津軽殺人事件
著者紹介
内田康夫
- 略歴
- 1934年東京生まれ。作家。「死者の木霊」でデビュー。第11回日本ミステリー文学大賞受賞。著書に「後鳥羽伝説殺人事件」「棄霊島」など多数。
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情緒的でとてもいい作品
2002/02/09 14:36
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投稿者:みんみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
司法試験浪人の石井靖子の父親が太宰治が書いた肖像画を買い付けに行き、何物かに毒殺されてしまう。そして、「コスモス、無残…」と書かれたメモが残されていた。友人の村上に頼まれ事件を解決するために名探偵浅見光彦は津軽へと出向く。太宰治の「津軽」や短編などが津軽のあちこちの景色と共に出てくるせいもあり、情緒的でとてもいい作品に仕上がっていると思う。
『無惨』な結末
2003/02/04 20:25
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投稿者:亜李子〓Alice - この投稿者のレビュー一覧を見る
謎かけは、良かったのではないか。少し捻り過ぎて登場人物でないと解らないようなものもあったが、そこそこ良いとしよう。けれどもやはり、名探偵・浅見光彦以外の人物が上手く動かせていない感が否めない。
被害者の娘・石井靖子の司法試験仲間として、浅見光彦の友人でもある村上正巳が登場する。登場するのは良いのだが、ハナから出てくる割に翳の薄いひとだ。まるで繋ぎの意味しか持たないような人物で、或いは他のキャラクタでその場を埋めることも可能だったのではないかと思わせる。例えば堀越部長刑事。また、彼も警察との繋ぎだが。
太宰の作品や津軽の風景が、事件解決への旅路に編みこまれているが、いまいち色彩がぱっとしない。色々とアクセサリをつけ過ぎて、どれかひとつ、目立たせたいものが判らなくなってしまっている状態だ。主要な謎を一本筋立てて、それに細かな謎(こちらは解り易くて良いから)を組み合わせていきたい。そのほうが読後感もすっきりとするだろう。間違っても、太宰の作品を読んでほど津軽に行きたい気分にはさせられない。
なかでも、特に不完全燃焼だったのが村上氏の存在。光彦の友人だというのは解ったが、妙なところで見え隠れしているのが解せない。犯人かと読者に思わせる効果なのか、それとも出番が少ないからちょっと出してみただけなのか……。伏線の効果としてももっと良き使いかたをしてやって欲しかったと思うのだ。