読割 50
電子書籍
アジアンタムブルー
著者 大崎善生
葉子を癌で失ってからというもの、僕はいつもデパートの屋上で空を見上げていた――。万引きを犯し、衆人の前で手酷く痛めつけられた中学の時の心の傷、高校の先輩女性との官能的な体...
アジアンタムブルー
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アジアンタムブルー (角川文庫)
商品説明
葉子を癌で失ってからというもの、僕はいつもデパートの屋上で空を見上げていた――。万引きを犯し、衆人の前で手酷く痛めつけられた中学の時の心の傷、高校の先輩女性との官能的な体験、不倫による心中で夫を亡くした女性との不思議な縁、客の心を癒すSMの女王……。主人公・山崎が巡りあった心優しき人々と、南仏ニースでの葉子との最後の日々。青春文学の名作『パイロットフィッシュ』につづく、慟哭の恋愛小説。
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紙の本
大人による大人のためのセカチュー
2005/09/16 10:29
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:はなこちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「世界の中心で愛を叫ぶ」は、映画化やドラマ化もされ、空前のヒットとなった。だけど、私には、あの作品は嘘くさく、ただ死を現実味を伴わない綺麗でセンチメンタルなものとして描いただけのものに思えて、どうもしっくりこなかった。たくさんの本を読んできたせいで、あのストーリー展開がすっかり読めてしまったせいだろうか。それともやはり、普段医療の現場にいて、もっと生々しい人の生き死にを目の当たりにしていたせいだろうか。
しかし大崎善雄さんのこの作品は、主題こそ「セカチュー」と同じであり、さらにそのセンチメンタルさもそのままに、かの作品よりも子供だましでなく、いままで多くの本を読んできた大人でもじっくりと読める作品になっている。
主人公やその周辺人物、パイロットフィッシュの主人公とおそらく同一人物であろうが、作品としてははっきりとその続編にはなっていない。設定と世界観が引き継がれただけの形になっている。作品の内容も、前回とは違って、もっと大きなところまで昇華された恋愛がテーマとなっている。***
ストーリーはセカチューと大差はないだろう。しかし、登場人物が30代でより大人であったこと、その分生きる世界が現実味を帯びていること、その2点で、ここまで読み手に与える印象が変わってくるのかと思える。***
セカチューに感動した人も、セカチューを受け入れられなかった人も、どちらの人にもぜひ読んでほしい作品である。
紙の本
静かな優しさに溢れてます。読む時はハンカチの用意を忘れずに・・・
2009/06/06 20:47
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
実はこの本感想を書くのが凄く難しい。
あまりにも本に感情移入すると文章でその時の感情を表現するのって困難なんですよね。
最初は葉子と出会って恋愛をしている山崎と彼のちょっと辛い過去であるR.Y.の時代と、そして葉子を失った後の現在とか交互に書かれています。
正直泣けるほどの物語ではないなぁ・・・と思っていたら!!
ラストの章は涙腺刺激されまくりで涙が止まらなくなっちゃいました。
愛する人を失うときが迫りながら1秒でも一緒に生きている瞬間が延びるよう祈る。
これは耐えられない辛さでしょうね。
私なら出来ないです。
想い出を作っていくことよりも1日も早く自分を忘れてもらえるよう先に目の前から去ることを願うかもしれないですね。
彼の本では「忘れないで」と願う人々が多いのですが、私は先に死ぬ立場なら「忘れてくれ」と願う
だろうし逆に残される立場なら「忘れないでいる」約束は出来ないだろうな。
だって生きていくことは「忘れないで」いると困難だから。
ところでこの作品はパイロット・フィッシュと同じ主人公・山崎が登場しているのですが2つの作品を比べると重なるようで重ならない主人公なんですよね。
確かに葉子の願い通り優しい人のままではいるのですがこれだけの恋愛をした後での山崎がどういう日々を送ってパイロット・フィッシュの山崎になったのかがちょっと不思議・・・。
でも逆に歳を重ねた山崎が新しい人達と出会いまた別れているというのは時間の経過としては正しい
のかもしれないですね。
紙の本
刹那さ100パーセント
2006/04/27 23:49
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:由季 - この投稿者のレビュー一覧を見る
とにかくこの本は、主人公の空洞—彼女を失ったことで出来た—の描写が絶品でした。
泣けてきたりとかはないけど、この本を読みながら恋人や好きな人のことを思うと、胸がつまる感じがしました。
切なさ100パーセント。
主人公が働くエロ本編集部や、SMの女王ユーカの存在も妙にインパクトがあるのに、静けさが漂っていて不思議な心地がしました。