富士山頂
著者 新田次郎 (著)
気象庁の長年の悲願だったレーダーにようやく大蔵省の予算がついた。これが実現すれば、正確なデータが迅速に入手でき、より正確な気象予報ができる。しかし、激しい乱気流が渦巻き、...
富士山頂
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商品説明
気象庁の長年の悲願だったレーダーにようやく大蔵省の予算がついた。これが実現すれば、正確なデータが迅速に入手でき、より正確な気象予報ができる。しかし、激しい乱気流が渦巻き、天候の変わりやすい富士山の頂にどうやって重い資材を運び、レーダーを建設し、東京の気象庁まで無事にデータを送り届けるのか。2年間でレーダーを完成させなければならない。気象庁とメーカーの戦いはこれからだ。現場の担当者・技術者たちの苦闘を描き出す、異色の山岳小説。
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新田文学の礎
2023/02/12 15:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nizi - この投稿者のレビュー一覧を見る
新田次郎の作品としては最初期ではないが、自らの経験を生かし作品内に登場させたことで価値が高い。もちろん内容も文句なしに面白い。
富士山レーダー建設記
2024/06/27 15:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:森の爺さん - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は気象庁職員でもあった新田氏による、気象庁測器課長時代の富士山レーダー建設を主題とした小説であり、作中の葛木技官は新田氏がモデルである。
冒頭から葛木技官と大蔵省主計官との予算折衝という緊迫した場面から始るが、およそ新規事業を行うには、その明確な理由を提示し(富士山レーダーの場合新田氏自身が起案したのだろうか興味がある)、予算管理部門から承認を受ける必要があるのは民間もお役所も同じであり、台風の通り道に位置する日本にとって、台風の通り道を予測することは防災上重要(1959年の伊勢湾台風における被害の大きさが建設を後押ししたと言える)であるからこそ、大蔵省も認めたものなのだが、これを建設するとなると企業の面子も絡んで来るのでひと騒動になり、プレゼンをした電機メーカーの中で劣勢となった方は、競合入札はしないのに分割受注を目論み政治家に頼んで圧力をかけてくる等、ウンザリな話が展開する(実際にはレーダーは三菱電機、設置は大成建設が担当)が、この経過を読むにつけ、元々技術者出身である新田氏もさぞかしウンザリしたのだろうと同情してしまうが、これも所詮宮勤めの宿命ではある。
富士山頂には富士山測候所があるとは言え、当時では世界最高地点でのレーダー施設の建設であり、重機や資材の運搬、高山病を発症する作業員等2年に及ぶ建設作業は難航を極めたものの完成するが、葛木技官に理解を示した上司も異動となり、葛木技官も気象庁を去ることを決心するが、実際の新田氏も富士山レーダーの完成を花道に気象庁を退官し、作家に専念している(上司のモデルは航空評論家の故佐貫亦男氏と勝手に推測する)。
新田氏は富士山レーダー建設に関与する以前にも富士山測候所勤務を経験しており、その技官生活の中でかなりな時間を富士山に付き合った経験から本書や「怒る富士」、「芙蓉の人」等富士山に関係する小説を残している。
気象衛星による台風予測の発達と、富士山以外の代替レーダー建設により役目を終えた富士山レーダーは現在では富士山レーダードーム館として富士吉田市に保存されている。富士山の山頂に気象レーダーを設置するという一大事業の当事者による実際の経験を基づく小説だけに貴重な記録として読ませていただいた。
富士山レーダー
2017/12/05 19:46
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投稿者:ねずみごっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
子供の頃、静岡市に住んでいた。
毎日目にしていたあの富士山頂に、まさに富士山レーダーがあったなんて、この歳になるまで知らなかった。
富士山レーダーという言葉は知っていたが、まさか本当に「山頂」にあったとは…。
ただただ自分の無知を恥じつつ、セミドキュメンタリーの本書を読み進めた。
あの山頂で有人観測もしていた著者=主人公が、実質リーダー(司令塔)となって、不可能としか思えない富士山レーダーを見事完成させた。
その偉業は、個人の力で成しえたものではなく、まるで「プロジェクト」自体が成功に必要な人材を、自ら招き寄せたかのよう。
副読本として、電子書籍版「プロジェクトX 巨大台風から日本を守れ」(108円)をお勧めします。