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  • カテゴリ:一般
  • 販売開始日:2010/08/06
  • 販売終了日:2011/02/28
  • 出版社: 文藝春秋
  • ISBN:978-4-16-763101-7
一般書

電子書籍

蛇を踏む

著者 川上弘美 (著)

藪の中で踏んでしまった蛇が女になり、わたしの部屋に棲みついた。夜うちに帰ると「あなたのお母さんよ」と料理を作り、ビールを冷やして待っている──「蛇を踏む」。うちの家族はよ...

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蛇を踏む

税込 385 3pt
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蛇を踏む (文春文庫)

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商品説明

藪の中で踏んでしまった蛇が女になり、わたしの部屋に棲みついた。夜うちに帰ると「あなたのお母さんよ」と料理を作り、ビールを冷やして待っている──「蛇を踏む」。うちの家族はよく消えるが、上の兄が縁組した家族はよく縮む──「消える」。背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのだった──「惜夜記(あたらよき)」。神話の骨太な想像力とおとぎ話のあどけない官能性を持った川上弘美の魅力を、初期作ならではの濃さで堪能できる、極上の「うそばなし」3篇。

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みんなのレビュー228件

みんなの評価3.5

評価内訳

紙の本

片目をつむって

2011/03/02 08:10

5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この作品で川上弘美さんは1996年に第115回芥川賞を受賞されています。
 ある日、あやまって蛇を踏んでしまった女性に起こるシュールな世界を描いた作品ですが、この作品のもっている世界観は川上文学にとって必要不可欠なものといっていいでしょう。その後も何度も描かれています。
 それがどんな世界かといえば、例えば片目を閉じたときに見えてくる少しだけゆがんだ世界といえばいいかもしれません。そして、今度は反対側の片目を閉じる。また世界が変化する。
 川上さんの描く世界にはそういった秘められた違和感のようなものが描かれます。
 普段何気なくなく見ているのですが、少しだけ違う世界。

 違和感は異界のようなものでもあります。
 この作品でいえば人間の姿に変えた蛇が主人公の母だと名乗ったり、料理をつくったりします。そんなことは実際にあるわけではないのですが、そういう異界を川上さんは大切にしています。
 人間になった蛇が主人公の女性に「いつもそうやって知らないふりをするのね」となじる場面がありますが、そのような違和感や異界の存在を拒もうとするのはありがちなことです。
 そのことをきちんと見ること。川上弘美さんが描く異界は、そういう世界に読者を招きよせているといっていいでしょう。

 こういう作品を、そして川上弘美さんを選んでくれた選考委員に感謝したくなる、川上弘美さんの原点のような物語です。

 ◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。

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紙の本

「もう1人の私」または「女性(一般)」

2008/03/19 15:10

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る

文字通り「蛇を踏む」ことから始まるこの物語は、しかし単に女性主人公が蛇の姿をした蛇のような母のようなよくわからないものにつきまとわれるというだけの話ではない。

たしかに、ひょうひょうとしていながらマジック・リアリズムさながらのじんわりとしたリアリティを沸々とはりめぐらせていく文体のうちに、たんたんと不可思議な蛇と人との日常が綴られてはいくし、そこに人、あるいは女性(一般)の深層心理が描き出されていくようではある。

ただそこで見過ごしてはならないのは、女性主人公のひわ子が、いわゆる「人」よりも「蛇」に、壁と喩えられるようなわけへだてのない一体感を感じるばかりでなく、それを何よりも求めているということだ。そして結末部に集約的に表されるように、「蛇」もまたそれを強く求めているということだ。そして、その壁なき「人」と「蛇」との一体感は、いわゆる精神分析にいう自我形成以前、言語的分節以前の、誰にも懐かしい「あの母胎のような世界」がもたらすものに他ならない。

川上弘美は、そうしたいわば普遍的な境域に、すぐれて歴史的=現代的な物語を通じてたどり着いてしまった、そんな恐るべき作家なのだ。ここにいう現代性は、女性主人公のひわ子が担う、定職のないままに結婚もせず、しかし生活に困ることも人生に悩むこともない30代女性、という設定によって備給される。しかも、こうした小説を、表だった企みなしに書き得てしまう川上弘美とは、(かつて、大谷崎などがいたが)まさに現代に生き残った天才肌の作家としかいいようがない。

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電子書籍

正体がわからないから感じる恐怖感。

2017/06/07 15:17

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:もりそば - この投稿者のレビュー一覧を見る

ホラー小説の一つとして紹介されて読みました。とはいっても、あまり恐怖は感じませんでした。
 でも、現代日本を舞台にしている話なのに、見知った世界なのに、どこか地に足が付いていない、あやふやな、どろり、ふわふわとした不安定感を感じる、不思議な作品でした。
 全編を通じて、夕暮れ時のような非現実感を体験できる。ちょっと現実逃避したい時におすすめの1冊です。

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電子書籍

芥川賞ってすごいんだな

2016/09/27 01:08

1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:szk - この投稿者のレビュー一覧を見る

芥川賞受賞作。川上さんが大好きな「うそはなし」。ほんとうのはなしはうまく書けないんだけど「うそはなし」ならすらすら書けると。それでできあがった表題と他2作。なー。「うそはなし」ならわたしも良くやってる。暇つぶしだったり、寝る前の儀式的なものだったり。まあもちろん、文章にできる腕はないんだけど。「うそはなし」で芥川賞かあ。決して嫌味ではない。ただこのブンガクショウの奥の深さに戦いている。お話は『消える』が良かった。いずれこんな世の中になりそうで。電話の見合い、電話の睦言。そして家族揃って柏手打って。消える。

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紙の本

「うそばなし」の極み

2003/02/14 16:42

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:sei - この投稿者のレビュー一覧を見る

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「うそばなし」も、ここまでくると、リアリティがどうのこうの、といったことは全く問題ではなくなってしまう。
なんだこれ? なんだこれ? と思っているうちに、作者の世界に引き摺りこまれて、逃れようもなくなる。
彼女の言葉はあまりに簡潔で、そして、美しい。
その言葉が、突拍子もない物語を、なまなましく語る。
現実と非現実の枠組みを超えた何処かから、ちょっと怪しげな笑みを浮かべて手招きしている。

 ファンタジックな物語に興味が無い人も、騙されたと思って読んでみて欲しい。
日本語ってやっぱりすごい。少なくとも川上弘美は、僕にそう思わせる。


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紙の本

蛇の感触は「かさかさ」なのだ!

2005/06/23 21:37

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ツキ カオリ - この投稿者のレビュー一覧を見る

皆さんは「蛇」に触ったことがあるだろうか?
「ある」と答えられる方のほうが、少ないのかもしれない。

「蛇」を研究している施設に行くことがあれば、必ず「蛇」に触る機会(チャンス?)は、やってくる。触った感触は、意外にも「かさかさ」している。爬虫類系のハンドバッグや靴を、触った時に得られる感触と、ほぼ同じだ。あれは、どうやら「ぬめり」を取って加工している、という訳ではなさそうだ。
にもかかわらず、なぜか一般的に、「蛇」は「ぬるぬる」していると思われている。なぜだろう。

実は、割と最近、ある男性作家2人の作品の中に、「蛇(爬虫類)がぬるぬるしているような」という比喩を発見したことがあり、密かに(それは違うぞ)と、ほくそ笑んだことがあった。
などと、えらそうに思ってはみるものの、私も実際に触ってみるまでは、「蛇は濡れているもの」と思っていた。

さて実際は「かさかさ」している「蛇」なのだが、この作品に出てくる蛇には、どうにも湿っぽさが拭えない感じが付きまとう。しかも、相当に太い「蛇」という感じもしてしまう。どうしてなのかと考えてみると、作中の次の文章に目が留まった。

「秋の蛇なので動きが遅かったのか。普通の蛇ならば踏まれまい」
「蛇は柔らかく、踏んでも踏んでもきりがない感じだった」

まるで夏のように暑い、ある秋の日に、落ち葉を掻き分けながら、「ざざざざざ」という大きな音を立てて、悠然と土にもぐっていく「蛇」を見たことがあったが、あの時のことが思い出されたからなのかもしれない。
餌をたらふく食べていたのか、その時の蛇は、お世辞にもスマートとは言えなかった。かつ、その蛇は、もし「踏んだ」としたならば、一切、皮や体が、壊れたり、やぶれたりはせずに、粘土のように「踏まれた」圧力を、吸収しそうな感さえあった。

この作品の、外見上も、性格上も、粘性の高そうな「蛇」は、50歳くらいの女に姿を変え、主人公のヒワ子に迫ってくる。
肉迫してくる「蛇」に、ヒワ子は、どう対処したのだろうか。

皆さんも機会があったら、「蛇」を触るだけでなく、肩や首に掛けてみてほしい。「蛇」が、身体中を蛇行しながら、絡み付いてくる感触は、なかなか(???)のものだ。彼(彼女?)は、拠り所にするための、窪みや出っ張りが大好きなのだ。

この短編集には、そんな「蛇」にまつわるあれこれが、思い出されて止まない、芥川賞受賞の、表題作の他、カフカの強い影響が感じられる『消える』や、漱石の『夢十夜』を彷佛とさせる『惜夜記(あたらよき)』が、含まれている。

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紙の本

幻想との距離

2004/04/06 11:38

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る

「蛇を踏む」「消える」「惜夜記」の三篇を含む短篇集。

距離の取り方が上手い人だな、という印象。
独特の幻想性をはらんだ世界を書く文章がぶれず、きわめて安定している。漢字をひらいて平仮名含有量を増した字面がまた、語りに繊細な柔らかさを添えている。
この文章が、一見異様に思われかねない世界を叙述していくと、そこに妙な現実感というか、リアリティというか、そういうものがでてくる。だからといって、これらの作品が現実を反映しているとかそういう理由でリアルだというのではない。作品そのものに宿る独自のリズム、論理がうまくコントロールされていて、無理なく物語が紡がれていくという気にさせてくれるからだ。
読み手がすっと入っていけて、すっと出てくることができる、そういう感覚がある。

物語になんらかのテーマや意味があるとはあまり思えない。というより、そういう読み方をしたくなくなる。寓話的であるかも知れないが、明確な寓意を埋め込まれているという感じでもないと思う。メルヘン的でふわっとした世界のようだが、微妙に生々しさが見え隠れする、そういう距離感が私には楽しい。

だから読んだあとに裏表紙の
「若い女性の自立と孤独を描いた芥川賞受賞作」(蛇を踏む)
とか
「現代の家庭を寓話的に描く」(消える)
とか書かれているのを読むと、なにか全然違う小説の話をしているように感じられてしまう。こういう意味を読みとって良しとする小説ではないだろう。

著者自身が「うそばなし」と呼ぶように、いささか荒唐無稽なシュルレアリスム的世界を、すっとぼけて語ってみせる語り口の絶妙さ。そこから醸し出される独特の空気感が、魅力なんだと思う。

★はだいたい、三つに近い四という感じ。

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紙の本

蛇を踏む

2001/11/02 19:17

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:333 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 川上弘美さんの作品。ほのぼのとしているが、どこか不思議な雰囲気を醸し出している作品。ボルヘスを感じさせるような幻想的で、ほのぼのとした世界は川上弘美さん独特の作風です。すらすら、読めますが、読み終わったあと、こころにどこか留まるような作品です。芥川賞受賞作。

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紙の本

今、芥川賞受賞作を読みまくっている途中です

2019/01/17 22:51

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る

久しぶりに再会した高校時代の恩師とのつながりを綴った「センセイの鞄」のような話を期待してこの芥川賞受賞作を読んでしまうと、「あれえ、想像していた話と違う?!」ということになるかもしれない。作者がいうところの「うそばなし」が詰まっている「うそ」の国は、入り口は狭いけど奥行きは広いところということなので、表題のたまたま踏んでしまった蛇が人間の姿になって粘着してくる「蛇を踏む」も、身近な人が周りからいなくなってしまう「消える」も、「センセイの鞄」と同じ作者のうそ世界でのお話なので、個人的には全く問題なく楽しめた。とくに「消える」は虫退治に人柱にされてしまう風習があるとか、家族は5人でなければいけないという規定があるとかの、この世界とは少し違ったパラレルワールドが私には心地よかった

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紙の本

なんなんだ、これは!

2001/02/03 14:17

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:remi - この投稿者のレビュー一覧を見る

 最初の読後感は、「なんなんだ、これは!」という感じでした。オチがあるのかと思うと、ない。でも、なんだかおもしろい。そんな感じでしょうか。
 そして感じたのは、村上春樹や安部公房に近い感じを受けました(違っていたら、ごめんなさい)。
 何を書いていいのか自分でもよくわかりませんが、好きな本です。しかも書評を書くのが本当に難しい本です。
 「蛇を踏む」を簡単に紹介します。
 数珠屋に勤める元教師の女が、藪の中で蛇を踏んでしまう。そして、踏まれた蛇は女になって、女の部屋で食事をつくって待っていた。しかも「あなたのお母さん」と言い張る。という感じでストーリーが進んでいきます。
 本書は、「蛇を踏む」、「消える」、「惜夜記」の3つの短編小説で構成されています。ちなみに「蛇を踏む」は、芥川賞受賞作品だそうです。

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紙の本

言語でしか表現できない「うそばなし」

2000/10/19 03:54

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:FAT - この投稿者のレビュー一覧を見る

 川上弘美の作品群は、その映像化を拒否している。松浦寿輝氏の解説にもある通り、作品から醸し出される雰囲気は、確かに「つげ義春」風ではあるので、僕自身は、個々の表現を「映像化」する努力をしてみたが、極めて陳腐な画像しか頭に浮かんでこなかった。仮にCGを駆使して、映像化してみても、きっとその陳腐さを払拭することはできないであろう。
 映像の基本は線を引くことである。認識の対象とそうでないものとの間に境界を引き、固定化させることである。一方、本作品に登場する「存在」は、事物の境界をとにかく易々と越えてしまう。単にある物が他の物に変容するだけでなく、「夜」という事が受肉し、背中に「少しばかり食い込」んでしまうということは、事と物の境界も溶けているということだ。境界が曖昧で、事物が固定化されない以上、そこに線を引くことはできない。
 「混沌」は秩序の隠喩である「穴」を開けられてしまうことにより、死んでしまった。同じく、川上弘美の本作品も映像化という秩序を拒否しているのかもしれない。とすれば、陳腐な想像力を働かせて、線を引く努力をするよりも、「境界」を当然のように越える無秩序の「うそばなし」に陶酔すれば良いのである。観念の戯れで構成される言語表現のみが持つ、そういう懐の深さを、この作品は持っているのだから。

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紙の本

満たされた世界

2000/07/19 16:03

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:松本楽志 - この投稿者のレビュー一覧を見る

 たとえば表題作。蛇を踏んだ。蛇は母になって私のアパートで暮らし始めた……。女性の一人称なのに、物語は淡々とつづられる。主人公の感情は蛇という小さな穴から、ひたひたと漏れている。流れ出した内面が、この世界を形作っているから、蛇が母親になったということ自体を主人公はなんとなく受け入れてしまう。
 世界と同化した、主体。それは続く「消える」にも見られる。「消える」では、冒頭の「このごろよく消える」という一文から、すでに世界が語り手で満たされてしまっていことがわかる。奇妙なルールにしばられたマンション、その世界においては「消える」ことなど、たいした意味を持たない。
 「惜夜記」ではついに世界はバラバラに分裂し、「夜」を主題とした断章が語られる。しかし、その世界にはやはり語り手の内面そのものが満ちている。
 川上弘美のうまさは、われわれ読者の居る世界にそれが似ているかどうかに関わらず、作られた世界にまったく揺らぎがないことだ。満たされた世界は、どこまでいっても語り手である。だから読んでいて安心できるのである。

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紙の本

夢の中にいるような

2007/03/01 18:43

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:ふじつぼ - この投稿者のレビュー一覧を見る

不思議なお話です。
踏んだ蛇が人間に姿を変えて、主人公の家に住み着くのです。
読み終えてからずっと考えていたんですが、
これは「夢」を描いたようなお話だと思いました。
とりとめがなく、何か人間の深層心理でも表しているような、
特になんの意味もないような‥
読後感は、変な夢を見てから起きた時に、
なんだったんだ??と感じる感覚に似ています。

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紙の本

ぐにゅっ

2003/07/19 13:45

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:SlowBird - この投稿者のレビュー一覧を見る

 この本は僕にとってのツボでした。なので客観的な評にはなりません。
 まず、このヒトが筒井康隆や内田百聞が好きなんだろうということは分かる…と思ってたら、両名は解説文で言及されてた。ちぇっ。
 倉橋由美子やボルヘスなんかも、作者にとっては基本素養なのだろう。吾妻ひでおや大島弓子の読者でもありそうだ。
 こういった幻想の系列の、無数に折り重なり交じり合ったフォロワーの最後尾の一人になるのだろう。少し前では、かんべむさし、殿谷みな子なんて人が思い浮かぶ。
 趣味の合う友人と、「読んだ?」「読んだ」「いいね」「いいよね」「うふふ」「ふふふん」なんて具合に確認しあうだけで満足できそう。「このへんは澁澤でしょ」「いやむしろカルヴィーノあたりの」「大江はいってるよね」なんていじるのも楽しいかもしれないけど無粋(←俺モナー)。
 生と死、形と動き、夜と月、酒と食餌、体内と感触、そんなことが書かれている。昨今のファンタジーブームに飽き足らない人は、この胎道を押し開いて世にねじり出された幻想を味わってほしい。
 冒頭『踏まれたらおしまいですね』と蛇が言うのはいい。『秋の蛇なので動きが遅かったのか』という文章にはっとした。なかなか書けないよ。数行前には、以前は女学校で理科の教師をしていたとある。ふむふむ。同時収録の「惜夜記」では夢に現れる生物達の奇態と最新の科学理論のマッピングという、世界との奇態な交流が描かれている根っこはそこにあるわけね。

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紙の本

みんなどこかで蛇を踏んでいる

2002/05/13 16:29

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:もぐらもち - この投稿者のレビュー一覧を見る

 信じられないことが起こったとき、それに抵抗するよりは受け入れたほうが楽。どうにもならなくなって、それに抵抗しようとしても他人にとっては人事で誰も助けてくれない。そんなところが、「蛇を踏む」「消える」の2つの短編のモチーフか。
 「惜夜記」は稲垣足穂の「一千一秒物語」のお月様を夜におきかえたような物語。
 必死になって一気に読みきりました。でも、一体この作品は何が言いたかったのだろうと悩んでしまい、一晩考え込んでしまいました。いちよう自分なりに納得したのですが、結局のところ、本のあとがきにあるように「うそばなし」というのが、この作品には一番ぴったりします。

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