弥勒(みろく)の月
著者紹介
あさのあつこ (著)
- 略歴
- 1954年岡山県生まれ。青山学院大学文学部卒業。小学校講師ののち、作家デビュー。「バッテリー」で野間児童文芸賞、「バッテリー�」で日本児童文学者協会賞を受賞。
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書店員レビュー
このシリーズは、文庫版で児玉清さんが指摘しているように...
ジュンク堂書店京都店さん
このシリーズは、文庫版で児玉清さんが指摘しているように、人物造形が巧みである。まさにマジック、いやミラクルに近いのではないか。
三人の主要キャラクターには夫々癖があり、最初は入り込みにくいと感じるかもしれない。だが、相容れない三人が絡み始めた時、其々の内面が解きほぐされ、異質さの所以が明らかになっていく。
ここにきて、この三人であったからこそ、根本的に近しい彼らが関わり合ったからこそ、各々の苦悩や悲哀が浮かび上がるのだと気がついた。奇跡のような出会いだったのだと思う。
中でも際立っていたのが清之介である。内情が比較的閉ざされているからこそ、内に秘めた悲哀が垣間見えた時、深く、深く胸を衝かれる。
生きるとは、と真摯に考え直したくなる傑作である。 U
腐れ縁と緊張感
2019/12/15 18:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
厄介な同心が出会ったのはかけがえのない存在を失ったばかりの男。
そこから緊張感溢れる腐れ縁が。
ここから始まる弥勒シリーズの第一歩。
必読!
期待できる
2017/08/07 04:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:プロビデンス - この投稿者のレビュー一覧を見る
凝った物悲しいミステリー。様々な登場人物それぞれに趣があり、とても良い。また、登場人物同士の絡みもうまい。今後の作品に期待してしまう。
『弥勒』によって救われた二人の男が光と影を歩み、寂寥が読者を締め付ける
2009/12/22 19:40
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
<あらすじ>
女が川に身投げした。女は遠野屋清之介の女房・おりん。
だれもが自殺と思うこの事故に清之介は異を唱え、調べ直しを定廻り同心・木暮信次郎に願い出る。
その時の清之介の態度に違和感を感じた信次郎は岡っ引・伊佐治とともに、遠野屋と清之介のことを探り始める。
やがておりんの身投げを見たと申し出ていた稲垣屋惣助が斬り殺され、さらに惣助の殺しを見たかもしれないという夜鷹蕎麦屋の親爺が行方不明になった。
おりんの身投げに始まった一連の事件は清之介が関係していると確信しだした信次郎と伊佐治は、遠野屋清之介の闇に迫る。
<感想>
清之介に関わる探索が物語に起伏を作り、登場人物の情意が物語を豊かな人間の世界を作り上げ、読んでいて物語の世界に入り込むことができ十分楽しめた。
しかし登場人物の情意が十分に語られすぎたことによって生じた問題もある。
それは、あれこれ描きすぎて登場人物の特徴が無くなってしまった、ということ。
解説にある続編「夜叉桜」についての話しを読むと、『もともと「弥勒の月」は一冊完結だったが、「弥勒の月」の登場人物たちのことが分からなくなっていて、それを分かるために続編「夜叉桜」を書いた』とのこと。
登場人物を懸命に描いているのが伺えるが、彼らへの愛情のため皆を描こうとしすぎてしまったのが原因だろう。
連作短編形式にしてしまえば、短い作品の中で描く人物は限られており、取捨選択することによって人物像が引き締まるように思った。
本作品は面白かっただけに、『おしい!』という思いを持つ部分がいくつかある。
一つは最終章『終の月』について。
この章は諸々の事件の真相が分かり、終息していく章だが、事件の真相は個人的に納得できるリアリティの感じられるものではなかった。
話のつじつまは合っているが、うーん、と小首をかしげるもので、今まで澱みなく流れていたものが、作者の良かれと思って置いたものが障害物になってしまったような印象を受けた。
もう一つはラストシーンから終わりにかけて。
『弥勒』を失った清之介の寂寥を感じさせるラストシーンは、せっかく「弥勒の月」という書題なのだから、もっと救いのあるものでも良かったと思う。
そしてラストシーンの後に書かれた、清之介とおりんの出逢いのシーンで締めくくられる最後の部分。
このシーンは清之助がおりんについて語った『弥勒のような女でした』を描いているが、これをラストシーンの後で描いていることで、ラストシーンの『二人の上に月はなく、星の瞬きだけが夜に浮かんでいた』という「清之介を救った弥勒はもういない」ことが強調され、救いのないラストがよりもの寂しく終わってしまっており、とても残念だった。
ところで、『弥勒』とは『弥勒菩薩』のことで、解説にあるように「釈尊の救いに洩れた衆生をことごとく救う」とされており、伊佐治も清之介も釈尊の救いから洩れたが、『弥勒』によって救われた存在として描かれている。
しかし伊佐治の部分はそれほど描かれていない。彼の様子をもう少し書くことで、伊佐治と清之介を『弥勒』に救われた者の光と影として、二人の存在がより明確になるような気がした。
今後、大いに期待したい作品。
弥勒の月
2019/05/08 07:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukko - この投稿者のレビュー一覧を見る
中島要さんの着物始末シリーズが終わってしまったので
「女性作家 時代劇 シリーズもの」で探していたところ
この本に辿り着き、巻末の児玉清さんの解説が決定打になりました
「読者はこの導入部でもうギュッと急所を掴まれてしまったように
一気に物語の世界へと引き込まれてしまう」
こんな風に言われたら読むしかないですね
その通り 謎に満ちたストーリーも、登場人物のキャラクターも、
しっかり私の心を掴まえて、ぐいぐい引き込んで行きました
続編「夜叉桜」も早速読みたくなりました
闇が足りすぎる
2023/11/30 02:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:恵恵恵 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタバレ注意
一族の深い闇の闇の闇の.....
中盤から面白かった。
主人公?じゃないかもしれないけど遠野屋のオトがなんかピッタリでいい。名前がかっこいい。
最後の場面の花誘ふがよかった。ふわっとしてきた。
来世では幸せになってほしい。
少し切ないストーリー
2021/08/09 02:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
尊敬する読書家の児玉清さんのオススメおもしろ時代小説。岡っ引きと同心の捕り物。ある日一人の女が飛び込み自殺し、その後、それを目撃した男が殺され。過去に何をしていたのか全く分からない自殺した女の旦那の遠野屋。岡っ引きと同心の軽妙な会話と遠野屋と同心の緊迫感のあるやりとりが面白く、終盤では、遠野屋の過去が明らかに。読み終えて、少し切ない気持ちになるストーリーでした。
男二人の話……
2021/04/30 21:30
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投稿者:エムチャン - この投稿者のレビュー一覧を見る
だけど、時代小説の推理モノともとれるし……。また、妻が身投げ自殺した哀れな夫が、自殺ではないと言い出したことで、事件性を帯びてしまった話とも……。次々、いろいろ起こるので、途中休憩できません。ただ、ラストは……どうでしょう……ねぇ。
キャラクターはそれぞれ魅力的
2021/05/19 23:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひとみん - この投稿者のレビュー一覧を見る
キャラクターはそれぞれ魅力的だったのですが、う〜〜〜ん。ちょっと私には合わず、読むのに時間がかかりました。まとまりがあるんだかないんだか。最後の最後は無理があるようなラスト…え。犯人この人にしちゃうの…。と驚きました。個々のキャラクターは魅力的だったので、少し残念でした。
ふたり八丁堀で謎解く
2023/10/16 06:15
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投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
岡っ引と同心との微妙な力関係など、当時の警察機能についてリアルに描かれていました。時にぶつかり合う信次郎と伊佐治が、バッテリーに思えてきます。