ヒューリスティクスに気をつけろ!
2008/10/27 02:46
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:テレキャットスター - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書のタイトルにもなっている「インテリジェンス」とは何か。著者はそれを、生の情報(インフォメーション)から生み出された「判断・行動のために必要となる知識」と定義する。また、インテリジェンスは「たんなる知識ではなく、利益を実現する知識」とも述べている。
著者は、外交官として情報分析に携わってきた、インテリジェンスのプロフェッショナルである。本書にも豊富な事例が登場し、インテリジェンスの現場を垣間見ることができる。
個人的には、分析を誤らせる原因となる「ヒューリスティクス」の解説が面白かった。ヒューリスティクスとは「判断や評価にいたる思考のショートカット(近道)」のこと。ヒューリスティクスがうまく作用すれば、すばやい判断や円滑なコミュニケーションが可能となる。しかし場合によっては、無意識的なバイアスの原因となってしまう。
本書では、5種類のヒューリスティクスについて解説している。まず、「ベースレートの誤信」や「ギャンブラーの誤信」を生み出す「典型のヒューリスティクス」。次に、直接見聞きしたインフォメーションを過信してしまう「利用可能性のヒューリスティクス」。そして、因果関係があると思い込んでしまう「因果関係のヒューリスティクス」。さらに、とりあえずの仮説や結論に囚われてしまう「修正/アンカリングのヒューリスティクス」。最後に、自分の過去の予測を過大評価してしまう「後知恵のヒューリスティクス」がある。
「ベースレートの誤信」とは、そもそもの事前確率(ベースレート)を無視したり、軽視したりすることによって起こる問題だ。本書には、医学の専門家がベースレートの誤信に陥った例として、乳ガン検査のケースが紹介されている。
マンモグラフィー検査で、乳ガンにかかっている人の80%が陽性、乳ガンにかかっていない人の9.6%が陽性(偽陽性)という結果が出る場合。検査結果が陽性だったAさん(40代女性)が実際に乳がんを患っている確率は何%か。
この問いに対し、大半の医者は「70〜80%」と答えたそうだ。これは、そもそも40代女性のうち、乳ガンにかかっている人がどれくらいいるのか、というベースレートを無視していることになる。事前にその数字が「1%」であることを、知らされていたにも関わらずだ。
ベースレートを含めて計算すると、Aさんが乳がんを患っている確率は「7.8%」にしかならない。本書では、ベースレートの誤信を避けるための手法として「ベイズの定理的思考」が紹介されている。
一方、「ギャンブラーの誤信」は、より日常的に経験するものだ。本書にはカジノのルーレットが、例として登場する。赤と黒が出る確率は五分五分のはずだが、赤が5回たて続けに出ると、そろそろ黒が出そうな気がしてくる。しかしそこに根拠はなく、黒が出る確率はあくまで50%に過ぎないのだ。
本書では他に、「競合仮説分析」の手法、前提と仮説を区別する「リンチピン分析」、「グループ分析」のメリットとデメリットなどについても解説されている。とにかく情報が盛りだくさんで、新しい発見も多く、お買い得感のある一冊だ。
一点だけ残念だったのは、事例やケーススタディが外交や軍事に偏っているところ。そもそもインテリジェンスがそれらの分野で発展したこと、そして著者のバックグラウンドを考えれば、仕方のないことかもしれない。しかし、タイトルに「仕事に役立つ」と謳うのならば、もう少し「普通の」仕事を取り上げたケーススタディなどが欲しかった。それが、星をひとつ減らした理由だ。
裁判員制度に役立つ (?!) 情報分析法
2008/07/05 14:12
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Kana - この投稿者のレビュー一覧を見る
「インテリジェンス」という専門用語は国防・外交などにおける情報分析を意味している (らしい).タイトルには「仕事に役立つ」とあるが,民間の仕事のための情報分析の本としては他に適切なものがあるから,この本は政治における情報分析や「仕事」における分析とのちがいを知るためのものとかんがえるべきだろう.
民間の情報分析とくらべると,直観によるバイアスを軽減し「当然の前提」を再検討する必要がある (「サイエンス」を重視する) ことは同様だが,「アート」あるいは「ヒューリスティクス」におおきなやくわりをみとめている点にちがいがある.
ケーススタディのひとつとして看護師による殺人がうたがわれた事件がとりあげられている.ここではマトリクスをつかった分析を読者の演習問題としている.ここから感じたのは,これまで「アート」の世界だった裁判に「アート」を知らない裁判員がはいったときに,その不足をおぎない裁判をより客観的なものにしていくために「サイエンス」をとりいれることができるのではないかということである.
「仕事に役立つ」ことはないかもしれないが、興味深い
2008/03/22 03:47
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:alnc - この投稿者のレビュー一覧を見る
近年、精力的にインテリジェンスに関する研究を進めている元外交官の著者による
一般向けの新著である。
表題にあるように「仕事に役立つ」かどうかは疑問ではあるが、実際の事例に即し
てどのような情報の評価・分析・予測が行われるか、すなわち情報をどのようにイン
テリジェンスとして取り扱うのか、という分析手法の適用の仕方を知るという点にお
いて興味深い著作である。さらに、より興味深い点としては、分析手法自体は――よ
く考えると不思議な事ではないが――基本的に普通のビジネスの場において用いられ
るものと比べて、根本的な差異がないように見受けられることである。
こうした点を鑑みれば、確かに表題における「仕事に役立つ」という文句に即して
いると言える面もあるかもしれない。だが、惜しむらくは全体的に散漫でまとまりを
欠いている面があるため、読者がそういった分析手法を参考にして各自で活かしやす
いような内容になってるとは言いがたい点であろうか
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2008/5
実際のインテリジェンス業務についていた著者が、その思考方法について解説し、賞賛している本。参考になる部分もあるが、なんだか強引な論の展開も見受けられる。情報分析を必要とする人は読んでおいても損はないと思える。
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競合仮説分析Analysis of Competing Hypotheses=仮説に整合しないinfoを重視。それが少ない仮説を吟味、採用する。ベイズ定理による仮説修正。ヒューリスティクスとアルゴリズム。
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戦争に勝つための情報分析、インテリジェンスの考え方を簡単に説明した本。キーワードは、ベイズの定理、リンチピン分析、ギャンブラーの誤信、ヒューリスティクスなど。人間の思考が陥りがちなワナを考慮して、客観的に情報分析する必要性が理解できる。
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なかなか良いです。
しかし、佐藤優氏いわく前作の方がオススメだと。
まだ購入してません。
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国家安全保障機関の情報分析手法の基本がわかりやすく解説されている。問題を分析・解明しようとする際の、バイアスのかかりぐあいや、思考のたどり方を研究した科学であり、一般生活での問題解決にも役に立ちそう。
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開始:20090606、完了:20090606
インテリジェンス、つまり判断・行動のための分析を紐解いた内容だ。将来予測をするための分析手法といってもいいかもしれない。また、分析の際にいかにヒューリスティックスを排除するかの重要性が述べられている。以下、気になった言葉。問題には4種類ある。「単純問題」は現時点でただ一つの回答がすでに存在しており、それをひたすらがんばって見つければよいというもの。犯罪捜査でどこかに犯人がいる、というもの。「確定問題」は現時点でただ一つの回答が存在している点では単純も問題と同じだ。違うのは回答にいたるには、そのための公式を知る必要がある点。あるプロジェクトの現時点でのコストパフォーマンスはどの程度か、というもの。コストパフォーマンスのインデックスをはじき出す公式はあるのでそれにプロジェクトの関連の数値を当てはめれば解決できるが、その公式を知らない限り回答できない。「ランダム問題」は現時点でただ一つの回答は存在していない。しかし、将来現れる回答の範囲、いいかえると回答の候補が確定しているというもの。選挙における当選者の予想。回答の範囲は確定している。「不確定問題」は現時点ではただ一つの回答が存在していない点はランダム問題と同じだが将来現れる回答の範囲、いいかえると回答の候補が確定していない点で異なる。某独裁国家の将来を考えてみよう、というもの。いくつか仮説はでるが本当にすべて網羅しているか、分析官が気づかない別の可能性があるかもしれない。単純問題と確定問題はインフォメーションが圧倒的に重要。ランダム問題と不確定問題はインフォメーションの役割は絵地下してかわって分析・推定の役割が重要になる。予測というかたちのインテリジェンスを高めるには、ひたすらインフォメーションを分析し、推定するよりほかない。インフォメーションの量と分析の質は必ずしも比例しない。人間は自分に都合のよい仮説を重視する。ソ連の崩壊を予測できなかったとして、アメリカのインテリジェンスが批判を受けた。それに対して、ゴルバチョフ自身が彼の改革がどのような結末にいたるかを知らなかったのだ。アメリカのインテリジェンスコミュニティがどうやってゴルバチョフ以上に知りえたとうのか。アートかサイエンスか、現実の世界は入り混じっている。どのような論理的枠組みを用いても、それだけでは解決できない問題がある。しかし厳密な分析をともなわないインスピーレーションは冒険主義に陥るだけだ。それゆえに、直観を生み出す才能は効率的な理論にもとづくフレームワークと併用されなければならない。乳がんの確率1%。A子さんがマンモグラフィーで結果は陽性。マンモグラフィーで乳がんにかかっている人の80%が陽性かかっていない人の9.6%が陽性、つまり偽陽性。A子さんが乳がんの確率は?多くの人が70~80%という。実際は、7.8%。直観に頼ると10倍も差がでる。「こういう人がいる症候群」、身近にそのような人がいると無意識のうちにその人のケースを一般化したり、そんな人が大勢いるかのように錯覚したりしてしまう。じっくりと大量のインフォメーションを分析する時間がないときに、その代替として、思い出しやすいものを過大に評価・使用し、バランスを欠いてしまう。ヒューリスティックスとは無意識のうちにおこる判断や評価にいたる思考のショートカット、つまり直観の源となるもの。人は自分の専門領域を極めれば極めるほど、モデルや理論を築き上げて、それにもとづいて分析しがちになる。ベテランの専門家にはハリネズミタイプが多いのだ。専門家にかぎらず人間には無意識のうちにものごとには因果関係があると思い込むヒューリスティクスが存在する。それを超え、みずからの意思で因果関係を求めるモデルや理論を構築したさいにそれに固執すると、たえず変化する現実を柔軟に予測する妨げになってしまう。すでにモデルや理論を確立しているベテランには注意が必要だ。一度出来上がった見方は変わりにくい。修正ヒューリスティクスとは、「人間は判断にさいして、無意識のうちに、とりあえずの結論を出してしまい、そののちにそれを徐々に修正する」というものだ。まずだれかがあなたに「トルコの人口は3000万人以上か、未満か」とたずねるとしよう。トルコについてあまりくわしくないあなたは、直観で以上か、未満かどちらかを回答するだろう。次に「トルコの人口はどの程度だと思いますか」と聞かれたとしよう。おそらくあなたは無意識のうちに、3000万人前後の人口を推測してしまうはずだ。なぜ、そうなるこというと、「トルコの人口は3000万人以上か、未満か」という最初の質問のなかの「3000万人」があなたの思考をアンカーのようにつなぎ止め、硬直化させてしまうからだ。これがアンカリングのヒューリスティクスである。他にアフリカ諸国のなかで国連に加盟している国のパーセンテージを推測するものがある。第一グループには「45%以上と思いますか、未満とおもいますか」と聞いてから具体的なパーセンテージを推測させる。第二グループには「65%以上と思いますか、未満と思いますか」と聞いてから推測させる。いずれもアンカリングが行われた。経験は分析を助けることもあるが、肝心なものを見えなくしてしまうこともある。結果として、新人が正しい分析をして、ベテランを驚かせることになる。結果を見て、「自分は予測していた」と思いたがる。事前に「それが起こる確率は60%くらいです」と回答していた被験者が、それが実際に起こったあとで思い出させると、「それが起こる確率を70%くらいと予測していた」と無意識に回答してしまうのである。実際に起こらなかった出来事について、被験者は実際に与えた確率以下の確率を与えたと思い込んでいる。人間は8つ以上の異なるインフォメーションを与えられるとそれらを整合的に扱うことができなくなる。3人の女優の写真を見せて、AとBを比較して、Aの方がが好き、BとCを比較してBが好き、当然AとCでAとなる。でもおなじ実験を8人の女優で行うと、Aが好きといわなければならないときに、Cのほうが好きだと答えてしまうことが起こりうる。インフォメーションの数が増えると直観による判断は合理性を逸脱することがある。分析の最後はサイエンスとアートの融合だ、「結論を心地よく感じるかどうか、最後に考えてみるべきだ」。リスクを考える場合はできるだけバックグランドの異なる人を入れる。「一見」より「百聞」のほうがバランスのとれた見方を可能にすることもある。
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事政策研究から生まれた情報分析(インテリジェンス)を、ビジネス分野への応用に関する入門書です。『ビジネス・インテリジェンス』という同じ著者の本を読んだので、こちらにも手を出してみました。
中盤は、直観に頼ると往々にして誤るという例として、様々な誤りのロジックを出して説明しています。しつこいですが、この部分は、それだけでも読めます。
その上で、そういった誤謬を回避するための客観的なツールとして(アートに対するサイエンスとして)、競合仮説分析というメソッドを提案しています。この手法の特徴的なところは、複数の仮説に対して適合する情報を重視するのではなく、非適合な情報を重視するところにあります。ノルマンディ上陸作戦(を模擬した)例がケーススタディとして採用されていますが、そういった(第2次大戦における上陸ポイントのように)事業戦略上でその結果により非常に大きな影響を与える不確定要素(シナリオプランニングでいうところのシナリオドライバ)の分析には向いているツールかもしれません。
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多数の情報から判断、行動するための知識をインテリジェンスと言う。ショートカットに判断に至ることをヒューリスティクス、一歩一歩思考を重ねて評価を下すことをアルゴリズムと言うらしい。
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後半はチョット難しく感じましたが、とても為になりました。
所々にでてくる事例など、自分で考えるところがあり、とても面白い本です。
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影響力の武器なんかの簡易版って感じだった。
面白いけど、大体聞いたことがある内容だった。
直感と合理的思考のバランスが重要だということ。
直感において陥りやすいミスに注意して直感を利用すること。
--気になった言葉--
ここで、留意すべきは、人間はいったん、「これらしい」とか「これであったらおもしろいな」といったものに出会うと、ほかの可能性を忘れるだけでなく、その仮説をサポートするインフォメーションを選択的に重視し、反証となりそうなものは極力避けようとするということだ。(P39)
したがって、ヒューリスティクスは、新米よりベテランにとって、より危険な存在ということが出来る。(P77)
人間は、この典型のヒューリスティクスを無意識に発動した結果、本来、判斷の基礎とすべきベースレートを無視したり、軽視したりしてしまうのだ。これを、インテリジェンスの世界では「ベースレートの誤診」という。分析にさいしては、無意識のうちにヒュースリティクスが発動されているので、たえずベースレートの存在を意識して、ベースレートの誤診に陥らないようにしなければならない。(P84)
一度出来上がった見方は変わりにくい(P113)
インフォメーションの数が増えると、直感による判断は合理性を逸脱することがある。(P126)
グループ分析を行う場合に、似たような人間どうしで行うのは危険だということになる(P181)
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情報(インテリジェンス)の処理、判断の際に使用する思考のショートカット(ヒューリティクス)に注意。
- 確率のミス。(ベイズの法則。乳がん検診の陽性診断の捉え方。ベースレートに注意。)
- 直接見聞きしたことへのバイアス
- 因果関係
- 取りあえず判断してしまい、徐々に修正する際にアンカリングで硬直化 してっ修正ができなくなる。 競合仮説分析Analysis of Competing Hypotheses(ACH)で、仮説と情報をマトリクスにし、矛盾する(Incinsistent)組み合わせを多数探す。
- あと知恵。
リンチピン分析、分析の元となる前提が単なる仮説でないことを確認
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[ 内容 ]
私たちは有象無象の情報(インフォメーション)に振りまわされて失敗することが少なくない。
なぜなら人は自分に都合のよい話を重視したり、経験が邪魔して誤った先入観に縛られやすいからだ。
「一見が百聞に如かないこともある」「すべてに原因があるとはかぎらない」「結果を見て『自分は予測していた』と思いたがる」―本書は日常生活に潜む落とし穴と、そこに陥らないヒントを、情報分析(インテリジェンス)のプロが導き出す。
正しいメソッドと優れた直観を働かせ、仕事や人間関係で得するための判断力養成ハンドブック。
[ 目次 ]
第1章 問題解決のための基礎知識
第2章 過去を解明する、未来を予測する
第3章 知識と経験・五つの落とし穴
第4章 正しい情報分析の技術
第5章 ケーススタディで見る競合仮説分析
終章 正しい判断をするために
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