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終わり続ける世界のなかで
著者 粕谷知世 (著)
ノストラダムスの予言を知った私と瑞恵は、「世界を救うために全力を尽くす」と誓った。「今でも世界が滅びるって信じてるの?」――世界は今この瞬間も、終わり続けている。私の命は...
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商品説明
ノストラダムスの予言を知った私と瑞恵は、「世界を救うために全力を尽くす」と誓った。「今でも世界が滅びるって信じてるの?」――世界は今この瞬間も、終わり続けている。私の命はいつだって死へと向かっている。それでも、生きる意味はあるのか。迷いながら生き延びる伊吹の心の軌跡を辿り、同時代を生きる魂に問いかける、渾身の書下ろし長篇小説。
著者紹介
粕谷知世 (著)
- 略歴
- 1968年愛知県生まれ。大阪外国語大学イスパニア語科卒業。専攻は南米史。「アマゾニア」で第4回センス・オブ・ジェンダー賞大賞を受賞。ほかの著書に「ひなのころ」など。
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紙の本
登場人物たちと共に成長する読書にはならなかった。
2012/02/02 21:58
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
1969年生まれの伊吹は親友の瑞恵とともに、1999年に人類は滅亡するというノストラダムスの予言を固く信じる少女。その彼女の2000年までの人生の軌跡をたどる小説。
私も伊吹、そして作者の粕谷知世(かすやちせ)と同じく1960年代の生まれです。まさにこの小説に登場する若者たちと同じように、幼い時期にノストラダムスを信じた、全共闘世代のひとつ下の世代に属しています。
私たちの世代とは、先輩たちの情熱を吸い上げ、そして彼らの多くに狂気を注入していったマルキシズムとは大きく距離をとり、その代替物としてオウムというカルトに走ってしまった多くの同輩を持つ1960年代世代です。
自分の世代の歴史をなぞりながら物語を読み進め、前半部分こそ、そういえばそんな時代もあったなと懐かしく思ったものです。
しかし、後半になればなるほど、物語から気持ちが離れていくのがわかりました。
大学生となった伊吹たちが、自分たちの聖書を懸命に綴ろうとする姿には、少々花白む思いがしたほどです。
登場人物たちの青さは、まさにあの頃の私の青さに重なるのです。彼らの気持ちはわかります。
ですが分かるとはいえ、もうそれは既に私にとって通り過ぎて来た道。いまさら振り返りたいとまでは思わない場所です。
登場人物たちが蒙を啓かれていった道のりを、今日あらためて追体験する気にはなれないのです。
私もそれだけなんとか成長してきたのだという安堵の気持ちこそあれ、登場人物とともに成長することを望めないとき、小説の悦びは得られないということをかみしめた読書でもありました。
おそらく高校生くらいの若い読者であれば彼らに共感しながら頁を繰ることができるかもしれませんが、いまや主人公同様、40の坂を越した私のための書ではなかったようです。