電子書籍
椿山課長の七日間
著者 浅田次郎
話題の映画原作! 椿山和昭は働き盛りの46歳。過労で倒れ、現世と来世の中間にある中陰の世界で目が覚める。やり残した仕事、愛する家族を思うと、どうしても自分の死を受け容れら...
商品説明
話題の映画原作! 椿山和昭は働き盛りの46歳。過労で倒れ、現世と来世の中間にある中陰の世界で目が覚める。やり残した仕事、愛する家族を思うと、どうしても自分の死を受け容れられず、現世に戻ることを願い出る。許されたのは初七日までの三日間。中陰でかけられた「邪淫の罪」の疑いも晴らすため、美女の肉体を借り現世に戻るが――。死後の世界を涙と笑いで描いた感動的なファンタジー。
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紙の本
これぞ、一級のエンターティメント
2007/03/27 21:55
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よし - この投稿者のレビュー一覧を見る
予期せぬ突然の死に見舞われた椿山課長。あの世で彼は「邪淫の罪」に問われている。その嫌疑を晴らすため、美女の肉体を借りて4日間の現世行きを許される。全うなヤクザの親分、現世に未練を残す男の子も絡み、彼は現世で過去を調べることに。
久しぶりに、本当に偶然、手に取ったこの作品。これが大当たりでした。もっとも浅田次郎さんは泣かせの名手。一筋縄ではいかない作家さんだとは思ってましたが、見事にはまってしまいました。泣かせる歴史小説「蒼穹の昴」、数珠の短編集「鉄道員」、そして現代を舞台にしたこの作品でもやっぱり泣きました。浅田さん上手すぎです。
設定が実に可笑しい。人は死んで七日間は魂はとどまっていると聞きます。この作品ではこれを現代的に、一括集中の管理センターが行っているという設定。そしてそれぞれ調べ上げられ、教習を受けて天国と地獄、あるいは再教習して天国に行けるというもの。
あろうことか椿山に下った裁定は「邪淫の罪」。すんなりとは天国にはいけない。その罪はデパートに勤めた頃からの同期生をだまし、快楽の道具にしたというもの。その真相を調べるために不服を持った椿山は美女の肉体を借り、現世へ。あと4日しかないというのに、その美女の肉体を触りまくるんですよ、この椿山。これがなんとも可笑しい。
そして、愛する妻と子どもに会いに出かけるが、そこで知ることになる真実。そして同期生で気心知った仲、かって付き合っていた彼女と、飲み明かす時に知る真実に涙、涙。
ああ、なんて現実は無情なんだろう。いっそ天国の方がいいと思ってしまいます。これだけではありません。さまざまな仕掛けがあって、同じく現世での調査を許されたもの同士がつながっていきます。最後には椿山の父までからみ、とってもとっても気持ちのいい小説に仕上がっています。
なんてうまいんでしょう。笑って、泣いて、優しい気持ちになるこの小説。一級のエンターテイメント小説だとわたしは思います。
ぜひぜひ味わっていただきたいな。
紙の本
椿山課長の罪は重い
2008/11/14 22:32
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kumataro - この投稿者のレビュー一覧を見る
椿山課長の七日間 浅田次郎 朝日文庫
最初から最後までを通して、自動車学校のような背景設定となっています。椿山課長が死んだあとのよみがえり後の展開は愉快です。2重人格そして個人がもつ「秘密」。自分自身への自分は優れていたという評価と、他者から見たあの人は可哀そうだったという評価の落差があります。同情ほど残酷なものはありません。作者は、この個性ある3人の登場人物を最後にどうまとめていくのだろう。
章である「献杯」は秀逸です。ここで終わってもよかった。最後まで読んでみて、やっぱり ここで終っておいたほうが良かったと思いました。この部分だけのために他の章が存在しています。
あたりまえのことをあたりまえにやれないのが人間。自分自身の欲望との戦いが人間。そのあたりを刻銘に浮き彫りにしている作品です。主人公の老いた父の存在がいい。「秘密」が調味料になって本の味を引き締めています。
この作者はすごい。いったいこういうセリフがどこからでてくるのだろうかと驚嘆します。 そして、椿山課長の罪はとても重い。文章表現から「昭和」という時代がよみがえってくる。 ひとつの章を読み終えるたびに、すごいという深いため息が出る。 ありえないけれど、あったらいい「夢」の世界。道徳的、宗教的でもあります。
電子書籍
温かみ溢れる一冊
2023/04/15 14:21
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちーかま - この投稿者のレビュー一覧を見る
不慮の死を遂げた三人が三日間の期限付きで現世へ舞い戻る話。悪戦苦闘しながらもそれぞれが納得いく答えを見つけていく様になんともほっこりさせられる。
紙の本
浅田文学です!
2019/03/31 22:05
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まなぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
■ラストシーンのところまできました。これが、作家・浅田先生の文学なんですね。涙が止まりません。■自分が、『椿課長』だったら、と思います。7日間、何をするだろうかって。■余韻に浸りたいので、これから最後を読みます。
電子書籍
泣きたい時に読みます。
2015/11/13 16:42
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mika - この投稿者のレビュー一覧を見る
浅田さんの本の中でも一番好きな本かもしれません。
いつもで読めるように電子書籍でも購入。
泣きたいときに読んでます。
紙の本
有為に生きよ!
2007/03/24 01:32
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あん - この投稿者のレビュー一覧を見る
浅田節が光っていて、今回も楽しく読みました。ホロリだったり滂沱だったりする涙ですが、今回は出ませんでした。
でも決して軽い内容ではありません。寧ろ「後悔しないように生きよう」と決意させるような流れ。
短過ぎたり大往生だったりする人生だけれど、怠惰に過ごすか有為に過ごすかで、かくも異なるか。
紙の本
よみがえり系
2023/07/27 20:06
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本題(現世に戻るまで)に入るまでの前置きがちょっと長く、しかも3人も?と思いましたが、現世に戻ってからは引き込まれて行きました。
現世に戻った3人と残された人達の関わりに、最後は涙が出ました。それで3人だったんだ。と。
タイトルは椿山課長ですが、個人的には、武田勇さんと残された方々に泣きました。
ドラマも映画も観ていませんが、映像だともっと泣きそうです。
電子書籍
死後の世界を明るく描く
2021/11/25 13:51
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
この世とあの世の境い目「中陰役所」や、生前の罪をリセットする「反省ボタン」がユーモラスです。7日間限定で舞い戻った椿山に待ち受ける、数々のトラブルにもハラハラさせられました。
電子書籍
人生が終わった後の七日間
2015/08/29 01:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ショコラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
あの世のシステムがとても詳細で、納得させられてしまいました。
頑張ってきたはずの主人公が、いろいろ見落としてきた大切なことに
気づく七日間の物語です。
紙の本
理不尽や不条理は、現実社会だけで沢山だ
2008/02/16 21:20
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:栗太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私の死生観は、人は死んだら原子に分解されて終わる。というもので、生霊は有りでも、死んだ人の霊魂は無し。天国も地獄も、死者が行くところではなく、生者が想像するところ、という潤いのないものなのだが、物語としては何でもありなので、本書のトンデモ設定も、それ自体は問題なく受け止めることができた。
「椿山課長の七日間」設定によれば、死者は、現世と来世の中間にある中陰の世界で、スピリッツ・アライバル・センターなる場所で講習を受ける。現世で罪を犯した者も、講習を受け、形だけでも「反省」ボタンを押せば極楽へ行けるというお気楽なシステムだ。
だが自らの罪を認められないもの、死ぬに死にきれぬ事情がある者のために特例の措置がある。椿山課長も受けたこの措置は、死後7日間のみ現世に戻れるというものだ。
特別措置には「復讐の禁止」「正体の秘匿」「制限時間の厳守」という三つのルールがあり、それを破ってしまうと「こわいこと」になる。つまり、地獄に行くということだ。
さて、椿山課長と同時期に死に、同じ特例措置を受けたものが他に二人い る。やくざの組長武田と、事故で死んだ少年雄太だ。三人はそれぞれに、それぞれの事情を抱え、それぞれの家族との絆を再確認するため、再びの現世に向かう。
その後の展開は、笑いあり涙ありの浅田節で、これは掘り出し物の小説だと、ホクホク読んでいたのに、愕然とする事態が待っていた。
ほとんどの人が極楽往生できるシステムの中で、地獄へ向かう者がいる。
それが誰であるかはネタばれてしまうので触れないが……あの人が地獄に行くとは、怒りや悲しさよりも、ただ、空しい。本人は堂々と清々しく地獄行エスカレーターに乗ってしまうが、私は許さん!
ここは、物語としては感動的な場面で、コーヒーショップでランチ中に読んでいて涙ポロリだったのだが、どう考えても納得がいかない。
悪行非道の限りを尽くしたあげく「反省ボタン」一つで救われる者がいる一方で、懸命に、誠実に、信念にそって行動した者が地獄に行くって、どうよ?
作者や多くの読者が許しても、私は許さん。「許せん」は感情の問題だが「許さん」は意志だ。
以前、浅田氏の「憑神」でファンタジーの妙を見たが、今回は、作者が世界の創造者たるというファンタジーの功罪を感じた。作者は、登場人物の人生や生死を決める。だが「その後」までを決める権利があるのか。死者をなお、地獄に送り込むことが許されるのか。
そうとう暴れてしまったが、待てよ。
天井から溢れる光の中進む上りエスカレーターと、亡者の叫喚も聞こえる闇の底へと続く下りエスカレーターと、たどり着く先は同じ場所。
ということもあり得るかと、自分を納得させてみる。
電子書籍
がっかり
2015/11/13 14:08
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Koukun - この投稿者のレビュー一覧を見る
すっきりしない結末、鼻につく「泣かせ」等 浅田次郎の中では嫌な作品。