エースの資格
著者 江夏豊 (著)
いま「エース」と呼べるのはダルビッシュと杉内だけだ。「投手分業制」「飛ばないボール」「球数制限」――ピッチャーを取り巻く環境は確実に変化しつつある。それでもなお、変わって...
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商品説明
いま「エース」と呼べるのはダルビッシュと杉内だけだ。「投手分業制」「飛ばないボール」「球数制限」――ピッチャーを取り巻く環境は確実に変化しつつある。それでもなお、変わってほしくないものがある。エースの資格。チームの勝ち負けを一身に背負う絶対的な存在感。味方をも恐れさせる無言の力。年間20勝、完投翌日の連投も辞さなかった以前にくらべ、「真のエース」はもう生まれないのか? 阪神時代はエース、移籍後はストッパーとして輝かしい記録と記憶を残した伝説の左腕が、いまプロ野球界に厳しくも熱きメッセージを贈る。「もっともっとわがままになれ! 優等生はいらない!」【内容例】澤村が「巨人のエース」と呼ばれる日はそう遠くない/キャッチャーに「わがまま」と言わせたダルビッシュ/松坂が故障から復帰後どう転身していくのか見守りたい/速いだけが「いい真っすぐ」ではない/藤川が抑えで成功したのはめずらしいケース etc.
著者紹介
江夏豊 (著)
- 略歴
- 1948年生まれ。兵庫県出身。大阪学院大学高等学校卒業。元プロ野球投手、野球評論家。著書に「左腕の誇り」など。
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自身の「意思」を貫くための目標を必要とする時代。
2012/03/17 09:02
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:浦辺 登 - この投稿者のレビュー一覧を見る
近年、球場に足を運んでのプロ野球観戦がめっきりと少なくなった。それだけではなく、テレビのプロ野球中継すらも「ウルサイ」と思うようになり、チャンネルを合わせることもなくなった。原因はいろいろあるが、ひとつには野球選手がタレント、それもアイドル的な存在になり、球場がコンサート会場になっているからである。選手の一挙手一投足に黄色い声援があがる様は、スポーツというよりもショービジネスであり、ヒーローインタビューも観客の受け狙いのパフォーマンスにしかみえない。
本書を読みながら、往年の熱い戦いの一球、一球が甦って来る。通読しながら、江夏氏自身は優れたピッチャーでは無かったと述べている。そうは言いながら、氏は名球会入りとしての200勝を挙げ、さらに、セーブというピッチャーの新分野の開拓者でもある。江夏氏自身、素質は無かったといいながら、他の選手と何が、どのように違うのか。それは、本人が気付かないうちに肩を作るための砲丸投げをしていたことに加えて創意工夫をしていたことにつながる。このことは、かつて鉄腕の異名をとった西鉄ライオンズの稲尾投手を彷彿とさせる。稲尾投手は漁師の息子として櫓をこぎ、バッティングピッチャーとして一軍選手の紙一重とも言える要求通りのピッチングを重ねていた。
江夏氏はエースピッチャーとして、ダルビッシュ、杉内を挙げる。いずれもパ・リーグでのエースピッチャーとしての実績は申し分ない。江夏氏の言葉を反芻しながら、両者に共通するのは、強固な意思だろうか。江夏氏自身も「意思」という言葉を多様されるが、さほど、ご自身も現役時代に「意思」を貫いたということになる。現代の日本社会では、上司に従順であり、同僚、後輩にも、取引先にも受けのよい人物が求められる。公平な意識を求められる学校のなかで生きて行くのであれば良いが、プロの世界では強い個性が求められる。プロとは自分を貫く「意思」の有無なのか、とも思える。
本書の構成は高橋安幸氏がされているが、氏には『伝説のプロ野球選手に会いに行く』というシリーズ著作がある。伝説のプロ野球選手のインタビュー記事の集大成でもあるが、それぞれに往年のプロ野球選手が創意工夫をしていたことは新しい気づきだった。江夏氏が語る創意工夫は本書ではほんのわずかであり、もっと奥は深い。標準的な能力を求められるサラリーマン社会においては「意思」を持つ、主張するサラリーマンは疎外されるかもしれない。
しかし、大きく時代が変革した今、この江夏氏の「意思」「創意工夫」が求められている時なのではないか。組織でも他人でも無い、自分自身が作り上げる「目標」を持たなければ、生き残ることはできないことを江夏氏は示唆している。
江夏さん
2012/09/09 17:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:リゲル - この投稿者のレビュー一覧を見る
直接は書いてないのだが、カーブとストレートで打者を牛耳った男の凄味が感じられた。