紙の本
出来ればもっと長い物語として読みたかった一冊。
2007/07/19 22:03
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投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
塩を含んだ霧に囲まれ作物は育たず、また狂暴化した動植物に度々襲われ次第に滅びの方向へ向かう地、キヌーヌ。
全ては創造主であるパナードにより創り上げられた世界。
異形であり禍々しい姿でありながら救世主とした現れた守護神・リュクティもまたパナードが創造したものでしかない。
そんなキヌーヌの森の深くに住む少女シエラ。
自らを妖精伝説を伝えるために生まれた巫女だと名乗るが下手物喰いのため人々が森の奥にある小屋へと追いやった少女。
そしてシエラが金目と呼ばれる殺人鬼と出会ったとき、静かにそして急速に創造された世界は動いていく、それは破滅への道でもあり救済への道でもある。
世界の原理とは一体何なのか。
全ての生き物が行う食物連鎖の果てに少年と少女が導き出した「答え」とは。
生命がその「生きる」という欲望を満たすために見つけ出した手段、強いものを吸収し更に進化を続けた結果辿り着いた先にあるものは、破滅なのかそれとも一縷の光なのか。
バイオSFのこの作品はあまりにも題材が壮大過ぎてとてもではないが1冊の本で収まる内容ではない。
そのためどうしても話がいき急ぎ過ぎて奥深い話のはずなのに世界観が薄くなり勿体無い感じがしてしまう。
出来ればもっと長い物語として読みたかった一冊。
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むーラストは面白かった。半分を過ぎてからのスピード感はすごかった。でもなーそれまでがなーしんどかったなー。
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異形の騎士と、謎の少女。立ちはだかるは、化け物を生み出す創造主。なかなか描写がえぐいです。最後、聖餅を食べた後の様子はかなり怖い。でもこの展開は怖いとはまた別の意味でぞくぞくさせられました。
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本格的なファンタジー小説です。
シエラちゃん天然具合が可愛いですw
でも表現がグロテスクな部分もあるので苦手な方にはお勧めできないです〜;
表現力に圧巻でした。
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SFなようでファンタジーな物語。異形の騎士と少女が出会い、世界を支配しようとする大人物に対抗していこうとする。世界しくみ、人間の営みについても考えさせられる、深い話です。
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キヌーヌの異形の動植物相の描写は、ブライアン・オールディスの『地球の長い午後』や、
山田正紀の『宝石泥棒』シリーズを彷彿とさせる。
ヒロインであるシエラはかわいいのだが、物語の後半の描写では正直、
腰の引ける部分があって焦った。
物語の後半はテンポが速く、疾走感が素晴らしい半面、
書き急がれた感が無きにしも非ず。
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作者は菅広江だと解っているのに、途中何度も久美沙織の作品かと錯覚してしまった。
安定感のあるファンタジーだが、70億の針を少し連想させるバイオSF要素も。
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SFファンタジー。
もとは人間だったにもかかわらず、ある人物から化け物につくり変えられ、その手先として利用されていた男。理性を取り戻し、己を血に飢えた化け物へと変えた相手への復讐を誓った彼は、その旅の途中、森の奥でひとりの少女と出会う。
森にひっそりと住む、変わり者の少女。げてものを食べ、おかしな奇行に走るせいで、村の人々から頭が足りないのだと思われていた彼女は、男に出会ったことをきっかけに、急激な成長をはじめる。男とゆく旅路の中で、少女はやがて己に課せられた運命を知り……
失礼ながら、ものすごーーく「もったいない!」というのがいちばんの感想でした。SFファンタジーの大作になりそうな、面白い話の、あらすじを読んだような印象が。
ものすご美味しい設定が、あちこちにたくさん溢れているのに、展開が急すぎて、どうも演出不足の感がありました。キャラクターの心情を想像して味わうだけの暇がなかったです。
この三倍くらいのエピソードをいれて、じっくり丁寧に描いてあれば、きっと乙女のハートをがっつりつかむ名作になったのではないかという気がします。
もしかして、もっと、書かれていない間を、自分の妄想で補完しながらじっくり読めばよかったのかな、とも思います。子どものころって、そういう読み方が得意だったような気がするんだけどなと、自分にもちょっとがっかり。
それにしても、菅さんの小説って、もっとがつんと重たくて読み応えのあるような印象があったのだけれど、本作ではずいぶんとギャップが。もしかしてこれは、若書きというやつなのかな?
などと失礼なことをいいつつも、でもこの方の本はそのうちまた読みます。
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2011年6月23日読了
菅さんの作品は『メルサスの少年』が最初。
初めて読んで、目が醒めるような想いをしたのを覚えている。その流れのまま『"柊の僧兵"記』を読んだきり。『永遠の森』を読みたいなーと思いつつ、すっかり思考がSFから離れてしまったので長らく読んでいなかった。
けれど、急に読みたくなって、読んでいない作品を…と思い、まずはこの本にしてみた。
ボーイ・ミーツ・ガールでありながら(金目はボーイよりも青年っぽいけど)それだけでは語れない物語。
菅さんの、あの透明な表現の中に異形の魔物や美しい金目の姿が目に浮かぶ。菅さんのお話ってどんなにえぐい表現でも透明感あるんだよね、すごく不思議だ…(-_-;) 硝子細工みたいな繊細さと、胸に秘めたような情動が変わらないままあって安心。
シエラと金目の心の交流はさほどない…と思う。お互いの姿を見て、少しの言葉で惹かれあう関係が静かだけれど情熱的で溜息が出る。それを見守るロウゼルたちもまたいい人だったんだよねー。
最近きちんと完結したような話ばかりだったので、あの終わりに久々に胸打たれたなぁ。
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菅浩江のファンタジーは好きなんだけど、これは・・・。シエラが金目を「騎士様」なんて呼ぶんだけど、なんか聞いてるほうがこう、歯が浮く感じというか、面映くて微妙でした。 金目とシエラ、なにか特別な絆があるのかと思えばそうでもないし・・・。
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はかなげな少女と異形の騎士
……という組み合わせがすでにツボでした。
思ったよりもちょっとグロテスクというかバイオというかでしたが、おもしろかったです。
弱々しそうなヒロインの二面性とか。
映像化してもおもしろそう。
最後の方にある、金目は幸せだった。というような一文がとても印象深い。
個人的にはすこし切なかったけど、金目自身が幸せだったのならよかったと思う。
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コンパクトでとても読みやすかったです。しかし黒幕が強大な存在であるのに対し物語の舞台がいささか狭すぎる感じがしてもの足りませんでした。
終わりかたも呆気なくさらっと終わってしまった感じでこれまた物足りない感じです。
色々もう少し広げてもいいんじゃないかなと思いました。
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この物語が初めて世に出た同年に私がこの世に生を受けたことに何か縁を感じる。
もっと最近の本だとばかり思っていた。内容としては、今時のようなのに、風変わりなというか、よくあるようでないようなSF。
ただ、おもしろいと思ったのは、「食べたものの知識を得る」ということ。
これは今までになく新鮮で、なのにとても身近に感じられる考えだった。一瞬、魚の目の周りを食べる自分を想像してしまった。
実際生き物は己の血肉とするためにものを食べているが、食べたことによって血肉以外の何かも取り込んでいるのではないかと思うと、すごくわくわくする。
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SF要素は他の生物を取り込んで成長する仕組みが多少描かれているだけで、基本的にはファンタジーと思う。自己犠牲的かつ不滅的で、勧善懲悪ではないところが特徴かなぁ。結局、この一連の動乱を、永遠に繰り返すような気がするよ。
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SF。ファンタジー。
解説によると、SFとファンタジーの間で揺らいでいる作品らしい。
個人的には、ハッキリとバイオSF。
ストーリーはライトノベルチックで、バトル要素もあり。
読んでいるとき、多くのSF作品を連想したが、梶尾真治さんのエマノンシリーズが一番近い感じがした。
登場人物のビジュアル、バトルシーン、SF的なアイディアと、どれも読者の想像力が必要になりそうな作品でした。