- 販売開始日: 2024/09/05
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-466001-8
ロリヰタ。
著者 嶽本野ばら (著)
ゆるされぬ僕達の想いをつないでくれたのは、携帯メールだけでした。君からのメールは爆弾や蒼い傘の絵文字まじりになりましたね。雨が降ってます、僕のこころにも。でも、羽ばたいて...
ロリヰタ。
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商品説明
ゆるされぬ僕達の想いをつないでくれたのは、携帯メールだけでした。君からのメールは爆弾や蒼い傘の絵文字まじりになりましたね。雨が降ってます、僕のこころにも。でも、羽ばたいてゆける。たとえ「非常識」と誹られようと、ひどい汚名を着せられようと……。そっとひとり涙する。痛く、哀切な表題作と「ハネ」、全二篇。
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軽率といわれるのを承知で断言しちゃうけどね、今年の恋愛小説はこれで決まりだね、ピュアで真直ぐな心がいいんだよ、『世界の中心で愛』なんてぶっ飛ぶぜ
2004/04/07 21:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
結構ストイックな感じのカバーデザインで、ちょっと見には写真関係の本、例えば写真評論家の飯沢耕太郎のそれを思わせて、このまま書店のデザイン関係の棚に置いても少しも違和感がない。そんな装幀は松田行正、写真は安珠とある。でだ、愚かな私はこのカバーの何処に写真が使ってるんだと思うのだが、まっさかカバー折り返しのところに載っている嶽本野ばらのポートレートに安珠と書いてある、それを指すのではあるまいな、と下種の勘繰りってやつをしてしまうのである。
でだ、正直、この本のタイトルを見たときに、読もうかどうしようか悩んだものである。ナボコフの『ロリータ』も大分前に読んだことがあるけれど、大して面白くなかったし、中学生と高校生になる娘に「なにそれ」なんていわれてもなあ、と迷った次第である。ましてカバー後ろの折り返しに載っている安珠撮影の嶽本野ばらの写真が、美しいというよりは昔のパンク野郎みたいで、少しもそそられないしなあ、と躊躇うのである。ところが
「ロリータというものがファッションの一つのスタイルであることを知らぬ者にとっては、男子である僕がロリータを愛好しているといえば、ロリコンだと勘違いしてしまうのは、仕方ないといえば仕方のないことなのです」「ファッションに於けるロリータとは、ロココ趣味的な、装飾過剰の「可愛い」ことが最優先されるストリートファッションです」とくると安心である。それって森博嗣のVシリーズにでてくる小鳥遊練無でしょ。で、やっと本題。
「ロリヰタ。」の主人公はロリータ趣味のカリスマ的存在の20代の小説家、話は彼が所沢に住むモデルの、20代とも高校生ともつかぬ少女?に出会うことから、ファッション関係のブランド名がたくさん出てくる、それでいて斎藤美奈子いうところのカタログ小説とは一味違った、あまり性的な臭いのしない気配で始まる。このロリヰタ。の最後に付く「。」が曲者だね。「モー娘。」みたいなもので、無知な私はどちらについても????ではあったのだ。
しかし、だ、「ロリヰタ。」だけだったら、嶽本って結構読ませるじゃん、で終わってしまったかもしれない。無論、絶対に他の本も読んでやるぞ、と誓わせるくらいの力はあったけれど。しかし、「ハネ」を読み終えた瞬間、いや、これは騒がなければいけないと思ったのだ。何が『世界の中心で愛を叫ぶ』だ! 印税で一億稼ごうが、50間近の作家が描いた青春物語なんかより、やっぱり若い世代の恋愛談には敵いっこないと。
この話の主人公は、友だちをもつことのできない女子校生である私である。私は、背中に大きな羽根をつけ、ちょっとロリータ風の服装に身を包み、日曜日になると表参道に出かける。露店で50枚のハネを売るためにである。私の背にある羽根、そして表参道のはずれでビロードの布の上に置かれて買う人を待つハネ、『花のノートルダム』が贈ってくれた切なく美しい愛の話、それが「ハネ」である。
内容については、これ以上は触れない。ただ、どちらの話も軽さを売りにはしていない、そしていかにも若い登場人物たちにふさわしいピュアな恋物語である。そして、極めて古典的な組み立ての話である。さりげない出会いがあり、戸惑いがあり、そして障害が現れる。それは、つねに権力という姿で主人公の前に立ちはだかる。そのときの主人公の姿が、迷いを突き抜けた彼らの覚悟が堪らなく美しいのである。
震えたのである。上手い、とか、凄い、とかそういう技術以前の、もっと単純で真っ直ぐな力が、私を打ちのめすのである。タイトルが与える、ちょっとマイナス気味のイメージに惑わされることは無い。あなた一人が読むだけでは勿体ない、もし子供さんがいるなら彼らに、恋人がいるならその人に、自分を分かってくれない相手がいるなら、そいつに贈りたい。今年の恋愛本は、この一冊さえあれば十分だ。
王子たまはどんな人間なのか…
2004/04/16 10:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:13オミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロリヰタの王子たまは優しすぎる。というか一貫性がない行動をとっている。普通は小学生とわかった段階で「君には将来がある」とかなんとか言って手を引く。それは自分の地位を守るという大人の保身。それをやらない。では、行くトコまで行くのかというとそうでもない。ちゅうしながら見守る。狂おしいほどの作家としての豪愛もない。これは普通の人間がやることだ。どちらかというと王子たまは厭世的で個人的だが、結局は本当の心を見せてくれない。とっても消化不良の読後感だった。
とはいえ、メールの着信音が「加護ちゃんです、加護ちゃんです」ってのがインタビューのときに流れるっていうくだりは好きです。嶽本作品にはコミカルなところが随所にあっていい。小説の中にメール画面を差し挟んでいるところも画期的だった。ロリータ服というマニアな部分をうまく二人の出会いにからめるという感じは自然で面白いと思った。ロリータ服を出会いの材料とだけ捉えて、そこに重点を置かないからいい。置かれてしまうとロリータ服に興味のない読者は辛くなる。
登場人物が極端に少ない分、かれらのコアを作る背景や過去の事件なんかを嶽本氏には描いてもらいたい。そうすることで、人物に深みが増すはずだから。そうすれば、感情移入がしやすくなって読者の心に熱いものが流れるのは間違いないだろう。
切なくて切なくて
2006/04/30 08:36
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:RIO - この投稿者のレビュー一覧を見る
ロリイタ本編よりも「ハネ」のほうに感動した。
一人の男の子だけを信じて夢をかなえようとする少女の心情が切なくて最後の方には泣きそうになる。真っ直ぐで素直な女の子ならではの辛い出来事もあるが、それを乗り越えていこうとするところを見ると胸が痛くなるし頑張れと励ましたくなる。
全体的に見ると幸せの表現より切なさの方が勝っていて泣きたいときに読む本だと思う。野ばらさんの作品の中でも特におすすめしたい。気分が乗らない日に読んでこの作品のせかいに入り込むのもいい。
ロリイタというのを聞くと、どうも少女趣味で嫌な感じだと思う人も中にはいるだろうがこの「ロリイタ」という本はそういったものを全く感じさせない。大人の恋愛小説として見ることも出来る。むしろ本当の恋愛を突き詰めたい人は読んでみるべきではないだろうか。