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電子書籍
妖臣蔵
著者 朝松健 (著)
五代将軍・綱吉の代。権勢を誇る老中・柳沢吉保と護持院の僧正・隆光が魔界から召喚した四十七の因子は、大石内蔵助らに憑依(ひょうい)。以来、血腥(ちなまぐさ)い騒動が! 江戸...
妖臣蔵
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妖臣蔵 (光文社文庫)
商品説明
五代将軍・綱吉の代。権勢を誇る老中・柳沢吉保と護持院の僧正・隆光が魔界から召喚した四十七の因子は、大石内蔵助らに憑依(ひょうい)。以来、血腥(ちなまぐさ)い騒動が! 江戸を守るため、悪霊祓い師(エクソシスト)・祐天、弟子のあば安、大岡市十郎らが魔神・巨旦将来(こたんしょうらい)と死闘を演じる。祐天上人(しょうにん)の女人救済、四谷怪談、忠臣蔵……史実をもとに描く朝松流伝奇小説!
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紙の本
虚実が錯綜する力作
2002/06/16 12:59
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからも容易に想像できるように、「忠臣蔵」に材をとった伝奇小説「裕天上人奇瑞」シリーズの第三作目にして最終巻。朝松健氏は、もともと資料の使い方、生かし方には定評がある──というより、それが歌舞伎であれオカルトであれ格闘技であれ、書く小説の題材に対する愛情の込めようが半端ではない御方なのである。
本書本シリーズでも、その資質はいかんなく発揮されている。なにせ、シリーズの主人公が「あの」裕天上人なのである。目のつけどころからして違う。
たまたま、わたしはこのシリーズを読む前に高田衛氏の著作「江戸の悪霊祓い師」を読了していた。そのときは、「ああ。『累ヶ淵』のモトネタは、こういうことだったのか」ぐらいの感慨しかもてなかった。
が、氏は違う。
そこから裕天上人という非常に魅力的な実在の人物を、同時代の「忠臣蔵」事件、それに忠臣蔵の裏舞台、というか外伝的な位置付けの「四谷怪談」の人物・挿話までも絡ませ、虚実とりまぜて一遍の伝奇物に仕上げてしまうのである。
しかも、考証にしても地の文にしてもキャラクターの言葉使いにしても、おおよそウソ、ごまかしというものがない。時代物ならかくあるべし、という見本みたいな、堂々たる文章。
しかも、しごくまっとうな娯楽小説としての体裁も、毅然として保っている。なんという力量であることか!