火の国の城(上)
著者 池波正太郎 (著)
天下分け目の関ヶ原から五年。世情が落ち着きはじめた京の町にふらりと現われた偉丈夫。男はすぐれた技をもち、豪傑と熱情を秘めた伊那忍び、丹波大介であった。すでに陰の世界から足...
火の国の城(上)
商品説明
天下分け目の関ヶ原から五年。世情が落ち着きはじめた京の町にふらりと現われた偉丈夫。男はすぐれた技をもち、豪傑と熱情を秘めた伊那忍び、丹波大介であった。すでに陰の世界から足を洗い、農村でおだやかに妻と暮らすはずであったが、彼の腕を知る者によって武家の覇権争いに巻き込まれていく。天下統一への執念を燃やしつづける徳川家康と、復活を夢想する豊臣家とをめぐり、「忍び」というあらたな諜報戦が歴史の陰で繰り広げられる。いずれも個性的な超人たちの物語。
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良いですね
2024/04/28 16:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る
他の作品に登場した忍び達が敵にも味方にも登場するのが良いですね。忍びとしては甘い所もある丹波大介も魅力的です。
加藤清正のために命を賭けた熱い血を持つ忍び物語
2009/12/04 19:28
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
「蝶の戦記」「忍びの風」に続き、甲賀・杉谷忍びお蝶が登場する物語。
<あらすじ>
甲賀を裏切り関ヶ原の合戦で真田の為に働いた甲賀忍びの丹波大介は、合戦の五年後、京の変わり様を見に来ていた。
大介はそこで、共に戦った真田忍びの奥村弥五兵衛と出会う。
甲斐の丹波村で妻を娶り暮らしていた大介だったが、弥五兵衛の忍び働きの話を受け、加藤清正の元で忍び働きをすることを決めた。
関東と大阪の仲が悪いと噂されるなか、大介は、関東と大阪の戦回避を目的とし徳川方の情報入手と高台院との連絡役を行っていた。
しかし、かつての裏切りから伊賀忍びと甲賀・山中忍びに命を狙われており、一人では手が足りなくなった大介は『杉谷のお婆』こと甲賀・杉谷忍びのお蝶に助力を求め、生き残った杉谷忍びたちとともに清正の元で働き始める。
幕府を開いた徳川が、なかなか屈しない豊臣を機会が見つけ攻め滅ぼしてしまおうという動きを見せるなか、大介たちは秀頼と家康面会実現に向けて清正のために決死の働きを見せる。
<感想>
「蝶の戦記」では、今川家滅亡から姉川の合戦の八年後までを描き、杉谷忍びの鬼気迫る死闘と滅亡、謙信の死によって打倒信長の希望を打ち砕かれたお蝶が上杉を去るところまでを描いていた。
古い体制に固執し、滅びの道を歩んでいった大名や忍びたちの姿が、悲壮感覚えると共に、凛とした潔さが印象的だった。
「忍びの風」では、甲賀・伴忍びの井笠半四郎を主人公、お蝶を半四郎の人生に多大な影響をあたえる準主役としている。
姉川の合戦に始まる激動する戦国の世と移り変わる忍びの世界と、秀吉と家康が勢力を争う時代に移ったのちの半四郎の決意、去っていくお蝶の姿が描かれていた。
本作「火の国の城」では、関ヶ原合戦の五年後から始まり、豊臣家が滅亡するまでの時代において、甲賀・山中忍びを裏切った主人公・丹波大介と、彼と共に加藤清正の忍び働きをすることになったお蝶ら杉谷忍びの生き残りたちの姿が熱く描かれている。
本書を読むと、若干立場や役割などが違うが、真田太平記に登場する忍びたちの多くが活躍するが見られる。
真田忍びの奥村弥五兵衛と向井佐助、山中忍びで加藤家に潜む伴野久右衛門と料理人・梅春、真田忍び宿の隣の甲賀忍びである足袋し才六と小たまたちである。
彼らが登場することで、真田太平記を読んだことがある読者にとって懐かしく感じられ、この物語が以前体験したことがあるような、より身近な印象を受ける。
また引き続き登場する六十をこえた杉谷忍びのお蝶の活躍もうれしい。
本作品は、「蝶の戦記」「忍びの風」と比べて、合戦がなく、徳川と豊臣方が水面下で駆け引きする展開が中心で、忍びたちの活躍の場が約束されたような状況である。
とはいえ、おおかたは徳川のために働く甲賀・山中忍びが中心となって全国に網を張り巡らせている状況にある。
その中で清正のために働く丹波大介と杉谷忍びたちが活躍するさまに興奮されられ、さらに丹波大介が伊賀、甲賀から命を狙われているという厳しい立場と危機的状況を切り抜ける活躍が見物である。
「蝶の戦記」「忍びの風」「火の国の城」のなかで個人的に、「火の国の城」の本書が一番興奮させられた。
変装、潜伏、尾行などの忍者同士の騙し合いや超人的な運動能力を駆使した闘いにとても引きつけられた。
お蝶が登場するシリーズでは、それぞれの移りゆく時代に合わせて変化する忍びの生き方が明確に描かれている。
「蝶の戦記」では、古い体制を守り仕えた大名一筋に生きる忍びの姿。
「忍びの風」では、時代を読み、力のある大名につく忍びと、古い体制と新しい時代の中で揺れ動く忍びの姿。
「火の国の城」では、豊富な資金を使い徳川に組みする『冷たい血』の忍びに対抗する形で、割に合わない仕事と知りつつも惚れ込んだ主のために命を捨てて働く『熱い血』をもった忍びを描いている。
最後に姿を見せた大介の行動は、毒殺された清正の無念を晴らすための納得できる行動であり、読者も納得できるラストシーンであると思う。
また清正に惚れ込み、大介になりきった作者が起こした報復行動ともとれる。
ちなみに池波氏の作品に「忍者丹波大介」がある。
この作品は、本書に登場する前、関ヶ原の戦いで甲賀・山中忍びを裏切り真田のために戦った丹波大介の姿が描かれている。ここに本書の物語の中核を成す因縁の闘いの原因がはっきりと描かれていると思う。
ちなみに「忍者丹波大介」を読む順番として、
時代の流れに沿って読む場合、「蝶の戦記」「忍びの風」「忍者丹波大介」「火の国の城」
お蝶が登場するシリーズとして読む場合、「蝶の戦記」「忍びの風」「火の国の城」と読み、「忍者丹波大介」を外伝的に読んだ方がいいと思う。
大好きです
2014/12/09 01:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なあなあ - この投稿者のレビュー一覧を見る
このシリーズはアクションものとして楽しんでいます。
ついでに、日本史も少し分かるようになるのが嬉しいところです。