今読み返してみても、やっぱりこの人は直木賞をとるべくして取ったんだなあ、っていうのがよく分かります。ともかく、タイトルの叫び、その意味がヒシヒシと伝わる作品集です
2006/03/26 23:08
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
再読です。実際は単行本のほうで読み直していますが、入手しやすい文庫本のほうに評を寄せさせてもらいました。ともかく、読まなければならない本は沢山あるんですが、どうしてももう一度読み返したくなってしまったので、こんな変則技を使わせてもらいます。
で、乃南は1996年、つまりこの本が単行本として出版された年に『凍える牙』で直木賞を取ったわけで、カバーの案内文がそれを表しています。引用しておけば
「今夜、桐江は恋人だった。が、明日からは愛人になる
エリートサラリーマン依田は、家庭的な真純と性に奔放な桐江の二人と同時につき合っていた。人生の伴侶には真純を選び、その家庭を守りながら桐江との関係も続けようと考えた依田は、挙式前夜を桐江の部屋で過ごした。が、その夜の甘い会話が、翌日の惨劇をもたらすことに・・・。(「二人の思い出」より)
男と女の愛憎を描く、真直木賞作家のサスペンス傑作。」
初版の単行本の装幀は中原達治、ま、上手いとも下手ともいえない微妙なレベルではありました、このデザイン。でも勝負は、小説の中味。簡単な内容紹介をしながら書いておけば
玉の輿に乗ろうとしている女性の結婚式上での不安「キャンドル・サービス」(92)、不倫相手の男がやっと離婚して正式に結ばれた主人公の前にあるのは見苦しい男の「背中」(95)、好きだと告白したものの撥ねつけた相手が憎らしい。もてない男の「お引っ越し」(93)。
ラブ・ホテルを職場にしてひっそりと暮らす母子の「たのしいわが家」(96)、病院で付き添い婦を敵に廻すと「口封じ」(91)、自分より才能がありながら結婚して早々に引退した彼女が再びプロの世界に戻ってきた「挨拶状」(95)、カバー紹介にある「二人の思い出」(94)、あとがき、となっています。
ちなみに( )内の数字は、作品が発表された年で、直木賞受賞の年はともかく、その5年前の作品まであるのには驚かされます。無論、受賞前だから作品レベルが低い、なんていうことは少しもありません。ただし、どのお話も明るい、数っきりした、というものでもありません。
どちらかというと、暗くて哀しい、今流行の言葉を使えば「切ない」なんていう話ばかり。でも、というかだからこそ面白いです。男と女の問題がむき出しにされています。絵空事?いえいえ、実にリアルでしょう。だって1990年あたりを境に、男と女の仲というのが現実世界でも大きく変わってきています。
離婚なんてあたりまえ、私の周囲にどれだけ離婚家庭が多いか、生まれた頃と様変わりです。犯罪だってそれまでは揉み消され画されていたものが表に出てきています。苛めにしたって、それまでは教師の力で外に出てこなかった。それが隠し切れなくなった。そういう動きが見事にでています。
だから、タイトルが生きるんでしょうね。思わず言いたくなってしまう言葉、それが・・・。直木賞をとって当然の人だったな、よかったな、って思います。
一面を見せつけられた
2020/09/16 18:45
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投稿者:ぶっちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
人として、こうはなりたくないであろう一面を見せつけられた思い。
でも、いつでもそうなってしまう恐ろしさも感じた。
改めて、日常に幸・不幸が在り、それとどう向き合うか問われ続けていることに気付かされたような、それを感じるだけで自分にも闇の部分があるのだと思った。
毒を制するユーモア
2002/02/24 22:48
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投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
乃南氏は毒のある物語を書きながらも、その描写はさらりとしている。タイトルも「お引っ越し」「たのしいわが家」「二人の思い出」など、まるでユーモア小説のようだ。それでいてブラックユーモアにはなっていない。
登場人物は性格の悪い人間ばかりだが、それとて「悪人」というわけではない。性格の悪い人間ばかりが出て来るのは、作者が人間を嫌っているからではなく、むしろ「完全な悪人は存在しない」と思っているからではないのか。「善人」が出てこない代わりに、「悪人」も出てこないのだ。人間とは、そんなものなのだろう。
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感じの悪いというか、後味の悪〜〜い話ばっかりです。
他者に虐げられた女の復讐譚ばかりなので、
誰も救われない。
虐げられた女たちが、手放しで味方したくなるような
善良さを持って居たら、もっと水戸黄門的な爽快感で
読了できたのになぁ。
やってる方もやられてる方もどっちも陰湿。
あ〜、救われない。
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短編集。
ラストにえっと思うような展開あり。
重いものも、そうなるのは当たり前と思うものも。
女性の心理がよく描かれています。
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◆あらすじ◆
<今夜、桐江は恋人だった。が、明日からは愛人になる>
家庭的な真純と性に奔放な桐江───大手商社に勤める敏腕社員の依田は二人の女性とつき合っている。
人生の伴侶には真純を選ぶが、桐江との関係も続けたい。
結婚前夜、依田は密かに桐江の部屋で過ごした。
が、その夜の甘い会話には、艶麗な罠が潜んでいた……。(「二人の思い出」より)
男女の愛憎を描く傑作心理サスペンス!
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男女の愛憎を描く心理サスペンスの短編集です。
「キャンドル・サービス」
財産もなければ親もいない直未は、岳彦との結婚を控えていた。
岳彦は、親がお金持ちで派手な結婚式をすると言う。
直未は、派手で無い方がよかったのだが・・・。
結婚式当日、直未は、一日我慢すればいいと思いながらその日を迎えた・・・。
「背中」
恭子は、夫の和正と喧嘩ばかりする日々を過ごしていた。
結婚していた和正を別れさせて、この人と暮らせば幸せになると思っていたのだが・・・。
「お引越し」
村上は、部下の木下爽子を嫌っていた。
年を追うごとに、口答えが多くなり無愛想になりそして村上に対する反発も強くなっていた。
村上は、彼女をいじめるのだが・・・。
「たのしい我が家」
ラブホテルで住み込みで母親と働いてる寛子。
中学の時に父親に母と一緒に見放されて、ある事件をきっかけに各地のラブホテルを転々として暮らして来たのだった。
今、住み込みで働いてるラブホテルに従業員として若い男が来たのだが・・・。
「口封じ」
付添婦の仕事は、好きでしてる訳ではない。
孝枝は、家庭から少しでも離れようと仕事を選ぶ時に学歴が無いためにこの仕事しかなかったのだった。
孝枝は、今日も嫌々ながら仕事をするのだが・・・。
「挨拶状」
藤川は一通の手紙に苛立っていた。
個展を開くようになって知名度も出てきたカメラマンの藤川。
手紙の送り主の右子は、同じ師匠に付き同じ時代を生きていたのだが、師匠は右子の才能にひかれ可愛がっていた。
突然辞めて結婚した右子は、再びカメラを持って小さいながら個展を開くと伝えてきた・・・。
「二人の思い出」
大手商社に勤める依田は、二人の女性と付き合っている。
家庭的な真純と性に奔放の桐江。
伴侶に真純を選ぶが桐江との関係を続けたいと思っていた。
結婚前夜、依田は桐江と夜を過ごす。
そして、結婚式当日・・・・。
と、言う感じで送る7つの短編集です。
ちょっとあらすじだけでは解らないと思いますが、そこは、乃南アサです。
上手く纏まっています。
なかなか、面白かったですね
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この7つの作品はどれも普通で身近にある事が題材になっているので、
誰が読んでも思わず頷いてしまうと思います。
女性ならではの視線から男性視線描かれているので、
更に細かい女性の心情が手に取るように描かれているので
感情移入もしやすいし、推理もしやすくて、
自分の推理と合致した時の嬉しさが痛快でした。
特にお引っ越しでは出世を目指していて、何かと口うるさくて嫌な男性が、
同僚の女性にやたら気に入らない態度を取っていたりしていたのに、
部長の引っ越しに手伝いに行ったら逆転の展開になり・・・
もうこれには胸がすっきりとして読みながらほくそ笑んでしまいました。
他の作品でもラストは女性からギャフンと言う逆襲があるので、
もしかしたら、男性はこれを読むと女性が怖くなるかもしれないです。
女性はこうであると決め付けていると
怖い思いをするかもしれないという戒めにもなりそうな一冊です。
あなたの周りの女性の愛情は本当の愛情ですか?
本当に幸せですか?と問いたくなる作品でした。
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買う時には気がつかなかったけど、
ものすごく古い本だったらしい。
ポケベルとか出てくる。
今だったら、すんごく派手な結婚式の最中に何かあるんじゃなくて、
そこをこらえて結婚したあかつきに…ということになりそう。
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昨夜寝れなくなったので一気読みした。
この間yomyomで気になった作家さんだったので、早速買ってみた。
「女って怖いなー」とゾクゾクッとして、少しばっかり「わかるー」と思ってしまう。
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気持ち悪くて不愉快な人たちがたくさん出てくる短編集。利己的で打算して、最後には自分に返ってくるようなものがほとんどです。
たまに読むなら良いですが、1度読んだらもう当分はお腹一杯です。
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いろんな本屋さんで取り上げられてたので、なんとなく購入。
大人の恋愛に関する短編集。
サスペンス調が強かったというか、これはあまり周りには薦めたくないかな。
結婚に対してマイナスのイメージを抱かれそうだから。
今まで結婚ってキラキラしてたり、幸せ!っていう認識が強かったけど、そんな簡単なものじゃないんだなって改めて感じた。
相手だけじゃなくて、相手側の親族との関係も考えなきゃだし、不倫なんて言語道断ですよね。
それにしても、エリートコースを進むには「よくできた妻を迎える」っていうステータスも必要なんだって知りました。うーん確かにそうかもね。
乃南さんの作品でこんなぞくっとしたのは初めてでした。
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結婚にまつわる短編集。
ただし、披露宴会場ですがるような目で見て来る元カレに腹を立ててキャンドルサービスでその服に火をつける話だとか、
不倫の末に略奪結婚したら相手がクズだった話とか、
とにかく「結婚なんかするもんじゃねぇ」としみじみ思えるような悲惨な話のオンパレード!
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う~ん…
物語としての純粋な評価がどうかはともかくとして、
個人的に後味の悪さがすごくいやでした。
別に絶対ハッピーエンドじゃなきゃ嫌なんてことは言わないけど
もうちょっと救いがあってもいいんじゃないのかな。
共感できるところも何もないし。
何が書きたいのかな、何を伝えたいのかなって
始終首を傾げながら読んでました。
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あぁ。怖い。と、思った。
痛いなー。心に痛かった。
でも面白かったわ。
何年経っても変わらないものなんですかね。