資源が少なく、食糧自給率も低い日本のための円高政策
2009/02/10 00:15
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
グローバリゼーションは第二幕に入り、BRICs諸国を中心に世界に中産階級が急増し、需要も増大している。インフレとデフレが共存する時代に入ったと著者はいう。「まえがき」では「かつて稀少だったハイテク製品がコモディティ化」し、逆に「安価に市場で調達できた資源が、今や稀少」になっていると指摘している。安いハイテク製品がデフレの象徴であり、価格が高騰しているエネルギーや食糧がインフレを象徴している。これは資源の少ない日本には非常に不利な状況である。
本書は「ミスター円」と呼ばれた著者が専門である為替政策(「ミスター円」誕生については第2章の終わりに記述あり)をテーマに、過去の為替を巡る出来事を振り返り、今後の為替政策をどうすべきか考えている。誰もが気付くようにタイトルにある「強い円は日本の国益」は「強いドルはアメリカの国益」のパクりだが、強い通貨・円が日本の重要な武器になると著者は考えている。円高は資源の調達コストを低下させ、調達能力を高めることになるから、「円高政策」への転換の必要性を本書では説いている。
第4章の最後では1ドル100円を切っている現在でも「実質実効為替レートではまだまだ歴史的円安の状況」だという。少し前までは輸出産業の製造業を中心に世界経済の好況と円安メリットの恩恵を受け、好調な業績を続けてきたが、それは「円安バブル」だったのだ。私にはそれがバブルだとの実感はなかったのだが、実質賃金が下がり続けている中ではバブルの恩恵も感じられず無理もないだろう。
第7章では本書のメインテーマである「円高政策」について述べている。円高メリットとしては投資信託等で大量に海外に流出していた日本の投資家の資金が戻ってくることで、日本の株や金融商品に再投資され市場が活性化し、企業の戦略的海外投資にもプラスになること、その資金を使って海外での資源開発を拡大、企業買収を増加させることができること、また日本企業の市場価格も上昇することなどを上げている。
いまや世界経済は急激に後退し、相対的に円高が進行し、需要減退もあって輸出産業に大打撃を与えている。資源が少なく、食糧自給率も低い日本が世界を相手に「買い負けない」ためには円高の効果は大きいように思える。
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格差は作られた→資本主義2.0→の流れで読んだ本です。コモディティの希少化とハイテク製品のコモディティ化というのはインパクトのある問題意識でした。
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金融のお勉強を目的に購入した一冊。
ミスター円の異名を持ち、ここ半世紀の為替市場を知り尽くす筆者の主張は明確で、これまでの輸出産業依存型の経済成長モデルを描く日本にとって円安がフェイバーであったが、新興国の旺盛な需要を受け、資源等の一次品の価格が高騰する中で、21世紀は円高によりこのような資源を確保することに価値があるというもの。
新興国への生産機能の移転等により、日本でのいわゆる大量生産型製造業の価値は失われつつあり、単なる輸出依存では日本の成長戦略を描けないのも事実。筆者の主張には共感できる。
ここ半世紀の為替市場についての記述が8割異常を占めており、はっきり言ってあまり面白くない。これまでの蓄積に、ちょっと新しいことを書いて売り出してやろうという魂胆が見え隠れするような一冊。
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21世紀は
環境・安全・健康
×
農業・鉱業・エネルギー
×
日本・韓国・中国・インド・ベトナム
の3軸で考える必要がありそうだ。
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円高に泣いた企業、喜んだ企業があるようですが、強い円は本当に国益なのか? 著者が、財務官だった頃この方の政策を見つめておりました。
今の株価及び経済情勢を見ると、強い円はOKなのかどうか? なんだか微妙な気がするのですが。
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サブプライムを皮切りに起こった世界恐慌によって日本では円高が起こった。
しかし筆者は円高こそ歓迎すべき国益であるとしてこれからの日本への提言をしている。
その提言は明確かつ説得力にあふれていて、どれも実現すべきものだと思う。
ただ中間のこの本に威厳をつけるためだけに書かれた円の変遷は正直必要ない。
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ミスター円こと榊原氏の本。2008年。過去の世界的な経済イベントを解説しており、今後の日本の方向性を提案している。先進国においては、資産を保有している割合が大きいため、サブプライム問題のような大きな資産価値の下落は、そのまま財の下落に通じる。つまり、資産の価値に振られる状況である。一方、途上国は保有資産が少ないために、逆の状態にある。世界中の状況と日本の体制から、今後の世界で生き残るためには、農業政策、円高政策、エネルギー政策を確実に実施することが重要と説く。人口減少の問題はそのまま受け入れ、いかに、労働力が低下したなかで付加価値の高い製品・サービスを提供するかが問題となる。したがって、産業構造もこれまでのような製造業メインの国策ではなく、農業にも力点をずらしていく必要がある。エネルギーの確保も重要な点であり、今後の政治に期待。
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タイトルから興味をひかれ、衝動買い。
読み始めたころ(大3年秋)、共感したと同時に、いろいろ勉強になった。
日本の携帯市場のガラパゴス状態とかはこの本から学ぶ。
けど、大4に読み直して、
結論の一つ「日本産業は高付加価値産業に集中すれば生き残れる」
というのに疑問もつ。
これからは新興国の低・中流所得者、BOPの時代。
高付加価値産業お育成で高所得者に集中だけしていては、世界の企業に置いて行かれるのではないか。
少し短絡的な結論なのではというのが今のこの本に対する感想。
ただ、日本産業の現在の課題をわかりやすく描写していて、
読みやすかった。
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榊原氏の本は今回初めて読んだが、納得のいく論理展開と明快なvisionの提示によって1日で読了してしまった。
製造業中心の輸出による外需主導では日本経済は立ち行かないこと、金融を強くして海外の資本を集めること、海外へ積極的に技術や資本、労働力さえ移転し、高付加価値商品を中心に売るブランド戦略を日本が立ち上げていかざるを得ないことを、明確に提示し、そのためには強い円が必要であることを説く。
世界的な金融危機をいいことに、ものづくり日本回帰への執着、産業資本主義への懐古主義がナンセンスであることを知らしめ(この二つが悪いわけではなく、これのみではまずいということ)、今後の日本をダイナミックにデザインしていくために必携の良書である。
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資源・食料の希少品化、そしてハイテク製品のコモディティー化のトレンドが今後ますます加速して行くというのが筆者の主張。他の方も書いてありますが、間に挟んである為替の歴史(ニクソンショックから現在に至る)が冗長すぎて全体が締まらなかった印象でした。ただ筆者の考えは、現在の円高について考える上で参考になりました。
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ー売るシステムから買うシステムへの転換ー
アジア等の新興国の成長や人口構造等の相対的な変化といった、世界経済の構造変化は、21世紀型の価格革命、すなわち資源価格の高等とハイテク商品のコモディティー化をもたらす。
その中で日本経済が生きていくためには、従来の労働集約的な輸出立国から、資本集約、更に技術集約的なブランド商法へと産業構造を転換していく必要がある。
榊原さんの主張は要約すると以上のようになる。
気になった点として、現状(2008年9月時点での「現状」だから、当然今現在とは全く異なる!)は円安バブルという主張はイマイチぴんと来なかった。
それは、主張の根拠に名目レートではなく実質実効為替レートを用いて「歴史的な円安」と言っているのだが、その部分の説明がほとんどなされていないために、(自分のような国際金融の初心者には)論旨、ロジックがつかみにくいからだ。
実質実効為替レートでは円安とのことだが、それが名目レートとなぜ乖離しているのか、その意味を説明して欲しかった。
本旨ではないが、読んでいて印象に残ったのは、日本独特の総合商社の強み。独自のファイナンス機能のもと、資源等を国際的に買うビジネスを展開するその姿は、榊原さんの主張する「買うシステム」の好例だ、と。海外の投資銀行が担っている機能を、日本では商社が展開している。
これは、黒木亮の『トップ・レフト』の劇的な結末のシーンを彷彿とさせるものだった。
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円高こそ日本の国益と言い切る榊原英資3年前の著作。全く色褪せていない。
・失われた十年としばしば言われるが、この十年は停滞していたどころか、寧ろ日本企業は戦略と構造を再編し、新しい制度を次々に確立した時代。分野を絞り込み事業を得意分野に集中する選択と集中。そして財務体質の改善により日本企業は劇的な変換を遂げた。但し成熟期に入った日本の製造業は、今再び世界の巨大な転換期の中でさらなる変貌を求められている。
・製造業は中国、インドに追われる立場に変わっている。安価なものを大量に作るのではなくフランスのワイン、スイスの時計のように質の高さに特化し希少価値を高めるブランド商法が肝要。既にアメリカやヨーロッパは金融、法務、会計等に重点を移している。大きなパラダイムシフトが起こっている。売るシステムから買うシステムへの転換である。金融化は成熟経済にとって必然的な流れ。そろそろ金融立国を考えるべき。現実を見ても今や日本経済は成熟し製造業に代わってサービス産業が経済の最も大きなシェアーを占めるに至っている。
・円高と言うが、ロンドンの地下鉄が初乗り4ポンド。日本円で800円。長期間にわたるゼロ金利政策、ドル買い為替介入により日本の為替レートは実質レートではかなりの円安となっている。
・好不況はあくまでも四年ごとに繰り返す循環であり、デフレは構造である。双方に直接の関係はなく、景気を回復させればデフレから脱却できるといった考え方は構造と循環を混同した議論。・・・・
たくさんのことを学ばせてもらった。書きだしたらきりがない。
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ハイテク=コモディティ化、資源=稀少化 ∴円高を逆手にとって資源を確保せよ。理屈はそうだけど、資源ナショナリズムの風潮はどうなる?
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・売るシステムから買うシステムへのパラダイム・シフト
仮に新しいパラダイムが生まれるとして、製造業はどうしていったらよいのか、考える必要がある。
序章 どうして、今、円高政策なのか
第1章 21世紀の世界経済
第2章 1ドル360円から79円へ
第3章 日本の製造業の成熟
第4章 ドルとユーロ――ドル安は続くのか
第5章 円安バブルの形成と崩壊
第6章 アジアの世紀は来るのか
第 7章 構造改革と円高政策