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敗者の嘘 アナザーフェイス2
著者 堂場瞬一 (著)
神田神保町で、強盗放火殺人事件が発生。しかし容疑者は連日の任意取調後に突然自殺し、翌日には真犯人を名乗る謎の女性弁護士が出頭してきた。混乱する特捜本部──その時、刑事総務...
敗者の嘘 アナザーフェイス2
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敗者の噓 (文春文庫 アナザーフェイス)
商品説明
神田神保町で、強盗放火殺人事件が発生。しかし容疑者は連日の任意取調後に突然自殺し、翌日には真犯人を名乗る謎の女性弁護士が出頭してきた。混乱する特捜本部──その時、刑事総務課勤務の大友鉄はOLとの合コン中だった。元上司の福原から出動要請を受け、特捜本部へ急行するが、一切本音を見せない女と対峙して「何かがおかしい」と違和感を覚える。事件はよからぬ方向へと動き出していた……。バツイチ子持ちの異色刑事シリーズ、待望の第2弾!
著者紹介
堂場瞬一 (著)
- 略歴
- 1963年生まれ。茨城県出身。青山学院大学国際政治経済学部卒業。「8年」で第13回小説すばる新人賞受賞。ほかの著書に「複合捜査」「夏の雷音」など。
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口うるさい義母、っていう存在が厭ですね。なんだか、やることなすこと押しつけがましい。矢島聖子さえいなければ★五つ、ってヒドクナイ? いえ、いいんです、これは女の闘いでもありますから、って嘘ですけど・・・
2012/01/10 19:24
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
え、もう第二弾が出るの? っていう感じです。いえ、面白いシリーズですから、矢継ぎ早に作品が出版されることについて不満はありませんが、ほかの作品も同じようなペースで出ているので、いくらなんでも書きすぎだろ、なんて思うわけです。とはいえ、装幀も含めて頑張っているな、というのが実感。とくに柳沼浩胆の写真を上部に配した征矢武コンビのデザインについては前作同様ただただ関心。どこに出しても負けない素晴らしさです。
カバー後の内容紹介は
*
神保町で、強盗放火殺人事件が発
生。容疑者にスポーツ用品店店長
の渋谷が浮上する。だが、任意捜査
の最中に渋谷は自殺。翌日には真
犯人を名乗る女性弁護士・篠崎優
が出頭する。混乱する特捜本部に、
かつての上司・福原の命令で、育
児のため一線から外れた刑事総務
課の大友鉄が加わるが……。「ア
ナザーフェイス」シリーズ第二弾。
*
となっていて、三部構成の作品です。目次紹介を兼ねて、各部のタイトルを書いておけば、
第一部 名乗り出た女
第二部 拉 致
第三部 敗残者たち
です。今回の大友ですが、前作に比べて一段とイケメンぶりと変装が際立っている気がします。内容紹介はこれくらいにしておいて、登場人物について書いていきましょう。まず、主人公の大友鉄ですが、捜査課ではなく刑事部刑事総務課に所属所しています。元演劇青年で、イケメン、おまけに33歳と一番のモテキにありますが、「無意識過剰」と言われるほど、妻以外の女性には興味がありません。
妻・菜緒と大友とは大学時代からの知り合いで、彼女はスポーツ万能、大学在籍時は、ラクロスとスキーのサークルを掛け持ちしていました。見かけによらずスピード狂で、愛車は、現在も鉄が乗っている赤いアルファロメオ147GTAです。 その最愛の妻・菜緒を三年前に交通事故で亡くした後は、息子の優斗を自分の手で育てるために、捜査一課からの異動を希望し、現在の勤務となっています。
優斗が、大友鉄の一人息子で、小学二年生。地元のサッカー少年団に所属していますが、大友に似て運動神経は良くないということが今回明らかにされます。家庭環境のせいか、同じ歳の少年たちより、やや大人びた口をききますが、基本的には父や祖母の愛情を受け素直に育っています。ピーマンと小魚が苦手というのは、ある意味、典型的な現代の都会の小学生。
で、基本的に大友は部署を変わったため、定時に帰宅することが可能なはずですが、彼の刑事としての能力を惜しむ刑事部特別指導官の福原聡介が、鉄指名で仕事を回すため、望んでいた時間に帰ることができないことがあります。そんなとき、大友に代わって優斗の面倒を見るのが矢島聖子、菜緒の母親で大友にとっては義母になります。
聖子は夫とは死別して、一人暮らしをしていますが、家は大友のところに近く、そこでお茶の教室を開いています。孫の優斗に「おばあちゃん」と呼ばれるのをことさら嫌がり、「聖子さん」と呼ばせたり、大友には、再婚のための見合いをたびたび勧めたりと、少々煙たい存在。また、大友が事件で泊まり勤務の際は、一応、優斗をいやいやながら預かるポーズをします。
大友の仕事仲間では、まず高畑敦美が面白い。あまり聞いたことがない刑事部捜査共助課所属で、大友の同期。落としの名人です。高校時代はハンマー投げで、インターハイのも出ていて、大学時代は女子ラグビーを経験しているという変わり種。体格が大友と同じくらいの大柄ながらかわいい顔立ちから「アイドル系女子レスラー」と警察内で評されています。
芝克志は、刑事部捜査一課所属の刑事で、大友が捜査一課にいた時はコンビを組んでいました。迫力ある凶暴な顔の持ち主で、捜査では空気を読まず先走って暴走してはたびたび問題を起こし、大友に公私ともども干渉しますが、実は大友のことを一番気にかけている同期生。現在、彼女が出来ず、合コンにあけくれる独身生活を送っています。
以上が、このシリーズ共通の主な登場人物で、今回、捜査陣を悩ませることになる一人が渋谷博己です。「シブタニスポーツ」2号店店主で、神保町界隈に展開する「シブタニスポーツ」の御曹司です。神保町で発生した強盗放火殺人事件で、被害者の預金をATMから引き出している映像が見つかり、被疑者として神田署で任意取調を受けますが、ホテルに宿泊しているときに服毒自殺してしまいます。
もう一人が、新神田弁護士事務所所属の二十八歳の女性弁護士・篠崎優です。彼女は神保町で起きた強盗放火殺人事件の被疑者・渋谷博己とは幼なじみ。渋谷が自殺した直後に、事件の真犯人として名乗り出ます。自宅は神保町で、古書店を経営していましたが両親が死んだ現在は店をたたみ、その二階に一人暮らしをしている変わり種です。
彼らに、前巻にも登場した東日新聞の遊軍記者・沢登優香が絡んで話は展開していきます。優香は凛としたビジュアルからは想像がつかない「猪突猛進」タイプの事件好き記者で、署名原稿を書くのが生きがい。昨夏に起きた銀行員子息児童の誘拐事件で大友と知り合い、夜討ち朝駆けで大友から情報を引き出そうとします。今回の事件でも、なにか特ダネを掴んでいる様子です。
はたして、渋谷以外に真犯人はいるのでしょうか。そして大友に恋人はできるのでしょうか。ミステリとしてよりも、普通の家庭小説で、ただ父親の職業が警察官である、そう思って読んでもらうのが一番でしょう。