キャベツの丸かじり
著者 東海林さだお (著)
読めばたちまち極楽気分。暗い気分を一掃し、笑いの渦へと巻き込む人気シリーズ「丸かじり」。本書で俎上にあがった題材は、有名ラーメン店の行列に懐かしの段々のり弁製作、おでんに...
キャベツの丸かじり
商品説明
読めばたちまち極楽気分。暗い気分を一掃し、笑いの渦へと巻き込む人気シリーズ「丸かじり」。本書で俎上にあがった題材は、有名ラーメン店の行列に懐かしの段々のり弁製作、おでんについての苦言。サバについては、ふんがーっと血気盛んにその美味を持ち上げ、ごはんにあうおかずを大マジメに論じる。カツ丼探索をこころみんとしながら、つい目線は「食べ方のイケナイ」諸氏に向いてしまう……素朴な疑問と旺盛な好奇心あふれるシアワセな笑いに満ちた一冊。
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新聞紙の効用
2009/10/04 08:01
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
東海林さだおさんの食べ物エッセイ「丸かじり」シリーズの魅力は、細部へのこだわりと具象性にあります。
この『キャベツの丸かじり』に収められた「懐かしののり弁」という章にこんな文章、
「弁当包みは、布製のやつなんかではなく、新聞紙でなければならぬ。その新聞紙は、弁当を開いたとき、醤油のシミがついてなければならぬ」。
これこそ、紙は細部に宿る、醤油のシミは新聞紙に宿る、の見本のようであります。
この文章だけで、新聞紙のはしっこに、弁当箱の醤油またはおつゆのシミがにじみでていたときの切なさが、シミジミわきおこるのであります。
「まったく、かあちゃん、また汁物を弁当のおかずにしたな」と、ぼやきたくもなるのです。
さらに、弁当箱の横にあった、地図帖なんかの端も、醤油のシミで濡れて、ぼわぼわになっているのに、怒りが爆発します。
「だから、おでんなんかおかずにするなといったのに」
この弁当箱の例をみるまでもなく、新聞紙と食べ物とは実に長い間、蜜月の時代を過ごしていました。
相性がよかった。
たとえば、焼きいもと新聞紙。
あのほっかほっかの焼きいもは新聞紙でくるまれて、はじめてこれから寒い季節がやってくるのだなという風情がでるというもの。
しかも、この場合は政治面ではなく、文化面あたりの新聞紙の方が似合う。
「枯れ葉よ~」とシャンソンがあれば、もっといい。
秋といえば、サンマ。
これだって、新聞紙にぼーんと放り投げられて、くるくるって丸められて売っていた。
おお、サンマを一匹買ったぞ、という気分になる。
この時はTV面か、社会面がいい。
「だんなを出刃包丁でさした」とか、「隣家の煙が目にしみたから」みたいな、事件ものが似合う。
まるまるぼーんといえば、新聞紙とタクアンもそういう関係にあった。
これは、教育面がいい。
なにしろ、タクアンのことは「こうこう」(孝行)というではないか。
このように、新聞紙と食べ物は、相思相愛だったのだ。
それなのに、最近ではどうも不仲説がながれていて、一部ではすでに破局か、とまで噂されている。
弁当箱を新聞紙で包みますか。
焼きいもを新聞紙で包みますか。
サンマは。タクアンは。
すべて、NOなのです。
いったいどうしてこんなことになってしまったのかを丸かじりレポーター諸氏が追求したところ、どうも食べ物さんの浮気が原因らしい。
新聞紙さんの容姿がみすぼらしい、貧しくみえて仕方がない、そういうあたりが原因のようだ。
あるいは、包み紙が包み紙として成立したことやビニール袋の台頭がめざましいことも考えられている。
それでいて、英字新聞はまだまだオシャレということで人気がある。
弁当箱に、ニューヨーク・タイムズ。
焼きいもに、ル・フィガロ。
サンマに、プラウザ。
タクアンに、人民日報。
たしかに、グローバルではありますが。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でご覧いただけます。
丸かじりシリーズの第2段!
2001/04/22 07:29
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みんみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
丸かじりシリーズの第2段!食べ物について挿絵入りで面白おかしく書いてある本です。
鍋焼きうどんの正しい食べ方は、まず、風邪をひいて寝込んで出前で鍋焼きうどんを取ってもらいましょう。新キャベツの隠し玉は、新キャベツと油揚げの味噌汁である、しんなりとした水っぽいシャキシャキ感がいい。峠の釜飯は、列車が止まっているときと、走っているときでは大いに味がちがう。走っているときはおいしいが、駅で止まったりすると急に味が落ちる。
ちょっとかじっただけでもすごく美味しそうでしょう。
けれど丸かじりシリーズを読んでいると無性にお腹がすいてしまい、ついついまた食べてしまう。ちょっと危ない本です。