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  • カテゴリ:一般
  • 販売開始日:2012/04/01
  • 出版社: 新潮社
  • ISBN:978-4-10-115744-3

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剣客商売十四 暗殺者

著者 池波正太郎 (著)

小兵衛は見た。凄腕の二人の浪人者をたちまちにして蹴ちらした、その巨漢の剣客の手並みを。男の名は波川周蔵。「あの男ならせがれでも危い」。波川にいわれなき胸騒ぎを覚えた小兵衛...

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剣客商売十四 暗殺者

税込 484 4pt

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商品説明

小兵衛は見た。凄腕の二人の浪人者をたちまちにして蹴ちらした、その巨漢の剣客の手並みを。男の名は波川周蔵。「あの男ならせがれでも危い」。波川にいわれなき胸騒ぎを覚えた小兵衛は、やがて大治郎襲撃の計画を偶然知るや、卓抜した剣客の直観で、その陰謀と波川との見えざる糸を確信する。秋山小兵衛六十六歳、一剣客として父として、その血は熱く沸いた。シリーズ第14弾、特別長編。

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評価内訳

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  • 星 1 (0件)

紙の本

田沼意知暗殺の年、秋山父子にも異変が……?!

2012/01/27 17:45

1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:saihikarunogo - この投稿者のレビュー一覧を見る

いよいよ、天明四年(一七八四年)、田沼意知暗殺の年がやってきた。第十四巻『暗殺者』は長編である。作中、天明の大飢饉や、田沼意次の権勢は相変わらずだが悪評ますます高く、印旛沼の干拓も順調ではないことにも触れている。

第一話『浪人・波川周蔵』は、仕掛け人藤枝梅安シリーズのようなやりとりから始まっている。もっとも、波川周蔵はここでは暗殺依頼を断わっている。

波川周蔵は、秋山小兵衛・大治郎と並んで、この巻の三人目の主人公である。剣の腕は秋山父子と互角。妻と幼い娘がおり、人柄もいい。そして、周蔵は大治郎と同じようにからだが大きく、彼に仕掛けを依頼するのは小兵衛と同じように小柄で上品で義理も人情も知恵もある老人の萱野亀右衛門。ただ、周蔵とその妻は非常に無口な性格で、特に周蔵が無口になったについては、彼の過去の出来事が関わりがあるらしい。その「過去」が、周蔵を追いかけてきて、別の「暗殺」を実行せよと迫る。

梅安シリーズの「仕掛け人」に、しばしば、人間的な味わいがあって共感を覚えることがあるように、波川周蔵と萱野亀右衛門も、彼らの家族も、好感を抱かせられるような場面が繰り返し出て来る。

一旦、殺し屋稼業に手を染めると、なかなか、足を洗えないという、萱野亀右衛門と波川周蔵。彼らは、過去のしがらみを断ち切って穏やかな隠居生活や家庭生活を手にすることができるのか?

一方、ひょうんなことから、波川周蔵が秋山大治郎の暗殺を依頼されたらしい、と知った、秋山小兵衛。以前、小太郎と散歩していたとき、娘の手を引く波川周蔵に会ったこともあり、たまたま、彼の剣の腕前を知る機会もあったので、大治郎にとっていかに強敵であるかがわかっているだけに、心配で仕方がない。四谷の弥七と傘屋の徳次郎の助けを借りて、何者が何の目的で大治郎の命を狙っているのか、探索に務める。しかし、父親が心配でたまらないのに、息子の方は、やけに落ちついているように見えて、ついには、癇癪を起こしてしまう。

秋山大治郎の暗殺は、もっと大きな政治的陰謀を成功させるための手段として、計画されたものだった。小兵衛や大治郎の知る由もない田沼意知暗殺の日も近づいて来る。

そんななか、久しぶりに正面から小兵衛と路上で出逢い、穏やかに挨拶を交わす、波川周蔵。お互いに、内心を隠しているが、既に、暗殺のことが頭にある。

波川周蔵はほんとうに大治郎を斬るつもりなのか?

この巻は、「暗殺者」側の主人公に好感と同情が増していくほど、サスペンスも増していき、長編としてのおもしろさを堪能できた。

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紙の本

年を重ねる事に弱々しく変わってゆく親。子にはそれを受け容れる変化が求められる。

2012/03/28 18:58

2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る

 秋山小兵衛には、理想の父親像のような感覚がある。
 常に泰然とした姿が、そう思わせるのだろう。
 ところが、この巻で、とうとう弱気を見せることとなり、常に強くあって欲しい父が、普通の人間になってしまったような、もの悲しさを覚えた。

 小兵衛は、何者かが、大治郎と、かなりの剣を使う浪人・波川周蔵の決闘を内密にすすめているらしいことを知り、ただならぬ密謀の気配を感じとった。
「何やら量り知れぬ事が背後にあるような気がしてならぬのじゃ」

 岡っ引の弥七と、手下の徳兵衛は、真相究明に協力を惜しまない。
「すまぬのう。このとおりじゃ」
 と両手を合わせ、目を潤ませて感謝する小兵衛は、弱々しい。

 かと思うと、密謀の恐るべき全容を知った小兵衛は興奮状態に落ち入り、それでも平然としている大治郎に、
「このところ、毎日のように、父や弥七や徳次郎が苦労を重ねているのを、おのれは何と看ていたのじゃ」
「父上。ま、落ちついて下さい」
「黙れ、黙れ!!」
 と、ついにヒステリックになってしまった。

 小兵衛はこの巻で六十六になる。
 小兵衛の見せた弱さは、年齢から来るものだけではなく、年来の友・内山文太の死(【夕紅大川橋】『剣客商売〈13〉波紋』に収録)も、大きな衝撃を与えたようだ。

 もし内山が剣客として死んでいたなら、「それも剣客の宿命」と割り切れていただろう。
 しかし内山は、隠し子騒動に一段落つくと、呆けてしまい、死んでいった。
 この剣友の死に、六十六となった小兵衛は己の死も想像したはずだ。
 こういう出来事が重なって、剣客としての顔より、息子を思う人の親としての顔が噴き出した。
 そう理解できるのだが、やはり小兵衛の見せた弱さには、「このあと次第に弱々しくなっていくのだろうか」という寂しさを覚えてしまう。

 一方で、波川周蔵が、狂ってしまった母を引き取る場面がある。
 波川が、やむをえない状況で藩を出奔して十七年。
 亡くなったであろうと諦めていた母は生きていた。
 母と生きて出会えた波川には、母が狂っていようが、いまいが関係なかった。

 このことは、人は変化するものの、親と子という関係には変わりがないということを認識させてくれた。
 強かろうが、弱かろうが、狂っていようが、いまいが、親は親なのだ。

 弱々しく変化する親を悲しむことは、親に対して、常に強くあって欲しいという不変の気持ちがあるということだ。
 しかし必要なのは、どのように変化した親であろうと、それを受け容れる子の側の変化なのだと、思い知らされた一冊だった。

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2021/07/06 14:31

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2010/04/13 09:34

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2013/02/21 20:57

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2012/06/21 02:23

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2013/01/11 17:40

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2012/11/17 14:30

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2014/01/29 17:14

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2019/09/01 04:54

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2013/12/19 18:00

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