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電子書籍
マゼンタ100
著者 日向 蓬
〈将ちゃんは、あたしがそれまで付き合ったことのある若い男の子たちとは、もうとにかく全てが違っていて、あたしは目いっぱい背伸びをして、将ちゃんに追いつこうと必死だった〉。世...
マゼンタ100
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マゼンタ100 (角川文庫)
商品説明
〈将ちゃんは、あたしがそれまで付き合ったことのある若い男の子たちとは、もうとにかく全てが違っていて、あたしは目いっぱい背伸びをして、将ちゃんに追いつこうと必死だった〉。世慣れた雰囲気と強引さで、自分の欠落感にぴたりと嵌りこんで夢中にさせてくれた歳上の彼との儚い恋を描いたR-18文学賞受賞の表題作他、ある女性の恋愛遍歴を、エロティックにユーモラスに、そして何よりキュートに描いた傑作恋愛小説!
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紙の本
女性も性長する
2011/10/05 08:18
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
窪美澄さんの『ふがいない僕は空を見た』は2011年本屋大賞の2位になって、本屋さんでも大々的に並べられていて、ベストセラーになっている。その中に収められている「ミクマリ」は第8回「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作だ。
「女による女のためのR-18文学賞」は女性が書く、性をテーマにした小説に与えられるというユニークな文学賞で、すでに11回を数えている。
何人かの人を除けば有数な新人を輩出してきたとはけっしていえないが、それでも女性に官能小説を書かせるという試みは面白い。
ただやはり女性が描く官能描写はどぎつさを欠くし、どうしても恋愛感情にひっぱられる傾向がある。そのためか、今年度からは「女性ならではの感性を生かした小説」にテーマが変更になるようだ。
女性ならではの官能小説を期待していたものとして少し残念だ。
本作『マゼンタ100』はその「女による女のためのR-18文学賞」の栄えある第一回受賞作である。
バブルの頃、既婚者でふたまわりも年上の男性とつきあっていた「とても若かったあたし」の、無我夢中の生活を描いた作品。
まだ薄い胸のあたしの快感も開発途上で、官能場面も刺激的ではない。単独の作品としては、未熟といっていい。
ところが、こうしてその続編のようにして書かれたいくつかの作品を並べていくと、同世代との男性との恋愛、会社の上司との不倫といった波乱万丈な生活を生き抜く「あたし」の成長に目をみはる。
そして、何よりも主人公の核にあるのが、すでに遠い日々となったバブルの頃の、年上の男性とのつきあいだったという、なんとも純な恋愛物語なのである。
タイトルの「マゼンタ」とは明るい赤紫色をいう色の名称だ。
もしかしたら、主人公の「アタシ」がずっと抜け切れない「マゼンタ」色のようなものは、処女から女性にかわる性のまじわりの痕跡の色をさしているのかもしれない。