- 販売開始日: 2010/07/13
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-455901-5
マゼンタ100
著者 日向蓬 (著)
先生、タクシーん中で、あたしに「悪さ」したん、覚えてはります? あたしの手ぇ押さえつけて、スカートまくって、下着に手ぇ入れてきて……先生のいたずらを目を見開いて見ていた秘...
マゼンタ100
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商品説明
先生、タクシーん中で、あたしに「悪さ」したん、覚えてはります? あたしの手ぇ押さえつけて、スカートまくって、下着に手ぇ入れてきて……先生のいたずらを目を見開いて見ていた秘書のYさん。犬のような格好をさせて後ろから貫くのが好きだったハゲでデブの先生。アソコを触りあいっこした遊び友達のマサオちゃん……。みんな愛しくて大好きだった――。「あたし」の9歳から33歳までの恋愛遍歴をせつなくエロティックに描いた5つのストーリー。栄えある第1回R-18文学賞・大賞受賞の表題作を収録。
著者紹介
日向蓬 (著)
- 略歴
- 1969年大阪生まれ。2002年「マゼンタ100」で第1回女による女のためのR-18文学賞大賞を受賞。
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実は、R-18は映画の世界のことだとばかり思った私は、この本の注にある女による女のためのR-18文学賞の意味がわからなくて、中学生の娘に読ませる気でいたんだね、ホント
2004/03/28 21:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《バブルの時代、私に流行の口紅の色がマゼンタ100であることを教えてくれたデザイン事務所の将ちゃん、別れても忘れられない人との交わりの日々》
馬鹿なわたしは、この新しいシリーズを少女向きの性を扱った本だと思い、中3の娘に渡す気だった。巻末の賞の由来を見て、目を丸くしてしまった。いやはや、R-18は映画の世界のことだとばかり思った私は、馬鹿だった。新潮社が新たに設けた〈女による女のためのR-18文学賞>で大賞を受賞した表題作に、4編を書き下ろして一冊にした作品集。
著者は1969年生まれ、大阪在住の引越しマニアみたいな紹介があるが、その年齢で12回の引越し回数はたいしたことは無い。きっと事情があるのだろう、聞いてみたい気がする。
バブルの時代、女の子彩った口紅の色を教えてくれたデザイン事務所の経営者・将ちゃんと年下のあたし。二人の別れを描く「マゼンタ100」。京都の資産家の長男で4歳年下の男と何故か関係ができてしまったあたし。でも思い出すのは昔付き合っていた年上の将ちゃん「モノグラム」。
思い出す遠い夏の日、父が左遷されこの町に引っ越してきた少年と少女が海辺の〈秘密の場所〉で繰り広げる幼い性の遊び「海ほおずき」。28歳のあたしの恋人は婚約者がいる文学者。事務員として雇われたあたしと先生の面白い出会いと、性の遊戯「ジーニアス」。大阪に事務所を開いていた先生に告げる祖父への思い「変わり結び」。
連作とはっきり分かるのは、第一編と二編。それから第四編と五編で、しかし強烈にそれを意識させるものではない。性描写はどの作品にもあるが、それだけが売り物かといえば、むしろそれが無くても十分楽しめる。男と女の出会いと別れ。そこに横たわる結婚という問題。愛人とは何か。それを淡々と描く。だから愁嘆場はない。涙もない。あるのは別れた人への優しい思い。
R-18指定という割には、ソフトである。無論それが悪いとは言わない。わたしのように、その意味を全く取り違えて、青春の物語だと思い込んでしまった人間には、丁度手ごろだろう。むしろ林真理子や田口ランディの小説のほうが、そう謳っていなくてももっと濃厚な気がする。
この作品は、もう一つの受賞作豊島ミホ『青空チェリー』に共通する若々しさ、健康さ、からっとした明るさに満ち溢れている。それが心地よい。しかし全編、性が溢れている点は、『青空チェリー』と大きく異なる。個人的には、何とか娘に読ませることが出来そうな『青空チェリー』のほうに軍配を上げたいがどうだろう。やはり中学生には無理か…