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電子書籍
恋愛に似た季節
著者 火崎勇 (著)
二十代の若さで写真雑誌の編集長を務める雛乃紫のもとに、長い間交流のなかった従兄弟・北条朝日が突然転がり込んでくる。子供の頃女の子と間違われて一度、そしてその後高校時代にあ...
恋愛に似た季節
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恋愛に似た季節 (ショコラノベルス)
商品説明
二十代の若さで写真雑誌の編集長を務める雛乃紫のもとに、長い間交流のなかった従兄弟・北条朝日が突然転がり込んでくる。子供の頃女の子と間違われて一度、そしてその後高校時代にあらためてもう一度プロポーズされて、『一芸に秀で、一軒でも持てる甲斐性がなければ「結婚」などできない』と答えて気まずい別れをして以来、久しぶりに会う朝日に紫は戸惑うが、当の朝日はそんなことなどすっかり忘れたような様子で……。
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紙の本
どんな我侭をも受け入れてくれるだけの愛情が欲しくて。
2001/06/25 12:35
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投稿者:kaede - この投稿者のレビュー一覧を見る
最初は、紫の仕事の話しと並行して朝日の謎めいた部分が見え隠れすることで、簡単に最後のオチまで見えてきそうなところが、読んでいてイマイチだなぁと思いながら読んでいたのですが、紫が自分の気持ちを認め、朝日に取った行動の全てが、紫の気持ちのどういう裏返しの行為であったのか、が明らかにされていくあたりで、すっかりハマってしまいました。(笑)
好きだと言われ、答えた返事は、確かに言葉を受け取る側には、ていよく、あしらわれたように聞えたかもしれない。
でも紫自身もまだしっかりとした自覚はなかったものの、朝日を拒絶していたわけではなかったのだった。結婚の条件に、冗談のように大きな条件を提示したのは、そんな条件をつきつけられて、なお、自分が欲しいのだと示して欲しいから。
欲しいものを欲しいと言いたくても、紫の、プライドも高ければ、欲しいものを与えられなかったときの孤独感に絶えられるほどの強さもない、凛とした物言いからは一見窺い知ることの出来ない臆病な紫。望むならくれてやるけど、自分からは欲しがらない。朝日を無くしてしまうことを恐れて本音を言えない、屈折した自分を、それでも欲しいと乞い願ってくれるのか。
複雑な想いを抱えた紫という不器用なキャラに、とても好感が持てたのと、逃げ出したかに見えた朝日が、ちゃんと紫の条件をクリア出来る男へと成長を遂げ、また、その条件をクリアしてまで紫を真剣に欲しいのだと想う気持ちの強さもわかって、いいハッピーエンドなお話しでした。