2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ジミーぺージ - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、1 女の人差し指、2 テレビドラマ、3 食べ物、4 旅、
の大きなテーマのなかに5~15個のエッセイが書かれています。
どれも実体験で、昭和を思い出せる内容になっています。
60代以上の人には、特に懐かしく感じるものが多いと思います。
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
台湾での飛行機事故に巻き込まれ、脚本家で直木賞作家でもあった向田邦子さんが亡くなったのは1981年(昭和56年)8月だった。
この時向田さんはまだ51歳という若さであった。
それから40年近くなるのに、今でも向田さんは人気の高い作家である。
昭和の時代にも文豪と呼ばれた作家やベストセラー作家は数多くいるが、向田さんはそんな中にあっても今でもたくさんの読者に愛されている稀有ともいえる一人であろう。
向田さんの肩書の第一はもちろん脚本家であろう。
昭和のテレビドラマを牽引した一人であることは間違いない。
その次には直木賞まで受賞した作家としての向田さんであるが、直木賞の受賞が1980年であるから小説作品としては極めて少ない。
そして、もう一つの肩書がエッセイストである。
向田さんの魅力は案外このエッセイにおける文章の巧さのような気がする。
この『女の人差し指』というエッセイ集は1982年、つまりは亡くなったあと刊行されたものだ。
表題作でもある「女の人差し指」は亡くなる直前まで「週刊文春」に連載されていたエッセイで、随所に向田さんの父親や家族たちの姿が活写されている。
向田さんの魅力は長女のそれのように思っている。
自身には色々な想いがあるのだろうがそれをしまい込んで、家族のために立ち回ろうとする気性、そんな長女の魅力が亡くなって40年経っても衰えない人気の源泉ではないだろうか。
このエッセイ集にはほかに、「テレビドラマ」や「食べもの」「旅」といった単元で括られたエッセイが収められている。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
末の妹さんと開店したままやの話、旅行の話などのエッセイ集、「クラシック」が絶筆となったということで、悲しくなります。
ままやに行ってみたかった
2024/06/13 22:32
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kisuke - この投稿者のレビュー一覧を見る
向田邦子さんは料理本も出版されているだけあって、食エッセイが特に魅力的。とにかく美味しそう。
その向田さんの小料理屋「ままや」の開店前後のお話は、この本に収録されてます。トラブルに見舞われながらも楽しそう。一度行ってみたかったな、と今も思います。
葛湯にもなる銘菓のエッセイもこの本にありました。ずっと読んでみたかったので嬉しかったです。
投稿元:
レビューを見る
没後30年記念刊行、第一弾!ドラマ脚本家になったきっかけのテレビドラマ、グルメ、旅の思い出を綴ったエッセイ集。
投稿元:
レビューを見る
向田さんの作品は好きで何冊か読んでいるが、
久しぶりに読んでみて、文章のリズムというか、言葉の旋律というか、
これ見よがしでもなくサラッと書かれているけど、
ものすごく上手だなぁ、
それこそ名人芸、落語のようだと改めて感じ入った次第。
文章を読んでいると、書き手の性格や人情が見えてくるように思うことがある。
確かめようもないから、それが当たっているのか思い過ごしなのかは分からないが、
向田さんの文章を読んでいると、
ヤンチャで負けん気の強い、しかし従順で臆病なところもある。
賢くて、正義感があり、おっちょこちょいだけど、人に甘えるのが苦手。
そんな愛らしい女性像が見えてきて、さらに好きになる。
何年か前、テレビで『向田邦子の恋文』(だったかな?)というドラマをやっていた。
しがない男と半同棲みたいな感じだったような気がするが、
そういう生活もありながら、そういうところをまったくださない文章の
男気のようなものも感じる。
投稿元:
レビューを見る
エッセイなんだけど、短編小説を読んでいるような感覚。
小説でもそうだけど、背景の匂いが漂ってきそうで…聞いたことの無い向田邦子さんの笑い声とか聞こえてきそう。
投稿元:
レビューを見る
爆笑問題の太田さんが、「向田邦子のエッセイは面白い」と言ってたので購入。
ちょうど没後30年記念で新装版が出た所みたい。
そんなに昔の人とは知らなかったが、読んでいても全然文体が古くない。
他の本も読んでみよう。
投稿元:
レビューを見る
向田邦子のエッセイ。航空機事故で亡くなって30年が経つことを契機にした「没後30年記念刊行」ということ。それはともかくとして、向田邦子のエッセイは常に面白い。
ところで、僕の住んでいるタイの洪水被害はだんだんとひどいことになりつつある。
首都、バンコクでも浸水が始まり、昨日はかなり中心部に近いところでも浸水・冠水が始まった、との報道があった。僕が借りているアパートからも、近い場所での浸水だ。
僕自身は、というか、かなりの数の日本人が既にバンコクを離れている。僕自身の会社は、バンコクのオフィスを1週間以上前に閉鎖し、工場のあるラヨン県というバンコクから東南方向に150km以上離れた場所に移転し、そこで業務を行っている。宿泊も、会社に近い場所にホテルを借りている。この辺りは洪水の被害は皆無であり、ほとんど雨期も明けたので、今後とも、この辺りが洪水の被害に会う確率はほとんどないだろう。
これからバンコク中心部にも浸水被害は広がっていくと思うが、問題は解決の方法論が見当たりにくいことだ。
大潮を迎えるチャオプラヤ川の水位が上がり、堤防を越えて市内に流れ込んでくると同時に、アユタヤ方面から南下してきた大量の水は、まだバンコクの北部に大量に滞留しており、それがこれからバンコク市内に流れてくる。チャオプラヤ川からの水は大潮が終われば流れが止まるかもしれないが、北部から流れてくる水は消えるわけではなく、排水を行わない限り、地表からは消えない。その排水の効率的な方法がないのだ。
普通の雨の場合、降った雨は、運河や排水路等を伝って川、最終的には海に流れ込むわけであるが、今回、流れ込んでくる水量はバンコクの排水処理能力を大きく超えているために、市内に滞留することになる。政府やバンコク都から正確なアナウンスメントがないので、何とも言えないのだけれども、これからゆっくりと北部から水が市内に流れてきて、更にそれが排水されるまでには、相当な時間が必要だと思う。
僕自身は来月の半ば過ぎまではホテルを予約済であるが、その時点でバンコクのアパートに戻れない確率はけっこう高いように感じる。
バンコクに赴任して3年以上が経過するが、この国では色々と極端なことが起こる。赴任した年に空港占拠事件があり、出張先のシンガポールからバンコクに戻れなくなった。去年は赤シャツ派が市内中心部の一角を長期間占拠する、という事件が起きた。普段は住みやすい国なのだけれども、毎年のように、生活に何らかの影響を与えかねない事件が起こっている。もちろん、今回の洪水が最も深刻な話だ。
ともかく、過ぎ去るのを待つしかない。
投稿元:
レビューを見る
“どの路地にも四季があり、陽が上ると起き、目いっぱい働いて夜は早目に仕舞って寝る律儀な人間の暮しを見る思いがした。”
投稿元:
レビューを見る
うまい。面白い。さすが。今読んでも全く古臭くなく、感性豊かでウィットに富んでいる。自分のことをちょっと蔑んで、それを楽しんでいる感じがとっても素敵。
投稿元:
レビューを見る
端正でありながらあたたかい、向田さんの文章が楽しい一冊。
中でも特に、「香水」という文章が好き。彼女のお母様が十円玉のつもりで投げたお賽銭が百円玉だったと気づいて社務所にお釣りをもらいに行ったエピソードから、トイレの汲み取り、そして「含羞」という言葉がなくなったと感じる、という結びを迎えるのですが、このアクロバティックな展開がとても自然に結びついてることに驚きます。
そして彼女が開いた小料理屋の話や旅の紀行文など、バラエティに富んだ内容が面白い。
アフリカやアマゾンを旅して、観光ずれした現地の人たちにがっかりしつつ、それを文明人の驕りだと恥じる部分などは、多分当時としては新しい感覚だったのではないかと思います。
のんびり読める一冊。エッセイの醍醐味を感じました。
投稿元:
レビューを見る
テーマごとに区切られているものの
同じ題材で書かれている文章が2編入ってたりする辺り
エッセイ集として編まれたものではないんだな、ということを突きつけられる。
カレーライスのアンソロジーを読んだときから思っていたのだが
向田さんの食べ物エッセイは抜群に面白い。
そのクオリティの高さは相変わらずなのだが、
それに加えて紀行文というか旅行エッセイが面白い、というのが新たな発見だった。
そこには密接に食べ物も絡んでくるんだけど(笑)。
個人的には『沖縄胃袋旅行』が好きだった。
今では一般的になっている沖縄料理の数々だが、
当時と現在では微妙に表記が違っているのが興味深い。
各々のエッセイの最後に初出誌と年月が記載されている。
特に旅行記のパートを読んでいて、初出が昭和56年8月に近づいてくると
なんだか切なくなってしまって、読んでいて涙が出そうになった。
投稿元:
レビューを見る
寄稿先に合わせたテーマを鮮やかに切り取る手腕はさすが。
なんだけれど、何気ない日常を綴った普段のエッセイがやっぱり好きだなあ…。
投稿元:
レビューを見る
現代には向田邦子エッセイが足りない。テレビドラマ脚本家として名を挙げ、独身生活を美食や旅行で謳歌。有名人との華麗な交友など、と成功版たられば娘というか、なんとも数十年早く生まれた人だなあ、と思う。とはいえ、やはり初期の素朴なのとか父親ネタの方が好みで、旅行ネタはそこまでかなあ…