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テレビ報道の正しい見方
著者 草野厚 (著)
テレビメディアは、どこまで真実を伝えているのか。なぜ同じニュースが、報じ方によってかくも印象が異なってしまうのか。テレビ報道には、あらゆる演出が駆使されている。司会者のコ...
テレビ報道の正しい見方
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テレビ報道の正しい見方 (PHP新書)
商品説明
テレビメディアは、どこまで真実を伝えているのか。なぜ同じニュースが、報じ方によってかくも印象が異なってしまうのか。テレビ報道には、あらゆる演出が駆使されている。司会者のコメントや仕切り方、映像編集、テロップ、音響等々。本書では、公平性や正義を装いながら、視聴者を巧みに誘導する番組作りを徹底検証。日本のODAを歪めて報じたNHKのドキュメンタリー番組を俎上に、著者自ら現時を取材し、制作者側と激しく議論。さらに『ニュースステーション』『NEWS23』といった民放の看板番組を比較研究。「北朝鮮不審船事件」「森首相の神の国発言」はどのように報じられたのか、その傾向を分析する。さらに、米国のメディア事情や、学校におけるメディア・リテラシー教育のあり方まで言及。その上で著者は、視聴者の判断力を向上させるメディア検証機構の設立を提言する。今日からニュースの見方が変わる! メディアの本質を見抜いた意欲作。
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紙の本
瞳の中の迷宮
2004/04/20 16:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:後藤和智 - この投稿者のレビュー一覧を見る
先日、東京のホテルに泊まっていたとき、朝早く目が覚めたので何気なくNHKを見ていたら、同局の「食の教育」に関するプロジェクトを報じた番組を放映していた。その冒頭で、スキャンダラスなナレーションと音楽を背景に、子供達がスナック菓子を食べている光景を映していた。私は気持ち悪くなったのですぐにチャンネルを変えた。
生放送のドキュメンタリーでもない限り、テレビは事実をそのまま伝えるのではない。事実に音響効果やBGM、およびナレーションを添付することによって加工して、初めて視聴者の目に情報が届くのである。だから、新聞にも同じことが言えるが、テレビの流す情報をすべて事実と信じ込んでしまったら、事実を見誤ってしまうことは確実である。
本書の第1部と第2部は、そのようなテレビ報道の問題点を多角的に分析している。第1部で取り扱われているのはNHKの、ODAおよび阪神大震災を取り扱ったドキュメンタリー番組であるが、これらの番組は、最初から結論が出来上がっており、その結論を導くための事例だけが集められているだけでなく、番組の構成も誘導的で、特にODA報道に関しては、自分が取材してきた事実に真っ向から反する、と著者は指摘する。
第2部は、北朝鮮の不審船騒動やガイドライン法案、及び森善朗・前首相の「神の国」発言に対する各番組の報道姿勢の検証である。全体的に、テレビ朝日「ニュースステーション」とTBS「NEWS23」が政府に批判的で、フジテレビ「ニュースJAPAN」が政府寄り、日本テレビ「今日の出来事」が中立である。しかし政府に批判的なテレビ朝日とTBSも、微妙に違う。具体的に言えば、テレ朝は情報は幅広いが加工が多く、逆にTBSは情報が偏っている。また、日テレはほとんど加工を行っていなく、時間も短めである。
本書のタイトルにもなっている「テレビ報道の正しい見方」とは、テレビが流す情報をそのまま受け止めることではなく、絶えず批判的に検証して見ることなのだろうか。自分が今見ているものが唯一の真実なのではなく、あくまでも事実の一部分に過ぎないということを認識すれば、テレビに限らず、マスコミを見る目も変わるかもしれない。
ただ第3部は、提言としては納得できるもの、どうも「言うは易し、行なうは難し」的な主張が多い。ただし、「メディア検証機構」は、本書の出版後に設立された。同機構に設立当時から関わっている碓井広義氏の『テレビの教科書』(PHP新書)は要併読である。
紙の本
テレビ報道を批判することの難しさ
2001/08/20 13:51
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投稿者:ufsw - この投稿者のレビュー一覧を見る
今、テレビが私たちに与える情報量や影響はとても大きく、新聞は読まなくてもテレビのニュースやドキュメント番組は見るという人も多いだろう。新聞を読む事を面倒だと感じたとしても、テレビならば情報は耳から入ってくるし、目からは映像が入ってくるので理解しやすく思える。視聴者はテレビで流された情報の正誤を初めから疑ってかかるという事はなかなかしないだろう。それどころか、テレビで報道されていた事が正しくないかもしれないという疑問を持つという事すらしない人も多い。私たちが普段何気なく見ているテレビで流される情報はすべて正しいものであるのだろうか?もし、正しくない情報が含まれているのであれば、私たち視聴者はどうやってそれを見極めることができるのだろうか?視聴者は正しくない情報が含まれるかもしれない報道をただ受け入れるだけで、報道する側へ意見する機会は無いのだろうか?そして、報道する側はどういう意図があって、事実を捻じ曲げて報道するという手段をとる事になるのだろうか?「テレビ報道の正しい見方」の筆者は、本の中でテレビに出演する側の立場からと、テレビ報道に疑問を感じた一視聴者としての立場から、テレビ報道に関するこういった疑問について述べている。
私たちがテレビから受け取る情報量や影響は大きく、これからもそれは大きくなっていく。一方的に、ただ流される情報を受け取る事は、決して事実や正しい情報を受け取っている事にはならないのだ。視聴者が、テレビ番組はどういう過程を経て制作されていて、自分が見ている番組はどういう意図で何を伝えようとしているのかを知る為の目を持ち、その上で自分がどの番組を見るのかを選択するというのが、これからの時代に視聴者に求められる姿勢なのであろう。テレビ報道を批判することの難しさ、また、これから私たちがテレビ報道を見る上でどういう姿勢をとるべきかということについて書かれた一冊である。
紙の本
情報化社会に生きる人間にとってテレビ報道が有意義なものであるために
2000/11/12 01:37
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投稿者:はのい - この投稿者のレビュー一覧を見る
テレビ朝日『サンデープロジェクト』のコメンテーターとして活躍する草野厚氏が、ニュース報道・ドキュメンタリーを中心としたテレビ番組制作過程の真実性を問う。
とかく視覚効果の凝らされた映像を伴うテレビ番組に対して、我々は「絶対的とも言えるほどの信頼」を寄せる傾向がある。著者はNHKのドキュメンタリーを徹底検証し、「あたかも中立性を装いながら、都合のよい情報を用いて一定の方向に誘導する番組」づくりが為されていることを指摘する。
また、NHK・民放各局の、同一事件(「北朝鮮不審船事件」「『神の国』発言」等)を扱うニュース番組の比較を通して、番組により報道内容が大きく異なること、過剰な演出・極度の権力批判等の存在、「装われた公共性」を批判する。
これら具体的検証を経て、最終章では、テレビの持つ特異性、通常我々の気づかない番組制作における裏側の事情を挙げ、テレビ番組を正しく見るための指針を示す。また、アメリカのメディア事情を論じ、メディア・リテラシー教育、メディア同士の相互批判、メディア検証機構の必要性を提唱する。
テレビに限らず、インターネットなどの情報洪水の中にある我々にとって、正しい情報を取捨選択するための道標となる1冊である。
紙の本
現代社会における「メディア・リテラシー」の重要性を全くのゼロから認識させてくれる
2001/01/19 18:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐藤 治彦 - この投稿者のレビュー一覧を見る
21世紀のキーワードとしてITとか環境問題といったことがよく取り上げられる。しかし,もうひとつ最重要なキーワードが抜け落ちていると数年前から指摘してきた。
それは,「メディアリテラシー」である。我々の生活がメディアから受ける影響は計り知れない。それは,書籍,新聞にテレビ,ラジオ,近年はインターネットまで加わり,影響が大きくなることはあれ,小さくなることはない。この中で最も多くの影響を与えるのがテレビである。影響の度合いは大きいが,その本質は人間本来の思考する機能を活発化させ「考えさせることによって影響を与える」というよりも「感情に訴えることによって影響を与える」部分が大きいメディアなのである。
だからこそ,我々はテレビとの関わり方について,ちょっとした警戒感を持たねばならないのである。しかし,日本人はテレビを全面的に信じ受け入れる傾向がある。感じているだけのことを,思考して吟味して受け入れたことのごとく扱ってしまうのである。これは民主主義や個人主義の進んだ現代社会においては大きな問題を含んでいるのではないだろうか。
メディアリテラシーは自分が受けるさまざまなメディアからの情報を一度フィルターを通して読み取る能力のことをいう。この本は,その重要性をテレビの報道番組の具体例を通して教えてくれる。
テレビ番組の本質とは何か。本来のニュースと報道番組におけるニュースとの違い。実際のニュースが番組制作の過程で歪められたニュースに変貌してしまう可能性の検証。数々の報道番組に出演し,自らもテレビの可能性と限界を熟知している著者が,具体例を用いて楽しみながらテレビの本質とメディアリテラシーの重要性を認識させてくれる力作である。およそテレビのニュースやドキュメンタリー,討論会など報道番組を見るすべての方に読んでいただきたい書物である。また,平易な文章と豊富な実例でさらに読みやすいことも付け加えておきたい。
(C) ブッククレビュー社 2000