の雰囲気で面白い。
散歩もの
2009/11/06 18:15
不思議な安らぎと懐かしさを感じた作品。谷口ジローの絵の雰囲気が、とても素敵です。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:東の風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
忘れ難い漫画『孤独のグルメ』(扶桑社)でタッグを組んだふたりが、自分の好きなようにのんびりと歩く散歩の面白み、散歩の楽しみをテーマに描いた作品。一話八頁の作品が、全部で八つ、収められています。「エジソン電球」「品川の雪駄(せった)」「古絵本」「ヒッピー祭り」「真夜中のゴーヤ」「犬と軟球」「ハーモニカ横町」「目白のかき餅」の八つの話。
話の主人公は、東京の吉祥寺に住んでいるサラリーマン、上野原(うえのはら)。彼が東京界隈をぶらりと歩くうちに、なんか面白そうな店を見つけて立ち寄ったり、妙に心地よい路地裏の魅力を発見したりするという、ただそれだけの話です。ただそれだけの話なのに、これがいい味出しているんですね。東京にまだ、こんな店や空間が残されていたんかなと。ホッとするのとともに、不思議な安らぎと懐かしさを覚えました。
巻末の「原作うらばなし」で久住(くすみ)昌之が語っているとおり、作画・谷口ジローの絵のタッチ、雰囲気を持った絵の魅力が素晴らしいですね。なかでも、「第五話 真夜中のゴーヤ」の中、主人公が歩く夜の町の絵は見事だったなあ。人みな寝静まり、明かりがぽつぽつと灯る通りの絵が、詩情をたたえて描かれている。本の中にすーっと誘いこまれるような気持ちに気分になりました。
残念だなあと思ったのは、セリフの字がちっちゃくて読みづらかったのと、絵の魅力はやはり薄まってしまっているんだろうなってこと。文庫版サイズに縮小している本の制約上、これはどうしても仕方ないことなのですが・・・。逆に考えれば、オリジナル本を大幅に縮小していながら、これだけの絵の魅力、絵のたたずまいが残されているのは貴重なのでしょう。八つと言わず、せめてあと四話くらい、作品を読みたかったなあ。それが一番、残念だったかも。