挫折よりもむしろ希望を感じる物語
2021/11/23 19:07
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投稿者:しゅんじ - この投稿者のレビュー一覧を見る
なんだかこのシリーズを読み換えしたくなって再購入・再読。ネットのない時代に書かれた未来世界は若干古めかしいが、それでも中学生の頃に感銘を受けた物語の骨格の良さは変わらない。昔はこれを読んで”インサイダー”に好悪入り交じる感情を持った記憶があるが、登場する司政官達が自分より若々しくなってしまった今読むと、むしろ青春小説のようにすら感じられる。「挫折」の話だと思っていたが、むしろ「希望」の話だったんだなあ。
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投稿者:yasu - この投稿者のレビュー一覧を見る
「司政官」って用語がある?短編集だけど、「司政官」という設定は共通しているのは面白い。一人の作家が同じ設定を使って、場所や登場人物を変えるという本は珍しい。結末が緩い感じで今一つだけど、ほかにも関連本があるようなので、読んでみようかな?
連作短編集であるところに価値があるのかも
2012/09/05 17:27
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投稿者:いたちたち - この投稿者のレビュー一覧を見る
人類が植民先と定めた星の原住者と移り住んできた人間たちとの間に立ち、暴力的な侵略や排除が行われぬよう調整を行う「司政官」。選び抜かれ訓練に耐えたエリート中のエリートである彼らが植民惑星に1名ずつ配される司政官制度を軸にした連作短編集を、古いSFが読みたくなって手に取った。
短編はこの制度が試験的に導入され始めた黎明期から、長い年月を経て様相の変わり始める中破綻をきたしてゆく末期までを、公正であらねばならないがゆえの孤独にさいなまれる7名の司政官の姿を通して描いてゆく。
司政官たちがさきがけとなり最後にはその中に飲まれてゆく大きな時代のうねりがみごとに形づくられているが、個々の短編は硬く均質で色彩に乏しい。叙情的な描写も少なくないのに星々や登場人物たちの温度や光や空気の感触が伝わってこないのはなぜだろう。魅力的な設定に説得力のある結末。でも小説としては今ひとつ面白みに欠ける感じ。1編は星雲賞を受賞しているというのだけれど。
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物語を年代順に配し、"司政官"の通読が容易になった好編集。ロジックを優先させつつ、最後の最後で肉体へ戻る作者の皮肉な歴史感が、浮き彫りになった。じっくりと書き込みながら、それぞれの短編世界を深く横へ掘り進めない。そんな贅沢なアイディアの使い方が、改めて素晴らしい。続編とは違う、シリーズの重みを感じた。読み応えある一冊。
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とても面白いSFです。厚い本ですが厚さを感じさせません。
司政官制度の初期から末期までが短編で書かれています。
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眉村卓というと長いことジュブナイルSFのイメージを持っていた。
この本を読んで自分の不明を心から恥じた。
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昔から面白いとの高い評判は聞いていたのですが
いかんせん実物に出会わなかった。
いや密林で頼めばいいんですが
1冊の高さに肌に合わなかったらどうしようと
躊躇していたのです。
本日紀伊国屋で本購入祭りを実施した際
見かけたので購入。
あかん。はまる。
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昔読んだこのシリーズの長編がとても印象深くて、この短編集は前から読みたいと思っていた。実際に読んでみると、予想とは少しイメージが違ったけれど、やっぱり印象的な作品揃いだった。
司政官というのは、遥か未来人類が大きく宇宙に拡張していった時代、連邦機構の意を受けてひとつの惑星を統治する役人である。相手にするのは未知の環境と原住者種族、そして移民した人類である。仲間といえばロボット官僚だけであって、きわめて孤独で厳しい仕事である。
昔読んだ長編では、その孤独さ、仕事の困難さ(制度自体に矛盾を含んでいるから)、それに立ち向かう司政官の尊厳のようなものが心をうった。今回読んだ短編集でもそれは変わらないが、それと同時に、もっと元祖SF的な興味深さ、つまり未知のものとの出会いが感じられた。
個人的な印象で言えば、ひとつの世界とその中で苦闘する司政官を描き出すには、短編という枠は少し窮屈な感じがする。なんとなく中途半端なところで作品が終わってしまう印象は否めなかった。ひとつひとつの作品が、優に長編に匹敵する要素を持っている気がする。その分、鋭く切り取っていると言えば言えるわけなのだが。
2009/11/2
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もとは今から20~30年位前に書かれた小説である。今回、初の一巻本として出版された。植民地の星を統治する司政官という職を描いた(時代も場所も人も異なる)短編集である。これが面白い。2cm位の厚さがあるのだが苦にならないくらい面白い久々のヒットである。今読んでも全然古く無い本である。
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ひさしぶりに読んだ。やっぱり面白い。後の時代についてなるほど環境が複雑で矛盾に充ちてて、そんな中での司政官の苦悩がリアルで良い。
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照り返しの丘のロボットに対する疎外感がものすごく新鮮で面白かった!■追記■全短編集だけどあと2作が入ってない…。黎明期から崩壊間近まで。続きが気になる~!
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遥か未来の話で理解しづらいが、異星人の設定が現実の何の比喩であるかが分かると、急に読みやすくなる。巻末解説の引用で、インサイダー文学に対するアウトサイダー文学を代表して語るのが、平井和正だった。確かに、司政官は、ウルフガイと対極にある。
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「日本SFの第1世代」の眉村卓の代表作、司政官シリーズの全短編である。
眉村卓は 『まぼろしのペンフレンド』や 『なぞの転校生』、それから『ねらわれた学園』といったジュヴナイルSFが現役としても、10年以上前に癌の奥さんを介護しつつ、彼女のために毎日ショートショートを書くという看病生活で、すっかり本格的な作家活動からは退いてしまったかのようだが、この司政官シリーズなどは上記のジュヴナイル以上に復活して欲しかったものだ。司政官シリーズは7短編と『消滅の光輪』『引き潮のとき』という長大な2長編からなる。
遙か未来、宇宙進出を果たした人類。連邦軍が力で制した植民惑星に平時の体制を樹立し、その惑星の発展を図る行政官。担当世界の発展に尽くすという高い理想を掲げて任に当たる司政官は、しかし、植民者と先住種族、あるいは植民者と連邦政府といった立場の異なる集団の狭間で苦悩する運命にある。1971年に書かれた最初の司政官ものの短編は、次々に司政制度の時代を下った作品が連作され、4編を集めて『司政官』という題名の短編集としてハヤカワ文庫で出版されるが、司政制度の発足・発展・衰退という避けられない歴史が既にして描かれている。
その後、さらに2つの短編が書かれるが、司政官シリーズはアイディア小説ではなく、行政専門家の思索と施策の細部が書かれれば書かれるほど面白くなっていくということが明らかとなったというべきか。1976年から2年半がかりで『SFマガジン』に連載された『消滅の光輪』では、司政官の権威が低下した時代で、惑星規模の待避計画を実行する司政官の行状がこれでもかというくらい克明に描かれる(もっとも連載開始時にはこんなに長くなるとは思っていなかった節がある)。
次に、司政制度の黎明期を扱った「長い暁」──これは本文庫で200ページほどになるので、十分長編といっていいものだが──が書かれ、これを含む3短編が『長い暁』という短編集としてやはりハヤカワ文庫に入る。
本書『司政官 全短編』はハヤカワ書房の『司政官』と『長い暁』を合本にして、さらに司政制度の歴史に沿って配列し直されたものである。司政官は惑星規模の行政官であるが、現代の「政治家」のようなものを思い浮かべてはいけない。中小企業の社長くらいを考えたほうがいい。持てる資源をいかに活用して最大限の得るかという仕事だからである。日ごろ、政治家を馬鹿にしたり、役人に文句を言ったりしているが、そうした仕事がいかに重要にして大変なものなのかといったことに思いを致すようになる。その司政制度の問題点はおよそこの短編集ですべて提示されるので、あとは解決編。是非とも2長編を読まねばならない。
本書刊行時点で、奥さんを亡くして5年となる眉村氏は、しかし、「老人となった」自身の新たな視点から司政官物語に取り組んでくれそうな言質をあとがきに記してくれているのだが……
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古いSFを読み直している流れの1冊。これらの何作かはSFマガジン掲載時に読んでいるはずで、実際「これかな」と感じた作品もいくつかあるのだが、結局確信を持てたものは皆無。40年を超える時の流れは半端ではない。司政官シリーズの短編はこれで終了。『終末の光輪』は入手済み。『引き潮のとき』はどうしたものか思案中。