読割 50
電子書籍
堕落論
著者 坂口安吾
第二次世界大戦直後の混迷した社会に、戦前戦中の倫理観を明確に否定して新しい指標を示した「堕落論」は、当時の若者たちの絶大な支持を得た。「人間は堕落する。義士も聖女も堕落す...
堕落論
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
堕落論 改版 (角川文庫クラシックス)
商品説明
第二次世界大戦直後の混迷した社会に、戦前戦中の倫理観を明確に否定して新しい指標を示した「堕落論」は、当時の若者たちの絶大な支持を得た。「人間は堕落する。義士も聖女も堕落する。それを防ぐことはできないし、防ぐことによって人を救うことはできない。」墜ちきることにより真の自分を発見して救われるという安吾流の考え方は、いつの世でも受け入れられるにちがいない。ほかに「日本文化私観」「恋愛論」など名エッセイ十二編を収める。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
自分自身によってしか救われることはない
2001/12/12 00:04
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しっぽ - この投稿者のレビュー一覧を見る
坂口安吾というとどんな作品を思い浮かべるんでしょうか。じつは、ぼくはこの人の小説はそんなに好きではありません。きらいでもないんですが、あんまりいれこんだことはないんです。反対に、彼のエッセイ(という分類はちっとも似合わないけど)には、高校時代に思いっきりはまりました。自分の生きたい生き方(職業とかではなく生きる姿勢の問題)が、世の中の一般的な価値観とずれてきてることに悩んでいた時期がありました。ちょうどそのころ学校の授業で、安吾の「堕落論」がとりあげられたのです。このほんとうに短い文章が、苦しんでいたぼくを勇気づけてくれました。といっても、ある意味でそれはとても厳しい内容だったのですが…。
「堕落論」では堕落することが必要だといいます。人間というものは強制された規範がなければ堕落していくものだという前提にたち、それでもとことんまで堕ち、そのどん底で、他人から与えられた規範ではなく、自分自身で自分の生き方を発見する。人は自分自身の力によってしか、本当の意味で救われることはない。そういう内容でした。弱さを肯定してくれているのに、自分の面倒は自分で見ろよと、突き放されるみたいな感じで、恐いんですがすごく魅力的でした。
同じクラスのある友人がやはりすごく感動していました。ぼくはちょっと意外でした。彼は生真面目なタイプではないのですが、優等生で、校内のいろんな活動にも積極的に参加している人で、ぼくなんかからみるとちょっとまぶしすぎるくらいで、なんだか敬遠していた人でした。それが、何かのはずみで話をしている時に、「これって、なんだか、わかってるって人が書いた文章みたいな気がする」と「堕落論」のことを語ったのです。
敬虔なキリスト教徒でもある彼にとって、既製の権威や規範を否定している「堕落論」は、ある意味では絶対に彼の信仰と相容れないもののはずなのに。そのときぼくは、彼の中にもなにか人にさらしていない悩みがあるんだと、なんだか彼にちょっぴり親しみを感じました。
その後彼は上智大学の国際政治学科というたいそうむつかしいところに進み、今、東南アジアのどこかで、NGO活動に身を投じていると聞きます。今のぼくとはとてつもなく離れたところで生きている彼ですが、その消息を聞いた時に、ぼくは高校生の彼の中で息づいていた、人に言えなかった何かの存在が、ほんの少し理解できたような気がしました。
電子書籍
力強い言葉の数々
2019/09/12 01:44
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
私が文学にのめりこんでいった最初の頃に出合った本。表題の堕落論以外にも様々な随筆が収録されている。
「人は生きているから堕落する」という、従来の道徳を否定するような言葉の数々に圧倒された。既成のものに何か満足できない人はこれを読むと面白いかもしれない。
紙の本
安吾の孤独
2002/06/25 18:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アセローラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
坂口安吾は一流のエッセイストだといわれていることは、この本を読めば納得です。
「青春論」で書かれている、宮本武蔵の話、「恋愛論」「教祖の文学」など、おもしろくて目からうろこ的な感覚を味わいました。
安吾自身の孤独や、人間の救いのなさなど。
人間は変わらないから、安吾のエッセイに古さを感じないのだと感じました。