器に非ず
著者 清水一行 (著)
戦中、戦後の厳しい時代を生きぬいた神山竜男は、浜松の発明王と呼ばれ、〃本州モーターズ〃の社長である五十島繁哉を紹介された。神山は営業面で、技術屋の五十島を助け、オートバイ...
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商品説明
戦中、戦後の厳しい時代を生きぬいた神山竜男は、浜松の発明王と呼ばれ、〃本州モーターズ〃の社長である五十島繁哉を紹介された。神山は営業面で、技術屋の五十島を助け、オートバイの販売からスタートしたこの会社は、二十数年後、大企業にのし上がった。が、神山に最後の試練が……。栄光のNo2と呼ばれ、会社経営に生命を滾らせた男の〃光と影〃を鋭く抉った会心作。
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小説の面白さ
2017/02/04 21:36
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホンダのNo.2である藤沢武夫をモデルとした小説。人名やホンダの社名は実名ではないものの、車種や他社の名前は現実のものであり、実際の事件をもとに書かれている。
神山竜男は本州モーターズが小さかった頃から実質的経営者として会社の危機を凌いでいたが、結局は技術者社長の五十島繁哉の人徳のおかげであるという印象を抱かせるものである。結局神山は、通常の経営者と同じで、権力欲、名誉欲があるが、五十島はただ自分の理想の車を作りたいという、技術者的な想いだけで、一般人が欲するようなものに興味はないのだろう。
通常の創業者であれば、世襲させたいと強く願うものであろう。しかしホンダは、きっぱりと同族企業、世襲企業であることをやめた。その立派な姿勢は賞賛されるべきだろう。どこかで本田宗一郎は、会社名について、ソニーは盛田という社名でないように、自社も自分の名前をつけるべきではなかったと後悔していた、なんて話を聞きかじったことがある。ここまで、本田そして藤沢の退任、世襲させない姿勢というものは美談めいたものであるのだろう。しかし本作において、それが違うのではないかと、一種の説が提示されているのである。
もちろんこれは小説であり、完全に真実であるわけではないだろう。しかし歴史書、正史として陳寿が著した『三国志』に比べ、七分が真実で三分が虚構であるといわれている羅貫中が著した『三国志演義』の方が人気であるように、小説は小説としての面白さが必要であろう。鵜呑みにしてはいけないし、あくまで楽しむべきものであるが、しかしこの作品から学ぶべきこともあるのではないかと思う。