- 販売開始日: 2011/10/14
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-124702-1
竹光始末
著者 藤沢 周平
一家の糊口を凌ぐために刀を売り、竹光を腰に仕官の条件である上意討へと向う浪人の心意気『竹光始末』。口喧しい女房を尻目に、藩の危機を未然に防ぐ一刀流剣士の手柄『恐妻の剣』。...
竹光始末
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商品説明
一家の糊口を凌ぐために刀を売り、竹光を腰に仕官の条件である上意討へと向う浪人の心意気『竹光始末』。口喧しい女房を尻目に、藩の危機を未然に防ぐ一刀流剣士の手柄『恐妻の剣』。他に『石を抱く』『冬の終りに』等、小説巧者・藤沢周平が、世の片隅で生きる男たちの意地と度胸を、ユーモラスに、陰翳豊かに描く傑作時代小説、全6編。
著者紹介
藤沢 周平
- 略歴
- 1927〜97年。山形県生まれ。中学校教員、業界紙記者を経て、作家に。「暗殺の年輪」で直木賞、「白き瓶」で吉川英治文学賞を受賞。
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時代小説のおもしろさ
2015/10/22 08:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ビル - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めたら、一気に読み終わりました。
武家や市井の人々の、大小の苦しみや不安をやユーモアとシリアスな物語で描く6編
2010/01/24 19:05
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
映画「たそがれ清兵衛」の原作の一つ『竹光始末』を含む、武家物から市井物までバラエティーに富んだ全6編を収載している。
登場人物達の繊細な心の動きが、手に触れているように感覚として感じられる作品集。
『竹光始末』
小黒丹十郎とその家族は、仕官の口を求めて越前よりやってきたが、すでに新規召し抱えはとっくに終わっていた。
つてにより丹十郎が訪れた柘植八郎左右衛門は、このまま去らせては後味が悪くなると奉公口を探しているとき、討手の話が舞い込む。
はるばる越前からやって来て、知人に紹介された柘植という人物がいると知った、妻と子どもの喜びようが印象的だった。
粗末な衣服を着ている丹十郎や妻子と恥じる様子のない姿に心動かされる、柘植夫妻の微妙な気持ちが生々しくに感じられる。
『恐妻の剣』
馬場作十郎は剣の腕は一流である。しかし、それによって扶持が増えるわけでもないと、妻に冷たくされている。
そういう妻を見ている子ども達も作十郎を軽んじている。やがて作十郎は剣の腕を買われ、討手を申しつけられた。
馬場彦十郎の不遇をユーモアでもって描いた作品。
作十郎の剣の腕を証明するように討手の役目が描かれているが、それでも家の中では妻が強い馬場家の様子は面白い。
『石を抱く』
直太は奉公先のおかみに同情している。夫は妾の家に入り浸り、弟は度々店に金の無心にやってくる。
そして直太はおかみの弟を呼びだした。
直太の強い献身を描いた作品。
石を抱いて牢問の責め苦に遭う時だけ、おかみとのつながりを強く感じる様子に、昔つき合っていた女に裏切られた直太の一途さのようなものが感じられる。
『冬の終わりに』
賭場で五十両儲けた磯吉は、儲けさせられたとも知らずに賭場から出ると、当然のように男達から追われた。
百姓家に匿ってもらった磯吉は、高熱を出して苦しんでいる子供がいるのを知り、儲けた金で医者に見せた。
賭場での出来事をきっかけに、口うるさい母親のせいで嫁が家を出て以来、独り身で母親と住んでいる磯吉の、やがて長い冬が終わる様子が描かれている。
『乱心』
美貌の妻茅乃が不義を働いたという噂が広まってから、清野の様子が変わった。
新谷弥四郎が清野とともに出府を半年後に控えた日、茅乃が訪ねてきて、不義の相手と噂される三戸部も出府するのだと言った。
美しい妻を持ったが故の悲しい男の結末と心理を描いた作品。
清野が病気だと心配する妻茅乃をよそに、乱心していく清野の姿は痛ましい。
『遠方より来る』
三崎甚平の家に、戦で敵の首を獲ったおり、証拠の見届け書き付けを書いてくれた男曾我平九郎が訪ねてきた。
しかしそれは奉公の役に立たなかったため何の義理もない男だったが、言い出せず、平九郎は図々しくも居候を始めた。
昔の義理を頼って突然やって来て居候する男と、居候されたの家族の様子を描いたユーモア溢れる作品。
突然やってきたそれほど親しくもない男に、図々しく居候されて戸惑い、小さな諍いを始める家族の様子が面白い。
(「雪明かり」にも収載)