電子書籍
凶刃―用心棒日月抄―
著者 藤沢周平 (著)
好漢青江又八郎も四十半ば、若かりし用心棒稼業の日々は今は遠い……。国許での平穏な日常を破ったのは、にわかの江戸出府下命だった。姿なき敵との凄絶な対決をむかえる用心棒シリー...
凶刃―用心棒日月抄―
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凶刃 用心棒日月抄 改版 (新潮文庫)
商品説明
好漢青江又八郎も四十半ば、若かりし用心棒稼業の日々は今は遠い……。国許での平穏な日常を破ったのは、にわかの江戸出府下命だった。姿なき敵との凄絶な対決をむかえる用心棒シリーズ最終作。
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紙の本
暗躍する幕府隠密と第二嗅足組を操る藩内の黒幕、江戸嗅足組の三つ巴の闘い。藩存亡の秘密が十六年ぶりに江戸を訪れた青江又八郎を襲う。過去との別れが寂寥感を誘う深遠なミステリー時代小説
2010/08/02 18:55
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
【あらすじ】
前藩主の兄寿庵保方の事件から十六年後、三人の子に恵まれ近習頭取となった又八郎は、半年間江戸へ出府することになった。
その又八郎は、嗅足組の頭領榊原から、藩隠密嗅足組の解散を江戸嗅足組の者に伝える密命を帯びていた。
ところが又八郎の出府前に榊原は殺され、卒の者で構成される第二の嗅足組の名簿が消え、又八郎も何ものかに襲われた。
犯人とその狙いが不明のまま十六年ぶりに江戸を訪れた又八郎を待っていたのは、藩存亡に関わる秘密と、幕府隠密、第二嗅足組、江戸嗅足組の三つ巴の闘いだった。
【書評】
用心棒日月抄シリーズ第四弾。
第三弾「刺客―用心棒日月抄」から十六年、四十半ばの青江又八郎は近習頭取となり、子が三人。前にせり出した腹は月日の流れを感じさせるものの、用心棒日月抄の世界に変わりない。
しかし前三作とは色合いがまったく異なる作品となっている。
というのも、これまではユーモアによる明るさと、用心棒や藩命の遂行によるサスペンスが魅力で、第二弾「孤剣―用心棒日月抄」の解説者向井敏氏の言葉を借りると『用心棒日月抄シリーズは端正でありつつ軽快、緊張を秘めつつのびやかという美徳を持つ』作品であったのだが、本作品ではこの美徳は息を潜め、哀惜を誘うもの悲しさと綿密に編み込まれた深遠なミステリー作品となっているからだ。
その哀惜を誘うもの悲しさの最たるものが、十六年前の貧しくも楽しげで自由だった用心棒時代との別れだろう。
ユーモアの代名詞であり、用心棒時代の象徴だった存在との別れが、心に大きな穴を開ける。
個人的には、少なくとも『あの頃は楽しかったな』と一緒に笑える存在を残して置いて欲しかった。
変わりない江戸嗅足組頭領の佐知との交情が、心に開いた穴を埋める救いになっているものの、用心棒日月抄の世界に必要なのは、子だくさんでがさつな髭の男であり、狸面でしたたかだが律儀で情のある男なのである。
寂寥感を伴う深遠なミステリーである本書は、文句の付けようのない作品だが、用心棒日月抄シリーズとしては少々不満が残る。
そういう訳で「凶刃―用心棒日月抄」は前三作とは別扱い、番外編と思うことで自分を納得させたい。
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第一弾:用心棒日月抄
第二弾:孤剣―用心棒日月抄
第三弾:刺客―用心棒日月抄
第四弾:凶刃―用心棒日月抄
紙の本
寂寥感
2018/02/21 21:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:暇ではいけないはずの誰か - この投稿者のレビュー一覧を見る
細谷源太夫や、相模屋吉蔵といった、主だった登場人物にも老いが訪れ、寂寥感あふれる作品となったと思う。
読んでいて、少し胸が締め付けられるような感情を味わった。
一方、佐知との交流は深まり(由亀を応援する立場では、ここも読んでいて辛い)といった面もあるのだが、そこにも時の流れは厳然として存在する。
少し寂寥感が募る。そんな作品だった。