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永遠の詩08 八木重吉
著者 八木重吉 (著) , 井川博年 (選・鑑賞解説)
言葉のひとつひとつに悲しみと愛があふれる詩人。●今日的に意義のある詩人を採り上げ、その代表作を厳選。●現代仮名遣いによる本文、振り仮名付きで読みやすく。●各詩には詩人(高...
永遠の詩08 八木重吉
八木重吉 雨があがるようにしずかに死んでゆこう (永遠の詩)
商品説明
言葉のひとつひとつに悲しみと愛があふれる詩人。
●今日的に意義のある詩人を採り上げ、その代表作を厳選。
●現代仮名遣いによる本文、振り仮名付きで読みやすく。
●各詩には詩人(高橋順子・矢崎節夫・井川博年)による解説をつけ、作者の生い立ち、作詩の背景、詩のもつ魅力がよくわかる。
●各詩人の人生と詩集が一目でわかるビジュアル年譜(写真とイラスト入り)。
●巻末には魅力的な執筆陣によるエッセイを収録。
癒しに満ちた傑作詩を鑑賞解説付きで収録。
本シリーズの最後、第八巻を飾るのは、今の時代にこそ読んでほしい、〈かなしみ〉の詩人、八木重吉。みじかく、とつとつとしたことばで、泣きたくなるようなさびしい感情を詩につづった。すべての詩に鑑賞解説付き。
永遠の詩シリーズは、今日的に意義のある詩人をとりあげ、代表作を厳選しました。わかりやすい解説で、詩があなたにもっと近くなります。
著者紹介
八木重吉 (著)
- 略歴
- 1898~1927年。東京府生まれ。東京師範学校卒業。英語教師として勤める傍ら、人間存在のかなしみを問う詩を書いた。詩集に「秋の瞳」がある。
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紙の本
悲しみをじっくり味わいたい詩集
2010/08/27 20:33
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「永遠の詩」全八巻の最終巻八巻めは、八木重吉。八十篇の詩が収められている。短詩詩人であった八木重吉ゆえの多さである。
巻末のエッセイは、作家の江國香織が担当している。
詩は悲しみだけをうたうのではない。
怒りも喜びも絶望も切なさも希望も勇気もうたうのが詩である。しかし、どこかで悲しみがひそんでいるのも詩の特長ではないだろうか。
本書の扉に八木のこんな言葉が記されている。「この貧しい詩を、これを読んでくださる方の胸に捧げます。そして、私を、あなたの友にしてください」。
私には「貧しい」が「悲しい」に見える。「私」は「悲しみ」に思える。
わずか29年の生涯であった八木重吉だが、こうして何年にもわたり多くの読者を魅了してきたものは、透きとおるような重吉の悲しみの表現ではないだろうか。
「雲」という、わずか四行の短詩がある。「くものある日/くもは かなしい//くものない日/そらはさびしい」
小学生にも書けるような語彙のつらなりながら、長い生涯を生きえても表現できない、研ぎ澄まされた感性がうかがえる。それは悲しさをしった人間だけのものである。
あるいは「春」という短詩。「桃子」と幼きわが子に呼びかけたあとで、「お父ちゃんはね/早く快くなってお前と遊びたいよ」とつづく。たったこれだけの詩に、重吉の万感の悲しみが満ち、あふれだしている。
詩は悲しみだけをうたうのではないだろう。
しかし、悲しみから逃れられない人間を救うのも、また詩である。
八木重吉の詩はそんなことを教えてくれる。
ちなみに、表紙の「雨があがるようにしずかに死んでゆこう」は「雨」という詩の一節である。
◆この書評のこぼれ話は「本のブログ ほん☆たす」でお読みいただけます。