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電子書籍
真説 ザ・ワールド・イズ・マイン 1巻(3)
著者 著者:新井英樹
本能のままに暴力を振るい続ける、狂気じみた謎の男 モン。そのモンに憧れ、破壊行動に協力する爆弾魔 トシ。旅を続けながら二人は爆破テロを繰り返す。時を同じくして、巨大な熊の...
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真説ザ・ワールド・イズ・マイン 1 (BEAM COMIX)
商品説明
本能のままに暴力を振るい続ける、狂気じみた謎の男 モン。そのモンに憧れ、破壊行動に協力する爆弾魔 トシ。旅を続けながら二人は爆破テロを繰り返す。時を同じくして、巨大な熊のような謎の怪獣「ヒグマドン」が突如日本に出現、圧倒的な力で人々を殺戮していく…。多くのアーティストやトップ・クリエイターから絶賛を浴びる現代最大最凶のバイオレンス巨編が、大幅な加筆修正を加えた「真説」として新生!
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紙の本
命とは、善悪とは、殺しとは
2011/09/03 20:10
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:muneyuki - この投稿者のレビュー一覧を見る
漫画『ザ・ワールド・イズ・マイン』の主人公は二人。
「俺は俺を肯定する」「命は平等に価値が無い」と言い放つ、究極のエゴイスト、モン。
その圧倒的暴力性に惚れ込み、最大の協力者となる、トシ。
二人合わせて「トシモン」と呼ばれるようになる、殺人鬼の物語。
漫画自体は、このトシモンという殺人鬼と、ヒグマドンという怪獣の進撃との、二つの脅威に晒される日本を、人々やその心理を、描く作品です。
モンは上に書いた通りの横暴さ、個人の横暴さを通り越した天衣無縫さともいえる個人主義者で、タイトルのような思想性、「世界は自分のモノである」を柱とする人間です。その柱、目的の為に、躊躇なく、差別なく、人を殺します。
トシは「フツーの人間」です。冴えない人生を送っていて、たまたまモンに出会って「しまった」が為に、それまでの自分の道徳性、理性、社会性、願望を隠していたモノを吹き飛ばされ、躊躇いながらも殺人鬼と化していきます。
モンが殺す際に、相手を殺してやろうという殺意はありません。
彼にとって自分以外の人間は「障害」でしかなく、ヒグマドンと同じ様に、ただ自分の進路に居るというだけで殺す理由に成り得ます。そこには他人をどうこうしてやろうという悪意・害意も無ければ、なるべく苦しまないようにという慈悲もありません。在るのはただ暴力のみ。
「善悪」という価値観は、他者が存在して初めて産まれるモノです。モンは法律的に「悪」ではあります。しかし、彼の世界には他者が存在しないのです。一応、相棒としてのトシを認識しては居るのですが、全く彼の言う事など耳に入れようともしません。殺す側・殺す側には何の関係性も無く、ただ行きずりで、殺す。
「モンの殺し」は、全く何の意味も無いのです。
「何となく」とか「腹が立った」という瞬間的な理由付けすらなく。
だから、野生の生物のような恐ろしさがあります。野生生物と違うのは、自分が暴力を振るえるという自覚を持っている事。道具を扱えるという事を知っており、殺した後の結果が食料を得る以外にも在る事を知っているという事。
限りなく野生に近い思考を持った人間、だからモンは怖いのです。でも、客観的悪者ではあるけども、主観的悪者では無い、非常に性質の悪い、悪者なのです。
その点、トシは初めての殺人に涙を流し、吐き気を催しながら、必死で殺し、やがてそれが加速してどんどん殺人者としての風格を表わしていきます。
トシは「一番大事な人の死」によって、真に殺人鬼として目覚めていきます。そう、「フツーの感性」を持っているのなら、タガが外れるのは「大きな喪失によって」であり、「フツーじゃない感性」を持っているのなら「一々そんな事は気にしない」のです。
そんな対称的な二人組の殺人鬼と、大怪獣は「日本」という国に、そして読者にどんなダメージを与えるのか。
ダメージ覚悟で読んで下さい。