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銀杏坂(いちょうざか)
著者 松尾由美 (著)
築三十年のアパート・さつき荘には、ひとりの幽霊が住み着いていた。そのアパートの一室で、二百万円のダイヤのブローチが盗まれた! ところが容疑者は全員シロ。犯人は幽霊? 中央...
銀杏坂(いちょうざか)
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銀杏坂 連作ミステリー (光文社文庫)
商品説明
築三十年のアパート・さつき荘には、ひとりの幽霊が住み着いていた。そのアパートの一室で、二百万円のダイヤのブローチが盗まれた! ところが容疑者は全員シロ。犯人は幽霊? 中央署の刑事・木崎と吉村は、幽霊に事情聴取をすることになるが……(「横縞町綺譚(よこしまちょうきたん)」)。北陸の古都・香坂市(こうさかし)を舞台に繰り広げられる、不可思議で切ない連作ミステリー!
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紙の本
単行本とはサイズが違うから、カバーデザインだって変わる、言い分はよーく分かるんだけれど、折角のいいカバー画、再利用してもよかったんじゃあないのかなあ
2004/07/20 21:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
《香坂市中央警察署に勤務する木崎と吉村の刑事コンビ。アパートさつき荘に出る幽霊と盗難事件を解決したことがきっかけで持ち込まれる不思議な事件》
舞台は北陸の古都 香坂市。木崎刑事のところに持ち込まれた相談から、不思議な話が始まった。交通事故で亡くなった22歳の諸橋裕香は、よほど住み心地が良かったのか、アパート「さつき荘」に幽霊となって現れるという。人が寄り付かなくなったアパートは破格の条件で裕香の父親 諸橋克行に売却。以来、克行と大学生の長男 敏広、高校生の次女 菜摘の三人は、姉の幽霊とともに静かに暮らしている。
その「さつき荘」に最近入居したのが著名なヴァイオリニスト黒沼小夜子の娘 瑞江。彼女が借り出した母親の宝石が彼女の部屋から消えた。外には立ち話をする主婦達と管理人が見ている最中の不思議だった。捜査に乗り出した木崎と吉村の前には裕香の幽霊が「横縞町綺譚」。夫を殺してしまう予感に怯える、霊感のある主婦石倉晴枝。子供の頃から未来が見える彼女の苦悩を意外な展開で描く「銀杏坂」。
小雨降る夜に襲われた会社経営者。彼が告発する相手は、睡眠中に分身して町をさまよう男だった「雨月夜」。ビー球を浮遊させているところを木崎に見られてしまった少年。彼の家で起きた密室殺人事件「香爐峰の雪」。空港から忽然と消えた暴力団の男「山上記」。
どれも、不思議な静けさを湛えた作品ばかり五編。女性作家らしい読み易い文章だが、推理小説としての骨格はしっかりしている。発表誌が複数にわたるところは、同じ作者の『バルーンタウン』と同様にシリーズ化されるのを示すのだろうか。それにしても品のいい小説だ。
『ガラスの麒麟』の加納朋子、『赤ちゃんをさがせ』の青井夏海、『ヴィラ・マグノリアの殺人』の若竹七海、年齢も同じくらいだが、作風が静かで優しくて、品があって、おまけに推理小説のツボをしっかり押さえているところも似ている。共時性とでも言ったらいいのだろうか。それでいて少しずつ狙いが違う。読んでいて飽きない。カバー画は、単行本ではS・キングの翻訳本でおなじみの藤田新策だったけれど、文庫になってやけにカラフルになってしまった。なんだかピンとこない。