- 販売開始日: 2012/06/01
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-113466-6
樅ノ木は残った(下)
著者 山本周五郎 (著)
著者は、「伊達騒動」の中心人物として極悪人の烙印を押されてきた原田甲斐に対する従来の解釈をしりぞけ、幕府の大藩取り潰し計画に一身でたちむかった甲斐の、味方をも欺き、悪評に...
樅ノ木は残った(下)
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商品説明
著者は、「伊達騒動」の中心人物として極悪人の烙印を押されてきた原田甲斐に対する従来の解釈をしりぞけ、幕府の大藩取り潰し計画に一身でたちむかった甲斐の、味方をも欺き、悪評にもめげず敢然と闘い抜く姿を感動的に描き出す。雄大な構想と斬新な歴史観のもとに旧来の評価を劇的に一変させ、孤独に耐えて行動する原田甲斐の人間味あふれる肖像を刻み上げた周五郎文学の代表作。
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御家を守る哀しさ
2016/11/07 14:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ME - この投稿者のレビュー一覧を見る
最後は圧巻に思った。いわゆる伊達騒動を作者なりに解釈しているとも聞くが主人公は非常に高い心の持ち主として書かれている。御家を守る悲哀というか義務を感じた。
樅ノ木は残った 下
2022/05/13 19:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:雄ヤギ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ついに一連の騒動が決着する。大勢の命が失われたが、それが主君への忠義心から、とはあまり思えない。本文でも「六十二万石の為に」という文章は多く出てきており、やはり藩自体、そして底に使える同輩や領民のためが主な気がする。もちろん藩は主君あってのものだし、甲斐が主君をないがしろにしているというわけではない。それでも主家があまりかわいそうではないのは、騒動の原因が主家の内紛という一面があることと、せっかく救った次の主君がまた押し込めにあうからだろう。
今でも読み継がれるその訳
2019/03/09 09:01
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
山本周五郎の代表作のひとつでもある長編小説。
新潮文庫で改装版として平成30年9月に刊行されたのは上中下の3巻仕立てで、この巻が最後となる下巻。
その最後で江戸前期に起こった伊達騒動の核心となる原田甲斐による刀傷沙汰が描かれている。
当然ここまで読み進めてきた読者は原田がどういう思いで死んでいったか理解できるが、この事件だけを聞けば原田は巷間でいわれる狼藉者になるのだろう。
「いかなる真実も、人の口に伝われば必ず歪められてしまう」。
これは主人公原田甲斐が常に自身戒めてきた思いだという。
もちろん、そこには作者である山本周五郎の思いがある。だから、自分はこの作品を書いたと、山本周五郎の声が聞こえてきそうだ。
しかし、この作品は歴史上の真実を暴こうとした作品だけでなく、物語としても面白さがふんだんに盛り込まれている。
その一つが登場人物の造形である。
主人公である原田甲斐はいうまでもなく、彼を慕う宇乃という乙女、そして何よりも騒動の発端となる惨殺事件の被害者の弟である宮本新八という若者の描き方が秀逸だ。
新八は兄の死後、運命に弄ばれるように多くの苦難に陥るが、武士の生き方を棄て、芸の道に生きようとする。
原田はそんな新八を見、「自分の好むもののために生き、そのために死ぬことができる」、その方が人間らしいのではないかと考える。
この長い物語は、もしかしたらこの新八という若者がいるからこそ今でも多くの読者を感動せしめるともいえるのではないだろうか。
思いは残ったか
2019/08/15 17:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
御家のために自らの思いを殺して生きた男の物語もついに終わった。
ここまで自分自身を押さえ付けねばならない生き方は見ていて悲しい。
理不尽な生の果てに理不尽な死を迎えねばならなかった皆の心はどんな形で残ったのか、そう思うと切ない。