- 販売開始日: 2011/06/03
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-100603-1
ヴィヨンの妻
著者 太宰治 (著)
酒と女に明け暮れる無頼派の作家。26歳のその妻は夫の尻ぬぐいに奔走するが……。古い価値感が失われ新しい価値観が生まれようとしている戦後の混乱の中、必死に生き抜こうともがく...
ヴィヨンの妻
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商品説明
酒と女に明け暮れる無頼派の作家。26歳のその妻は夫の尻ぬぐいに奔走するが……。古い価値感が失われ新しい価値観が生まれようとしている戦後の混乱の中、必死に生き抜こうともがく男と女の愛のかたちを繊細に描いた表題作。その他太宰晩年の好短編を多数収録。
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太宰の書くダメ夫最高
2021/05/07 17:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひとみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
太宰の書くダメ夫が最高に好きで今回も楽しかったです。
短編集ですが、タイトルにもあるヴィヨンの妻がいちばん好きです。
こちらに収録されている短編はすべて細君が旦那より1枚も2枚も上手ですが、ヴィヨンの妻は旦那からの迷惑毎をハッタリでかわし、旦那への愛は冷めつつも家族としての愛を捨てきれず自分たちを客観的に見ている感じがまたとても好きです。
精神的に弱くて、お酒と女(あと阿片か?)に逃げるだめだめ夫は読んでいて、馬鹿だなぁと思いつつなぜか愛おしいです。現実に居られたら困りますけど。笑。
愛おしくて読み返したくなっちゃう。
太宰モチーフに書かれている短編小説ですがどこまでが本人でどこまでが小説なのかな。
そこも気になります。
やっぱりいいかも、太宰
2016/05/18 07:25
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
太宰治の晩年の名作短編を収めた新潮文庫の奧付を見ると、昭和25年12月発行とある。
太宰が山崎富栄と玉川上水で心中したのが昭和23年6月13日であるから、わずか2年あまりで文庫化されたということになる。
以来、版を重ねて、私が手にしたものは平成21年10月で114刷とあるからすごいものだ。
この文庫には表題作である「ヴィヨンの妻」のほか「親友交歓」「トカトントン」「父」「母」「おさん」「家庭の幸福」、そして太宰の忌日の名前の由来となった「桜桃」の8篇が収められている。
こうして作品名を書いているだけで、甘酢っぱい気分になってしまう。
何しろこれらの作品を読むのは何十年ぶりのことなのだから。
ご多分にもれず青春期に太宰にはまった。新潮文庫に収められた作品の数々を読んだ。全集も買った。太宰の生涯を追った記録なども読んだ。
しかし、気がつけば、太宰から遠く離れた時間を過ごしている。
何かのきっかけがあった訳ではない。自然と太宰から離れていった。いつかまた戻ることがあるだろうと、全集を手離せないでいるが、その機会は訪れていない。
38歳で亡くなった太宰の年齢をとっくに過ぎて、それでもこうして読み返してみると、桜桃を齧った時のような甘酸っぱい気分になるのだから、太宰という文学者の影響は大きい。
晩年のこれらの短編をすっかり忘れていたわけではない。
「父」のラスト、「義。義とは?」、「ヴィヨンの妻」の「椿屋のさっちゃん」、「桜桃」の「お乳とお乳のあいだに、・・・涙の谷」、そして同じ「桜桃」の「子供より親が大事、と思いたい」と次々と言葉が浮かんでくる。
その一方で、こういう作品だったのかと今さらながらに感じ入ったものもある。
それが「母」。
「父」という作品が太宰の自身の家庭を描いた私小説めいた造りになっているからつい「母」もそうかと思ってしまうが、この短編はそうではない。宿屋での一夜、隣の部屋の男女の語らいに出てくる男の母の年齢。それにはっとする主人公。
太宰ではないが、つい、「きどりやがって」と言いたくもなる名篇だ。
太宰の晩年に描かれた作品をおさめた短編集
2023/05/30 19:56
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
読みやすかったし面白かったです。でも、その分だけ光と翳が感じられました。人に駄目な男と呼ばしめるような悪癖がお人好しと同居することはこんなに苦しいものかと、思いました。
ヴィヨンの妻
2002/03/14 13:07
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ポンタ - この投稿者のレビュー一覧を見る
放蕩無頼な作品。どうしようもない、奈落の底にいる女性を中心にして、周辺にいる男性たちを描いている。なんて悲しい作品なんだ。でもどこかしら最後に希望を感じてしまった。
許せないけど優しい
2022/07/18 17:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちゃびんおつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
生きづらさを抱えた人間が家庭を持つとこうなるのかと想像できる
あそこまで逃げ出すことに本気になれない僕ら凡人たちは、羨ましく思いつつ許せないと憤慨しながらも、どこかこれらの主人公たちを許してあげられる世の中であってほしいと自分を重ねて願う
流石
2021/04/03 12:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:さな - この投稿者のレビュー一覧を見る
太宰先生、流石!という感じでした。
暗い状況の中でも希望が見えてきて、続きが気になったので一気に読み終えてしまいました。
以前に読んだ本も含めて、暫くは太宰治の作品を集中的に読んでいきたいと思います。
太宰治を知るのに最適な1冊
2017/09/11 17:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:味噌なす - この投稿者のレビュー一覧を見る
太宰治といえば、「人間失格」がもっともポピュラーで読みやすいと思いますが、この本も負けてはいないと思います。人間失格は太宰治が自身のことを書いたものとして有名ですが、「ヴィヨンの妻」に出てくる登場人物(男性)もほとんどが酒飲み、女性好き、自殺願望を持っている、など太宰治の人生に共通するものが多いので、彼らの行動や言動を通じて太宰治の人生観をたっぷり堪能できるのではないかと思います。「人間失格」をすでに読み終えた方には特におすすめしたい1冊です。
悩みわずらい死に呪縛された?いや、太宰は立派に道化を通して、諧謔をたたえながらすっと向こうの世界に移っていったのではないか。終幕の3年間に書かれた短篇集。
2001/12/07 13:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
好きな作家・久世光彦さんが「隠れ太宰」だという。人が訪ねてきたときに照れくさいから全集はあえて揃えないで、太宰作品の文庫を書棚のあちこちに蔵書しているとか。小説はやや暗くてダルなのだけれど、書評やエッセイのふところが深くてすごい人だなと思わせられる書き手・柳美里さんも、10代に太宰を読み漁り一番大きな影響を受けた作家だという。気になる人たちが太宰を気にしている。
それに加えて、最近ちょっと関わった仕事で、中学生ぐらいの若い人たちに太宰がよく読まれていることを知った。もちろん学校の指導もあるだろうし、文庫フェアや読書感想文コンクールの課題図書向けに太宰はロングセラーなのだから、必ずしも積極的に選ばれた本ではないのかもしれないが、時代が移っても色あせることなく、むしろかえって生々しく迫ってくる太宰がいるのだと実感した。有名な作品しか知らないけれど、この際、太宰をもっとしっかり捉えておきたいなという気がしたのである。
この本は、表題作にある「ヴィヨン」に惹かれた。大泥棒の風来坊だった詩人ヴィヨンについては、山之口洋さんが『われはフランソワ』という小説で、その知られざる生涯を想像たくましく書いている。それを読む予習に、太宰にヴィヨンがあったなと思い出したのである。
「ヴィヨンの妻」は、主人公の無頼派詩人・大谷の家に夫婦者がのりこんでくるところから始まる。穏やかではない。飲食店を経営するふたりのところで、さんざん飲み食いしてツケをためこんだ大谷が、事もあろうに大晦日の支払い用に用意した大金を取って逃げたのだという。苦情を聞く大谷の妻は、夫の酒毒のせいか成長が遅れている小さな子をかかえながら家計のやりくりに苦労を重ねる毎日であるが、夫のしでかしたことに何故か笑いが止まらない。
大谷は罪の意識にさいなまれて眠れない夜を過し、いつものようにふらりいなくなる。困った妻は、何の当てもないまま、子連れで夫婦の店に謝りに行き、一日待てばお金をもってきてくれる人が現れるとウソをつく。そして成り行きで店の手伝いを始め、そのため店は活気づき、「何だ、こんな手があったのか」と気づく。そうこうするうち、大谷が女連れで金を持って現れ…。
この短編に出てくるような、しょうのない男が登場する話が他にもいくつかある。太宰自身の投影といってしまえば話は早い。でも、金と女にだらしがなく、女房や子どもに生活費さえ渡せない無頼の輩である自分を責めながらも、そうするしかない自分に愛想がつきた。だから葛藤の末、死んだ…というイメージとは異なる男の姿がここにはある。死に近いころの作品には何とも重いものが垂れ込めているような感じがしないでもないが、太宰の洒脱な諧謔は、まだまだ随所に生きていると思えるのだ。
どぶの溝の向こうにひょいと足をかけるように実にあっけなく、あるいは冗談半分にヒヒヒ…と笑いつつ、そんな風にこの人は逝ってしまったんじゃないかと思えるユーモアが感じられた。
個人的に文章が合いませんでした
2016/01/17 22:43
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Lilypiano - この投稿者のレビュー一覧を見る
以前から、太宰作品は好き嫌いがはっきり分かれると聞いてはいたのですが、本書収録の『トカトントン』のタイトルに惹かれて購入。初太宰です。
文章の感じが私には合わず、本書を最後まで読むのが少し苦痛でした。
先にあげたトカトントンも物語のテーマは興味深かったけれど・・・という感じです。
まだ太宰作品は本書しか読んでないので現時点で嫌い、と言い切るのは早いかもしれませんが、しばらく手にとることはない気がします。
感想
2020/03/31 09:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もも - この投稿者のレビュー一覧を見る
今までなんとなく避けてた太宰治。
暗い話ばかりの読みづらい作風なのかなって思っていたら、ユーモアに飛んでいてスラスラ読めた。
でもみんな太宰治が主人公じゃん!という感想が強い。