新装版 江 姫たちの戦国 上
著者 田渕久美子 (著)
[2011年NHK大河ドラマ原作]幼い頃に戦乱で父母を亡くし、幾度もの結婚を余儀なくされながら、将軍正室にまでなった浅井三姉妹の三女・江。信長を伯父、秀吉を義兄、家康を義...
新装版 江 姫たちの戦国 上
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商品説明
[2011年NHK大河ドラマ原作]
幼い頃に戦乱で父母を亡くし、幾度もの結婚を余儀なくされながら、将軍正室にまでなった浅井三姉妹の三女・江。信長を伯父、秀吉を義兄、家康を義父とした江は、戦国を代表するスーパーセレブであった。戦国から江戸への移り変わりを、常に時代の中心点で直に目撃した、江の波瀾の生涯を、田渕久美子が書き下ろす。
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歴史小説はフィクション。描き手によって変わっていくもの
2011/03/23 13:02
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みす・れもん - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦国時代、安土桃山時代といえば、これまで秀吉の視点でしか眺めたことがなかった。司馬遼太郎氏の「太閤記」、大河ドラマの「秀吉」を観たくらいである。よって、織田信長の妹、お市の方の存在は知っている。お市の方に娘がいたことも知っている。そして、長女である茶々がのちに秀吉の子を宿し、淀君と称されることになることも当然、知っている。
しかし、茶々の妹たち、初、江については、名前も知らなかった。今回、本書を手にしてみたのは、来年のNHK大河ドラマの原作になると知ったからである。
茶々の妹がこれほどに面白い女子だったとは・・・。著者の描き方なのだろうが、とても破天荒な娘に思える。常識に縛られない娘。思ったことをすぐ口に出し、「忍ぶ」という言葉が似合わない。およそ武家の娘らしくなく、秀吉が江の後ろに亡き信長の姿を見てしまう気持ちもわかる。何物にも囚われず、己を信じ、己の望むがまま存分に生きる。伯父である信長が江に託した言葉どおりの振る舞いだ。
本書は、江が7歳の時から物語が始まる。すでに父は伯父・信長の手によって滅ぼされている。しかし、そのとき、赤子であった江のみ、その事情を知らされないまま育っている。姉である初・茶々は、そんな無邪気な江を複雑な思いで見ていただろう。
その後、父の敵である信長と出逢い、伯父の魅力に惹かれる江にもたらされる本能寺の変の顛末。父と伯父を失ったあと、母・姉たちとともに、柴田勝家のもとへ身を寄せる。しかし、その勝家も・・・。
茶々、初、江の三姉妹は、秀吉のもとへと引き取られ、江は末娘でありながら、秀吉の命によって嫁ぐことになる。そのとき、江は12歳。けれど、これまた男たちの都合で江は翻弄される。女は男の道具なのか。そんな疑問を抱き始める江。しかし、黙って言われるがままになる江ではなかった。亡き伯父・信長の遺した言葉。「己を信じ、己の望むがまま存分に生きよ」。それを忘れはしなかった。
しかし、歴史上の人物というのは、いろんな見方ができるもの。今回もそれを感じた。私が知る秀吉とは違う秀吉がこの物語の中に生きている。お市の方や茶々たち三姉妹から「猿」と蔑まれ、憎まれる秀吉。このあと、茶々が何を思って秀吉に身を任せることになるのか。
秀吉の本性を見抜いているかのような千利休の今後も気になるところである。
ドラマの原作になるとわかって読んでいるせいか、映像を頭の中で思い浮かべながらページをめくった。誰がどのようにこの人を演じるのだろう。そう思いながら。登場人物たちの会話が多いのも、映像化しやすい一因かもしれない。