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レクイエム
著者 篠田節子 (著)
「腕を一本、芋の根元に埋めてくれ」大教団幹部の伯父から託された奇妙な遺言。痴呆の進んだ老人の戯言なのか。葬儀にきた旧友の暗い表情は何を語るのか……。答えは遠い異国の大自然...
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レクイエム (文春文庫)
商品説明
「腕を一本、芋の根元に埋めてくれ」大教団幹部の伯父から託された奇妙な遺言。痴呆の進んだ老人の戯言なのか。葬儀にきた旧友の暗い表情は何を語るのか……。答えは遠い異国の大自然に埋もれていた。衝撃的な事実が神秘の世界を呼び起こす表題作ほか、男運が尽きた女が自殺しようと訪れた地で思わぬ運の反転を招く「ニライカナイ」、夫の幼児虐待の不気味さを描く「コンクリートの巣」など、別世界への扉を開けてしまった孤独な現代人の心の闇に迫る六つの幻想短編集。
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紙の本
現代社会のもたらす不条理の肖像
2002/12/29 01:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品集はなんといおうか、不条理に向き合った人間、とでもなるでしょうか。
バブルの崩壊、虐待、家族の死、そしてニューギニアの激戦地、核爆発、みんな当事者にとっては不条理なことだよね。ほんの身近にころがっている、現代人なら誰にでも訪れる不条理。たとえ世の政治家や評論家やらが、したり顔で社会の必然なのだと言ったとしても。
それでも篠田節子の描く人物は元気です。状況に流されたりしない。社会の変容に伴う人間の変革なんて浮ついたことも言わない。地に足がついてます。出合ったことをバネにして、明日に向かって力強く生きていく、でもその心の中ではやっぱりいろんなしがらみの中で揺れ動いているわけです。
時に幻想的に描かれる風景も、それでも一人の人間にとってはリアルであることに説得力があります。そんな風景もまた、人が生きていくための力の源なのですから。
あー、僕もこれからしばらくはなんとか生きていけそうです。みんなも負けるなー。