商品説明
元明天皇、元正天皇ら女性天皇が護った天武直系の皇統。期待とともに即位した聖武天皇を待ち受けていた天災と政変。疫病大流行に苦悩する天皇は仏教に深く帰依し、平城京は仏都の彩りを濃くしていく。そして空前の専制君主・称徳天皇、聖武朝の否定者・桓武天皇が新時代を切り開いた。都は平城京から平安京へと遷る。波乱に満ちた古代天皇の生涯と宮都の実像を活写する。
目次
- 序 章 天皇の都・仏の都
- 1 二月堂の夕景
- 2 大伽藍本願聖武皇帝
- 3 仏と神と御霊
- 第一章 飛鳥から平城へ
- 1 天智天皇と天武天皇
- 2 天武朝の転換点
- 3 天武直系皇統の創出
- 4 飛鳥・藤原・平城
- 第二章 平城宮の儀礼と政務
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紙の本
王権政治から摂関政治への転換を分かりやすく記述
2011/04/20 13:39
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:あまでうす - この投稿者のレビュー一覧を見る
いったん天智から天武に移行した王権が、文武、聖武、幸謙・称徳を経て光仁からその子桓武天皇に移った時点で、平城京は7大寺を拠点とする仏都に転化せしめられ、政治経済の拠点は長岡京を経て平安京に定着することになりました。
本書はさらに桓武以降の皇位が、平城、嵯峨、淳和、仁明に継承され、王権政治が崩壊して律令体制を基盤とする摂関政治へと転換されていくさまを分かりやすく記述しています。
私が特に興味深く読んだのは、平安京を開いた桓武天皇の事績です。自己の権威付けのために父方の天智系皇統を称揚した桓武は、今度は当時、「蕃人」視されていた百済系渡来氏族の出身である母方のイメージアップに取りかかります。
亡き母親和新笠に皇太后のおくりなを与え、交野を本拠とする百済一族に対して叙位を行い、「百済王らは朕の外戚なり」と宣言した桓武こそは、今も昔も本邦に根強く存在する朝鮮民族に対する故なき差別意識に対する史上はじめての公的挑戦者だったのではないでしょうか。
もっとも弥生時代に朝鮮半島から大量に移住してきた弥生人のDNAが私たち現日本人の血肉にどっぷり内蔵されていることを思えば、天皇桓武の賤民意識脱却の国策キャンペーンなど、はなから無意味であったわけですが。
この桜見せてあげたし二万人 茫洋