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家康の策動、景勝の胎動、草の者の躍動が物語を動かす
2009/12/27 16:32
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
秀吉の死後、天下を手中にすべく動き始めた徳川家康に対して、上杉景勝が帰国後、軍備を整えはじめたところから、西と東に別れた大名たちが機先を制すべく争いを始めたところまでを描いている。
また真田太平記一巻の始まりで、高遠城からの劇的な脱出劇を演じた向井左平次の秘密や、じきに起きるであろう戦に供えて全国を駆け回る草の者を描いている。
この後起きるであろう大戦で、家康と三成の勝つ方に見方しようと考える日和見の大名たちの思惑が入り乱れ、そして関ヶ原の戦いへなだれ込んでいく様子は、なんとか家を守ろうとする大名の人間臭さが生々しく感じられた。
歴史の大きな流れをを描きつつ、真田や草の者たちの細かい動きが描かれているのも本書が面白いことの一つであるが、そのほかにも池波氏が気に入っていると思われる人物達(滝川三九郎一績や勇猛で一命を賭して戦う武士たち)が描かれることよって、面白さと戦の臨場感が増している。
また三成に味方する真田本家に現れた樋口角兵衛も、今後どのような運命を辿っていくのか楽しみにさせる。
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家康はやっぱり狸じじいだったんじゃないかと思えてしまうくだり
2017/05/15 22:47
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投稿者:みなとかずあき - この投稿者のレビュー一覧を見る
秀吉の死後、豊臣家を中心とした世の中が続くかと思わせながら家康が天下人になろうとするところを丁寧に描いています。後生の者としてはこのあたりが関ヶ原の合戦へと繋がっていくことがわかっていますが、だからこそここで描かれている大名たちの動向がある種生々しい感じがします。
そんな中ではむしろ真田家は背景に引き下がってしまっているようにも思えてしまいますが、そこをそうさせないのは真田家の草の者たちの活躍が適時織り込まれているからのようにも思えます。それに、なんと言っても昌幸・幸村父子と分家・信幸が東西に別れるくだりは、これこそ『真田太平記』たるところと言えるでしょう。
これを読んでいると、家康も石田三成も人としてどこかゆがんでいるようにも思えますし、真田一族特に昌幸は天下が治まれば活躍するところがなくなる古い武家だったのだなあということがわかるように思えます。
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袂を分かつ
2016/02/17 13:07
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投稿者:earthbound - この投稿者のレビュー一覧を見る
関ヶ原の合戦前夜、真田家が昌幸・幸村と信幸が西軍、東軍に別れ戦う前夜までが克明に描かれています。
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幼い秀頼と豊臣家の行方を案じつつ秀吉が亡くなると、徳川家康は朝鮮の役での文治派と武断派の対立を巧みに操りつつ豊臣家を分断していく。そして石田三成と結んだ上杉景勝を撃つべく家康が会津に兵を進めると、三成が兵を挙げ、ここに東西決戦の陣形が定まる。この重大局面にあたって真田父子は会津出陣の途上で一夜会談し、昌幸と幸村は徳川軍団を離れて上田城に帰り、信幸は留まる。
【感想】
http://blog.livedoor.jp/nahomaru/archives/50831195.html
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秀吉の死後、徳川家康は巧みに立ち回り、豊臣家を分断していく。そして石田三成と結んだ上杉景勝を撃つべく家康が会津に兵を進めると、三成が兵を挙げ、ここに東西決戦の陣形が定まる。違う軍勢に参加することとなった、昌幸・幸村と信幸。関ヶ原まで、あと僅か。
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真田太平記とは言いながら、犬伏の別れはあっさりと…。
家康に味方(東軍)するか、敵対(西軍)するか、諸国の武将たちの究極の選択のありさまを詳細に描いており、メモを取りながら読み進めないと、どちらが東で、どちらが西か、こんがらがってしまう。読み進めるのがやや辛かった。
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鬼平犯科帳などで有名な池波正太郎が描く真田昌幸・真田信之・真田幸村達真田一族の盛衰を圧倒的な迫力で描く大長編物語です。
この本を読めば真田幸隆の登場から上田の陣での昌幸達親子の活躍、大坂の陣での幸村の討ち死にそして信之の徳川時代の活躍と日本史でも燦然と輝く戦国真田一族の活躍が丸ごと楽しめます。
全12巻と大長編なのですが、説明より登場人物達の会話で物語が進んでいくので読書のリズムが切られることなくどんどん読み進んでいけますし、変に物語をはしょったりしていないので途中で話が分からなくなることもないです。
物語の中では真田忍軍の成り立ちや拠点とした城の役割、状況の変化により何故真田家が表裏比興の者とまで言われても使える相手を変え、家を存続させたのかがよくわかり、真田家に関する教科書にもなる内容ですので真田家に興味がある方は是非お読みください。
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家康の独断専行が目立つようになり、遂に石田三成がこれを討たんと挙兵する。真田家は、昌幸・幸村と、信幸に家を割ることに。
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真田の忍びの活躍が壮絶でそれでいて人というものを生々しく描き出している作品。
颯爽と往く真田幸村の姿はかっこよすぎる!!
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21歳のときに読んだ本。
時代物をきちんと読んだのはこれが初めてでしたが、サラサラと読めたので、
女の人にもおすすめです。
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関ヶ原へ向かうストーリーは、結果がわかっていても手に汗握る。誰もが先の見えないなかで、考えて考え抜いて、「このようにしかできなかった」というのがひしひしと伝わるので切ない。本筋以外のところでは、前巻に引き続き鈴木右近がカッコいいのと、ついにというかようやくというか、佐平次と又五郎の関係が明らかに。忘れた頃に現れてちょっと引っ掻き回す角兵衛のわがままというか手に余る感がリアル。
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石田三成が挙兵し、東西に分かれての戦が始まりました。
そしてついに昌幸・幸村と信幸が袂を分かちます。
三人の会話が好きすぎる…!!
それにしても後半部分読んでるとついつい三成に苛立ってしまいます…。
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関ヶ原の前夜の巻。親子が敵味方に分かれるのは悲惨なことではあろうが、家系を存続させるためには是非もない判断だったのかもしれない。
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家康が上杉景勝を攻める為に東征に出る。それは、石田三成を決起させるためのフェイントだった。じわじわと豊臣恩顧の大名を味方にする老獪さ。寵臣を伏見城落城とともに見棄てる非情さ。後の天下人ゆえ神社に祀られもしているが、秀吉に比べ人気の無い所以である。2015.1.10
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6巻家康東下
秀吉の死後着々と力を付ける徳川家康。
昌幸は秀吉贔屓ですが、ところどころで秀吉の采配に疑問を持つところもありました。
家康に対しては、気に入らないけれどその采配や覚悟に感服するところもあるようです。
上杉景勝と、石田三成はそれぞれ家康を排除しようと動きます。
家康は上杉景勝に対して兵を挙げ、さらにその家康に対して三成が兵を挙げます。
関ヶ原の合戦と言うのは後世から見ると家康楽勝で三成無謀として描かれることもありますが、ここでは家康はかなり決死の決意と大胆かつ綿密な計略をたて己の一心の決意で事の準備を進めていきます。
そして三成は事前にだれにも相談せず己の信念で誰も巻き込まず準備を進めて実行しました。
いよいよことを起こし、そこで初めて全国の武将たちに使者を出します。
時代劇なんかでは、三成に味方になってほしいと言われた大谷吉継(幸村の妻の父にあたる)はしばし考えるがその場で決意したように描かれますが…実際は3,4日かけて三成を説得して説得して説得してそれでも決意が変わらないので味方に付いたということのようです。
真田家はどちらに味方に付くかの決断を迫られます。
昌幸は嘆きます「事前に打ち明けてくれれば!」
そして真田家大イベント「犬伏の別れ」に。
真田がメインでない歴史ものでも「父と弟が西軍につき、兄は東軍につく」という場面は取り上げられますね。
こちらの小説では、昌幸、信幸、幸村は語らいも不要でお互いの態度や目が語ることから、お互いに相手を説得することを諦めそれぞれ自分の道へ進みます。
昌幸が三成に着いたのは、家康キライ(ただしこの度の挙兵の見事さには感服)、三成にはまあ好意(ただし家康側の居城をまとも射落とせない三成川の武将たちに今後の不安を感じてはいる)、そして景勝に将来秀頼の筆頭家老として天下人の補佐役をやってもらいたい…という思いがあったようです。
す。
そして当時の武将たちの考えとしてはあくまでも豊臣家家臣として家康と三成が争うというものであり、家康が勝ったからと言ってすぐに家康の天下になるなどとは思っていなかったようです。
しかし豊臣家の家臣同士の争いと言うなら、五大老と五奉行の大半は三成側なんですよね。五大老のうち毛利、上杉、宇喜多、小早川。つまり家康以外のみなさま。
五奉行のうち三成の味方は増田、長束。他に前田玄以は両方に良い顔で、浅野長政は家康側。
この秀吉が直接「秀頼をお頼み申す~~」と遺言したメンバーの大半が三成側で、家康に味方した大名方は「徳川さまは秀頼公のために三成を討とうとしているのだ」って本当に思っていたのか?
まあそんなこんなで日本全国東軍西軍に分かれそれぞれがそれぞれの思惑を巡らせて第6巻終わり。