- 販売開始日: 2010/07/13
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-610078-9
怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか
著者 黒川伊保子 (著)
カローラ、カマロ、セドリック等、売れる自動車にC音が多いのはなぜ? キツネがタヌキよりズルそうなのはなぜ? すべての鍵は、脳に潜在的に語りかける「音の力」にあった! 脳科...
怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか
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商品説明
カローラ、カマロ、セドリック等、売れる自動車にC音が多いのはなぜ? キツネがタヌキよりズルそうなのはなぜ? すべての鍵は、脳に潜在的に語りかける「音の力」にあった! 脳科学、物理学、言語学を縦横無尽に駆使して「ことばの音」のサブリミナル効果を明らかにする、まったく新しいことば理論。
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ガメラはカメラより強い……音の第一印象のふしぎ
2006/07/04 00:19
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鳥居くろーん - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて「速読法」の本を読んだことがある。
速読にもいくつかの方法があるらしいが、その本に記されていたのは「発音せずに字面だけで文字を読む」という方法であった。現代の人は文章を読むとき、音読などしない。だが、頭の中ではきちんと発音しながら読んでいる、のだそうだ。この半・音読を完全な黙読に切り替えるだけでも、読むスピードは三倍ぐらいになるらしい。
事実そうだった。確かに早い。でも、いつしかやめてしまった。なぜか。それは、味気ないからである。
音がないと読んだ気がしない。ご飯を噛まずに飲みこむのと似ている。別に音がないからといって読んだ内容が変わるわけでもないが、それでは、何かこう、せんないのだ。そう、まことに、せんない。
音がない文章なんて文章じゃない……もしそうとまでは言わなくとも、音をなくしてしまうだけで決定的にテイストを欠いてしまう、ということはうすうすと感じていた。ただ、そういったことをデータとして具体化しようと試みている著者のような存在を知ることができ、少し安心した。
『ことばの音の響きには、潜在的に人の心を動かす力がある。』
「まんま」「ママ」……たとえば赤ん坊が最初に発音する有声子音「M」は授乳時の充足感とつながり、これが中身の充足した状態を象徴する音(たとえば「満タン」「みっしり」)となったのではないか……これはもうほとんど感覚の領域だと思うのだが、これを物理学だの脳科学だのを使って普遍化・体系化しようというのが著者の仕事である。
商品イメージを決定づけるネーミングを具体例をあげて比較してみたり、あるいは人名が人の性格にあたえる影響を考えてみたりと、素人でも関心をそそられるテーマは実に多い。自分や知り合いの名前の「音の第一印象」を検証してみるのもおもしろいだろう。
追伸:こうして駄文を書くにつけても、ことばの音はホントに大切であると思う。音のよい文章を書くのは気持ちよいものだし、音のよいフレーズがたまに思いつくと、それが文章をねじまげることすらある。デジタル偏重の世の中ではあるが、音とか、手触りとか、雰囲気とか、無意識にしかつかめないアナログなものをこそ大事にしていきたい。
にしても、誰がつけたんだこの本のタイトルは……チョー最低!
音の力
2014/09/13 17:03
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Tucker - この投稿者のレビュー一覧を見る
モノの名前、商品の名前の「音」が潜在的に人に与える影響について論じたもの。
男の子が好きなものには、ゴジラ、ガメラ、ガンダムなど濁音が含まれるものが多いのはなぜか。
カローラ、カマロ、セドリック等、売れる車にC音が多いのはなぜか。
それらは「音」が人の意識下に影響を与えるためである、と著者は言う。
個人的には著者の考えに対して、8:2くらいの割合で、「疑」と思った。
きっかけは、本書の中で好意的にとりあげている研究者の名がひっかかったから。
その研究者の名は「大和田洋一郎」氏。
最初、全く別のトンデモさんと勘違いして調べたのだが、大和田氏は大和田氏で、賛否両論湧き起こすらしい。
この本の著者、大丈夫か?という思いが湧き上がりつつも、読み続けた。
モノの名前の「音」の響きが人の気持ちに影響を与えるのは間違いないと思う。
「マツシタ」より「パナソニック」の方がより先端技術を扱っているような気がするし、「パナソニック」より「Panasonic」と表記した方が、世界的な企業という印象を受ける。
ただし、あくまで主観でしかないが・・・。
K音は○×感を、P音は△□感を人に与える、という点までは、実感もあるので、理解できるが、それがなぜ潜在意識にまで影響を与えるのかが分からなかった。
入門編なので、そこまで立ち入ってないのかもしれないが。
一番気になった点は、著者の「音」の分析は、一音一音ごとに行っている、という点。
モノの名前は全体的な言い方(音の強弱、高低、リズム)によって印象が変わるケースもあるのでは?と思ったから。
また、以前、聞きかじった知識だが、音と音が繋がった場合、前の音の影響を受けるらしい。
自動音声が、こちらの入力内容(数字)を読み上げた時、妙に不自然に聞こえるのは、この点が考慮されていないからだそうだ。
要するにモノの名前の「音」を分析するならば、一音ずつの分析だけではなく、全体として分析しなければならないのでは、と思った。
さらに挙げるなら、モノの名前の表記方法、その色などから受ける印象、ネーミングの由来に関わる物語などなど。
「音」が全てなどとは著者も言っていないが、「音」に偏りすぎのような気がする。
へえ、と楽しめるのだけれど、「知的に学ぼう」と期待したのは間違いでした
2006/07/28 11:42
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:銀の皿 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ことばの音には、意味とは別に音自体の印象がある」という新しい観点から言葉を評価した面白い本である。個々の「音」のイメージを説明し、単語の持っている、意味とは別にある印象(暖かい、とかさわやかとか)の説明は楽しめる。
でも、私はちょっと間違った方向に期待して読みはじめてしまったようだ。
扉の裏には「脳科学、物理学、言語学を縦横無尽に駆使して「ことばの音」のサブリミナル効果を明らかにする、まったく新しい言葉の理論」とある。まえがきがないので、「おわりに」を次に読んでみたら「この本は、感性を感性で語った本ではない。感性を物理効果の観点から論理化することを試みた本である」「今までの感性論にうんざりしていた静かな知性の人にこそ、ぜひ読んで欲しい。」「この本は、多くの先達の方々の研究成果がなければ成り立たなかった」・・・この辺が「ちてきごころ」をくすぐって期待させられてしまったのだろう。「言葉の感性の研究解析の知的興奮を分けてくれる」ことを期待して読み始めたのだが。。。
おおもとになっていると思われる、「個々の音のイメージ」を定めた根拠がなんだか飛んでしまっている気がする。「子供が乳首を捜すときの口から出る音=M」などからの推定は、それなりに著者の体験、実感に基づいた理由が書かれていて、「そういうこともいえるだろう」と肯定的に受け取れる。しかしKの音が「硬くしめた喉に、強く息をブレイクスルーさせる快感は、膨張と放出のイメージを持つ生殖期間中の男性脳を興奮させる。」というのは、女性である著者の実感ではないはずだろう・・・。根拠をどのように定めたのか、と困惑してしまったのである。この例や、「Sは思春期の女の子を癒す音だ。正確に言うと、初潮から女性ホルモンが安定する第一子妊娠までの女性脳に、たいへん心地よい音である。」などというところは、「こういうテストをすればデータはとれる」ものではないかと思うし、実際とっているからこそここまで断定できると思うのだが、どうなのだろうか、そこのところは完全に定まったこと、としてどんな検証をしたか、も書かれていない。扉の文章や「おわりに」を読んできっちりした論理的展開を期待してしまったのでなんだかはずされてしまった感がした。
最初のうちから「ブランド」とか「商品名」、「マーケティング」などの単語が入ってくることから考えると、なにか「企業的事情」でデータやその取り方を書けなかったのかもしれない。でも、それだとそれを期待させるような書き出しはやはり内容とずれている、としか言えないのではないだろうか。商品名のイメージがこんな風に分析できる、人名にも音のイメージがある、といった「へえ、そうなのか」と楽しむつもりで読み始めれば結構楽しめるのに。
言葉に、新しい次元の要素「音の与えるイメージ」を提示したとても面白い分野の話である。子音の区分、判別の異なる言語ではどうなのか、同音異義語では、とか沢山の発展的な疑問を提起してくれた内容なので、研究の実際をもう少し含めた本も、是非書いて欲しいものである。
「ちょっとした一般向け論書」といった新書に対する「古い」イメージは、こういった類の新書で裏切られていくような気がする昨今である。新書離れしたくはないのだが。。。