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  • 販売開始日: 2012/04/01
  • 出版社: 新潮社
  • ISBN:978-4-10-115650-7
一般書

むかしの味

著者 池波正太郎 (著)

「[たいめいけん]の洋食には、よき時代の東京の、ゆたかな生活が温存されている。物質のゆたかさではない。そのころの東京に住んでいた人びとの、心のゆたかさのことである」人生の...

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むかしの味

税込 649 5pt

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商品説明

「[たいめいけん]の洋食には、よき時代の東京の、ゆたかな生活が温存されている。物質のゆたかさではない。そのころの東京に住んでいた人びとの、心のゆたかさのことである」人生の折々に出会った“懐かしい味”を今も残している店を改めて全国に訪ね、初めて食べた時の強烈な思い出を語る。そして、変貌いちじるしい現代に昔の味を伝え続けている店の人たちの細かな心づかいをたたえる。

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みんなのレビュー42件

みんなの評価3.9

評価内訳

食を書きながら人生を語った池波先生が、過去の生活と思い出が結びついた食べ物や店のことを「うめえ、うめえ」と語った本。

2002/07/05 11:52

4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る

 最近知り合った人に「おいしいコーヒー豆の情報がほしい」と言われた。エネルギー賭けて「こだわる」というのができないたちなので、何についても、広く浅くあちこち穴の開いた情報しか持ち合わせていないが、「イノダの<アラビアの真珠>の宅配でもしてもらったら」とお茶を濁すつもりでヤフーの検索をかけてみた。
 そしたら、何と三条下ルのイノダ本店が平成11年4月に消失して、平成12年3月にリニューアルオープンしたのだという。「ええっ! 知らんかった。信じられない」と驚いた。
 口にするものすべて、おいしいものを取り寄せていては生活が成り立たない。<アラビアの真珠>は私にとっては贅沢品で、東京のデパート催事で京都展をやっていて、そこにイノダが出店されたとき経済的余裕があれば買うだけのおつき合い。
 苦味にも酸味にも片寄らず、それでいて芳醇なコーヒーが好きな私は、ふだんはカルディのセールや有機栽培の宅配でお買い得品を買う。

 新装オープンしたイノダ本店のことを考えていて、思い出したのがこの本だ。「京都[イノダ]と[開新堂]」というタイトルでごく短いエッセイが書かれている。京都のある商家の老主人に「私の朝は、イノダのコーヒーから始まります。もう、長い間の習慣で、イノダのコーヒーをのまんことには、一日が始まりません」と話しかけられたエピソードにつづき、植草甚一氏と交わした「どうして、イノダのコーヒーは、あんなに旨いんでしょうね?」「さあ…」「ねえ、どうしてでしょう?」という問答。
 そこに、池波先生が描いた「[イノダ]の朝」というしゃれた絵が添えられている。
 この人が愛した「店内の雰囲気、造作、装飾、器物…何をとっても老舗の格調が看てとれる」というもののうち、どれだけが焼けてしまったのだろう。少し切なくなった。
 何回も京都に行ったけれど、私のイノダ本店体験もわずか1回だけで封じられてしまった。
 イノダで食べられるものも、みんな旨い…と書いて、池波先生はロースト・ビーフやカツレツなど昔のままの「男が食べるサンドイッチ」を絶賛する。駅弁なんかには見向きもせず、冷えた缶ビールとイノダのサンドイッチを抱えて列車に乗り込む…と威勢がいい。

 「こういうカッコいい紳士と食べてみたいものだなあ」と思わせられる絶品の品々が、巻頭のカラー口絵16ページにずらり並んでいる。[まつや]や[刀屋]のそばであり、[たいめいけん]や[資生堂パーラー][煉瓦亭]の洋食であり、[新富寿し]の皿盛りであり、[万惣]のフルーツである。どれもグルメたちにはお馴染み、というか池波先生がポピュラーにしてきたものばかりだ。
 だが、なかでも最もおいしそうなのは、池波先生みずから調理したという「どんどん焼き」のバリエーションである。下町で過ごした少年時代、小遣い握りしめて通ったお好み焼の屋台で出合ったパンカツやキャベツ・ボールなどが再現されている。池波先生が12歳のときに屋台のおやじに考案して作らせたという[鳥の巣焼]や[ポテト・ボール]もある。
 本文には、その屋台のおやじとのクスリ笑えるエピソードが書かれている。エッセイの最後には、焼きそばの隠し味について、読者が肝に銘じるようにという調子で但し書きがある。私はもう何年か焼きそば作りに、その魔法を忘れないよう使わせてもらっている。池波先生は、家庭でのささやかな一品も、食通のためのそれに変えてくれた人である。

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良いですね

2024/04/30 14:16

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:a - この投稿者のレビュー一覧を見る

池波正太郎さんによる食の懐古エッセイです。執筆時が昭和56年で、東京にフランス料理店が乱立し、美味しいがどこも一緒と嘆いていますよ。

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むかしの味

2020/02/28 20:14

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る

何でこんなに美味しそうに感じるのでしょうか。京都のイノダコーヒーは行ったことがあるので、なんだか嬉しくなりました。

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守りつづけられる「むかしの味」

2009/03/06 12:27

7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:きゃべつちょうちょ - この投稿者のレビュー一覧を見る

池波氏が行ったことのあるお店のとっておきの品について
彼のおもいでを交えて綴ってある。
ファンのあいだではこういう、食に関するエッセイも人気が高いらしく
そういえば以前に山本一力さんがテレビでこの本を紹介していた。

おどろいたのは、池波氏の絵の才能である。そう、この本は
表紙から挿絵まで彼自身が手がけているのであるが、
とても雰囲気が出ていて味のある絵ばかりなのだ。
とくに私は京都の「イノダコーヒー」について語った章に出てくる、
「イノダコーヒーの朝」という絵が好きだ。
コーヒーをのむ朝の男たちの風景がえがかれている。
この絵を眺めていると、香ばしいコーヒーの香りと湯気が
たちこめたみたいに、鼻がくすぐったくなってくる。
そして、お店のなかのあわただしく皿と皿がぶつかり合う音や
店員のオーダーする声が聞こえてきそうなのである。

食のエッセイというと、東海林さだおの「丸かじりシリーズ」も大好きで
寝る前に読むととても幸せな気持ちになれるのだが、
東海林さだおの表現力ゆたかなユーモアとは、また一味違う味わいである。

登場するお店は、すべてがいまも現存するかどうかはわからないが、
「たいめいけん」や「煉瓦亭」など、いわゆる老舗といわれるような
伝統の味を守り続けている感じをうける。
そしてこの各店での食事とともにおもい起こされる、池波氏のエピソードの洒脱さ。

たとえば神田・万惣のホットケーキの話。
少年時代の池波氏が両親の離婚により母方の祖父のもとへ引き取られる。
もと父君は、三ヶ月に一度くらいの頻度で池波氏に会いにきて外出する。
ある日映画を見た帰りに、父になにが食べたいかと聞かれた池波氏は
「ホットケーキ」と答える。
すると父は、当時の東京でも指折りの果物店、「万惣」に連れて行くのである。
果物店で出てくるホットケーキ、というめずらしさもさることながら、
その確かな味にいっぺんで池波氏はとりこになり、おとなになってからも
「万惣」にかようようになったらしい。
この店でホットケーキを口にし、わずかに昔の風景をとどめた神田を
窓に見るとき父をおもい出すのだという。
淡々とした語り口に少年時代の一瞬のきらめきを閉じ込めたエピソードで
特に章を結ぶラストの一行に、それがこめられている。

やさしく紡がれた文章のなかに、
作家としての「本質を追求するという姿勢」を
伺わせる、味のある一冊なのである。

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2006/10/30 15:31

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2007/02/04 10:59

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2007/04/30 04:31

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2008/11/28 10:44

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2010/10/02 18:27

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2011/05/08 08:11

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2012/04/05 13:28

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2012/05/04 00:26

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2012/06/17 09:12

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2013/02/05 00:18

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2021/01/22 00:57

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