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本書は生物学でも近年話題のトピックスであるオートファジーを紹介しています。
オートファジーは、簡単に言うと細胞の中のリサイクルシステムみたいなものなのですが、未だ解明されていない部分の多い生命現象です。
これがどのようにして発見され、現在どこまで解明されているのか、そしていつ起きているのか、というようなところが、分かりやすく書かれています。高校生物を学んでいれば、多分それなりに読める(かな?)。
本当の研究の最先端を感じることのできる一冊でした!
【余談】
この本で、初めて図書館のリクエストというものを利用してみました。新刊でも意外と早く用意してくれるんですね(^^)
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飢餓状態になると細胞内でタンパク質をアミノ酸に分解するオートファジー。まだ謎が多いこの現象について解説する。おそらく状況に応じてアミノ酸、タンパク質の組み換えを行うために必要な原材料を分解で生成しているらしい。またこの現象は細胞内の不要有害化したミトコンドリアを分解することで細胞の寿命を延ばす。と聞けばカロリー制限による長寿命化を連想する。実際、飢餓状態によってオートファジーが活性化することが関連しているらしい。
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自分たちは毎日体重1kgあたり1gのタンパク質を摂取することを推奨されている。体重70kgなら、70gである。しかし、体内で一日に合成されるタンパク質は実に200g相当にものぼる。食事由来のタンパク質ではとても補いきれないのだ。まさにここで注目されるのが、自分で自分を食べる生命活動”オートファジー”である。自分たちの体内では、毎日200gのタンパク質が分解され、再び合成されている。(そして、食事由来相当量が排泄される。)生きること、食べること、その根幹に迫る。
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細胞内の洗浄、エネルギーリサイクルシステムであるオートファジーという現象をわかりやすく解説している。また、著者が最先端の研究に携わっていることもあり広範に渡る最新の状況を知ることができる。まだまだ分かっていないことのほうが多いものの、オートファジーが生命維持に非常に重要な役割を果たしていることが理解できた。
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本棚から落ちたのを手に取ったら、偶然にも先輩方の研究テーマだったので、
オートファジーのあらましが分かりやすく解説されている。このように面白い現象が、最近まで見過ごされてきて、そこに注目を集めたのが日本の科学者たちだったのいうのは心強い。
特にマイトファジーで、起源的にマクロファジーに通じること、悪くなったミトコンドリアを認識しているという点が興味深かった。
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オートファジーの基礎的な事から、研究の歴史、疾患との関わりなど丁寧に説明されている。特定の分野の専門知識を必要としないようにわかりやすく書かれているものの、内容は高度だと感じた。
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ノーベル賞で話題になったオートファジーについて、総論的に知るのに適した本でしょう。
難しい内容には違いないのですが、とてもわかりやすく書かれているという点でも、この本は優れています。
ひとつ気になるのは、発行が少し古い(2011年12月)こと。その後、研究が進展していることが想像されます。
ここに書かれていることから、研究が進んでいる(本の内容が古くなっている)話は当然あるでしょうが、じゃぁ「どこが」「どのように」進んだのか、知るすべがないのが残念です。
(著者の研究室のホームページは参考になります)
必要があって急いでナナメ読みしたので、あらためてきちんと読み直したいと思います。
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★SIST読書マラソン2016推薦図書★
【所在・貸出状況を見る】
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本を読んで読書マラソンに参加しよう!
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「オートファジー」はそのメカニズムを分子レベルで解明されたことで、2016/10に大隅良典氏がノーベル生理学・医学賞を受賞し話題となりました。著者は大隅氏の愛弟子で、2011年刊行時点のオートファジー研究の最前線についてまとめています。この分野が進展してきたのはわずか10年足らずのこと。本書でも「まだまだ研究段階」という旨の言葉が何度も登場します。そんな発展途上かつ注目の集まる研究の最前線に触れられるのは有難い限り。
ヒトの生命を支える必須機能というのはニュースで耳にしていましたが、動植物にも備わっているとは驚きでした。医学はもちろん、生物学・植物学など多方面で大きな影響を与えることとなりそうです。
~memo~
・前提として、体中のタンパク質は分解されアミノ酸に変化する。アミノ酸は人間の呼吸や食物の消化を司る(=生命活動を維持)
・何らかの理由で“絶食状態”となり栄養が補給できなくなった時、細胞内のタンパク質が真核細胞内にいる「リソソーム」によって通常より過剰に分解(=オートファジー)された結果、一時的に飢餓を耐えうる栄養分を得る
・神経細胞など寿命の長い細胞内の不要物を分解→消化する作用も持つ(細胞内が不衛生だと新陳代謝がうまく行われない→神経変性、腫瘍形成などを招く恐れ)
・パーキンソン病の病態解析にもオートファジーが関連しそうだと期待が寄せられているが、オートファジーの持つ浄化機能が裏目に出て、体に必要なウイルスまで攻撃しかねない恐れがある
・細胞内の浄化という観点から、寿命延長効果も期待されている
・正常時の細胞ではオートファジーはほとんど発生しない
・絶食時は神経細胞以外のほとんどの臓器でオートファジーが起こる
・「オートファジー不能マウス」を用意した結果、栄養を取らず飢餓状態にすると約12時間で死亡した
・人間が飢餓状態になると最初は生き延びるものの、絶食が続き体内のエネルギーの蓄えも尽きるとタンパク質が急激に分解され、数日間で死に至ると予測されている(予測のみ。検証は極めて困難)
・植物が飢餓状態になると正常時より早く花が咲き老化が促進される。また、痩せた土地でも同様の状態(種を残そうとする植物に備わった機能)
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今年のノーベル医学・生理学賞受賞で注目を浴びたオートファジー。細胞内で行われるこの不思議なタンパク質のリサイクル活動は,今最もホットな研究分野の一つと言われています。一般の読者にもわかりやすく書かれた本書で,ミクロの世界をのぞいてみませんか。
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(2016.12.11読了)(2016.12.08購入)
2016年のノーベル医学・生理学賞は、オートファジーの研究で大隅良典さんが受賞しました。この本は、そのオートファジーについて書かれたものです。
著者も、オートファジーの研究者です。
オートファジーは、細胞が持っている、細胞内のタンパク質を分解するための仕組みの一つ、自食とも呼ばれます。
細胞内で不要になったものや害を及ぼす恐れのあるものなどを捕まえて分解したり、体が飢餓状態になったときに細胞内のたんぱく質を分解して栄養にしたりするとか。
昆虫が変態の時に毛虫の状態からさなぎになったり、成虫になったりの時にもオートファジーのしくみが使われているらしいということです。
オートファジーの仕組みが働かなくなるような遺伝子を持った個体は、発生の段階で死んでしまったり寿命が短くなったりするそうです。
オートファジーのしくみを発見するきっかけは、酵母の研究とのことです。
5年前に書かれた本なので、最近5年の研究の進展状況は、来年になったら何冊かの本になって紹介されるでしょう。ノーベル賞受賞で、注目が集まっているので。
【目次】
はじめに
第1章 オートファジー、細胞内の大規模分解系
第2章 酵母でブレークしたオートファジー研究
第3章 自分を食べて飢餓に耐える
第4章 細胞の性質を変えるためのオートファジー、発生と分化
第5章 細胞内を浄化するオートファジー
第6章 相手をねらいうちする「選択的オートファジー」
第7章 免疫系でも活躍するオートファジー
第8章 オートファジーの研究最前線
あとがき
●オートファジーの役割(45頁)
オートファジーの最も基本的な役割は飢餓に耐えることである。
細胞が外部から十分な栄養をとれないときにオートファジーは起こる。
発生の過程で細胞内を大規模に入れ替えないといけないようなときにも(オートファジーは)起こる。
オートファジーは細胞の中をきれいにする浄化作用ももっている。
オートファジーは自己成分以外(細菌やウイルスなどの微生物)も分解する。
(微生物はオートファジーから逃げるべくいろいろな抵抗手段を講じている。)
●iPS細胞(107頁)
iPS細胞はさまざまな細胞へと分化することはできるが、天然の受精卵と違ってiPS細胞だけからヒトやマウスを作ることはできない。
●ゴミ処理(137頁)
オートファジーが働かなくなると細胞内にゴミがたまるという現象は、神経細胞以外の広範な組織でも見られることがわかっている。
☆関連図書(既読)
「私の履歴書」大村智著、日本経済新聞、2016.08.01-8.31
「iPS細胞ができた!」畑中正一・山中伸弥著、集英社、2008.05.31
「iPS細胞」八代嘉美著、平凡社新書、2008.07.15
「「大発見」の思考法」山中伸弥・益川敏英著、文春新書、2011.01.20
「精神と物質」立花隆・利根川進著、文春文庫、1993.10.09
「私の脳科学講義」利根川進著、岩波新書、2001.10.19
「私の履歴書」利根川進著、日本経済新聞・連載、2013.10.01-10.31
(2016年12月11日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
私たちの体を構成する細胞の中で、日々、劇的な変化が起きていることが分かった。体の栄養となるタンパク質で言えば、食事でとる3倍の量を毎日、分解しては新しく合成している。この細胞内の主な分解方法が、いま注目のオートファジーである。オートファジーは、細胞内を掃除し、中身を入れ替えるリサイクルの働きをしていたのだ。従来の生命観を大きく変える、オートファジーのホットな話題を提供する。
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オートファジーの仕組みを少しでも理解したくこの本を買ったんだけど、読めば読むほど分からなくなった笑
この本はオートファジーについて科学的な知見を一般書として興したと言ってるが、自分みたいなレベルの低い一般人には難し過ぎました。
この本から分かったことは、飢餓によってオートファジーが活性化することだけ笑
「体を構成する細胞の寿命」
白血球➡︎3〜5日
腸の上皮細胞➡︎3〜5日
皮膚➡︎1ヶ月
赤血球➡︎4ヶ月
肝➡︎1年
骨➡︎2〜10年
脳(神経)➡︎ほぼ一生
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おもしろかったけど、初学者には若干難しめ。
何度も戻って単語を確認しながら読んだので、検索できる
kindleで読むほうがよかったかなーと思う。
それでも生物の不思議さや奥深さ、最新科学に触れる時の
わくわくを感じられて楽しかった。
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大変面白く読ませていただいた。内容はとても分かりやすく、かつ実験結果や研究の内容も含めロジカルに展開されている。そこが良い。ただただ筆者が考えたことなどが「知識」として並べたてられている物は信憑性に欠けるが、この本では実験的事実があるので、筆者の考えとは別に自ら考えて吟味していくことができる。
「生命の見方に変換を迫る」というのがこの本の裏面には書かれているが、まさにその言葉通りである。分解という制御、それがただの飢餓耐性だけではなく、もっともっと命の在り方に直結するものであるということが分かったのが良かった。
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皆さんが気になるとこだけ
オートファジーとは→細胞内でおこる掃除、リサイクル。
・掃除?リサイクル?→
細胞内の古くなったミトコンドリア等の部品を分解して
色んなタンパク質に作り変えるみたい。
栄養が無い時にも起きる。(飢餓対策)
・出来ないとどうなるの?→
掃除が出来ないのでゴミ細胞、つまり腫瘍になる。
脳細胞だとボケやパーキンソン病に。
その他、リウマチやクローン病など色々あるかも?
・オートファジーでダイエットできるの?
→殆ど期待出来ない。あくまでゴミ掃除なので、
いざという時の為の貯金である脂肪は対象外。
・飢餓の時にオートファジーが活性化する。
という事は低カロリー環境だと長生きするの?
→細胞レベルではそう。人間の寿命にどれだけ影響するかは不明。
まとめ
オートファジーは難病の解明や老化抑制の夢が
あるという事!!