「仕事をつうじて成長すること」、これは残り95%の人にとっても重要なことだ
2010/11/12 13:53
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:サトケン - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は20歳台で日本を飛び出し、欧州企業を舞台に30年以上にわたって、個人として生き抜いてきたビジネスマンである。
『仕事で成長したい 5%の日本人へ』とは、実に挑戦的なタイトルではないか。「仕事で成長したい 5%の日本人」に向けて語っているということは、極端な話、「残り95%の日本人」には用はないということだ。
だが、「仕事をつうじて人間的に成長すること」、これはすべての働く人にとって重要なことではないだろうか。そう思ったら、この本は読むべきだ。その時点で読者は間違いなく 5%に入っているのである。
本書で、著者は心得をいくつかの短いコトバに集約している。「自分の仕事の「相場観」を持つ」、「評論家ではなく実践家になる」、「他人を手本にはしても、憧れは抱かない」。「成長願望と上昇志向を混同しない」、「対決から逃げない」・・・。
自分がもっとも好きなこと、自分に向いていること、自分をよりドライブできること、つまりもっともパッションを感じることのできる分野に集中すればいいのだ。他人と比較するのではない、あくまでも自分に軸をおいて、自分の人生を生きることが重要なのだ。あくまでも自分の五感に忠実であること、自分の人生は自分でマネージすることが重要なのだ。
これは「対決社会」の欧州でもまれてきた著者の信念だが、これからの時代の日本人にも不可欠な心得だろう。自分の成長は志向しても、とくに組織内の上昇と混同しないこと。
著者自身、20歳台前半にはミッションとビジョンとパッションの対象を見つけることができなくて、悩みに悩んでいたと本書のなかで語っている。著者のように、とにかく一歩踏み出すこと、そこからすべてが始まる。大いに悩み、もがき、対決する。こういうプロセスをへて初めて自分を発見することができるのだ。
私は、著者の処女作 『欧米対決社会のビジネス』(新潮社、1988)以来のファンだ。20歳台の前半で初めて著者の本を読んでから、かれこれ20年以上の読者だが、著者の軌跡を手本にはしてきたが憧れは抱いたことはない。主義一貫して変わらぬミッションとビジョンとパッション、本書ではそれから20年近いビジネス体験を経て、さらに強く響くコトバとして語られている。
とくに20歳台から30歳台の、意欲ある若いビジネスパーソンたちにこの本を薦めたい。
あまり好きでないタイプの内容。
2012/01/27 23:51
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kanemoto - この投稿者のレビュー一覧を見る
こういった、自分の成功譚を書き連ねて、その中に自分で成功の法則を見つけて、皆に知らしめてやろう、というスタイルは好きになれないです。「有名人と友達」自慢も鼻につきました。
投稿元:
レビューを見る
欧州系コンサルCVAのパートナー今北さん。本屋で目次を立ち読みした際に「成長願望と上昇志向を混同しない」にひかれて購入。
本書は著者のway of thinkingがよくわかる。経歴だけ見ると、東大→旭硝子→ニューヨーク州立大学へ留学→オックスフォード大学招聘教官→スイスバッテル研究所→仏ルノー→仏エアリキード→CVAと、誰もが驚くようなもの。
しかし、著者には嫌味が全くない。たぶん、本気で自分自身をまだまだだと思っているのではないか。それは「人生は常に未完成」という発言から見て取れる。そういう思考の人はやはり伸びるんだろうな。
強い個を持つ人は強い信号を発し、他の人が発している強い信号に共鳴する(エーテル理論)。そして偶然のような出会いが必然的に生まれる。
人間に成長に必要なMVP(Mission, Vision and Passion)を持つ。
以下、気になった言葉
・個人で社会にインテグレートして、個人の力量で勝負した人とそうでない人が語るグローバルは全く違う
・評論ではなく実践を繰り返すことこそグローバル
・ビジネススキルを上げるにはとにかく実践の積み重ねが大事
・自分の世界を構築する。すなわち、どんなに優れた人であっても、その人を手本にしている限りはすぐに天井にぶつかる。その人を参考にしつつ自分の世界を切り開く。憧れるのは危険。
・上昇志向とはランキングに取り付かれた考え方。成長思考は自らコントロールできる。
・英語が話せるという見せ掛けの成長の罠にはまらない
・オフレコの場でもヴィジョンを語らない日本の大臣
・突出した人を引きずり落とそうとする日本組織
・本番で試さない限り、成長はないby羽生善治
2010年5月25日 読了11(4)
投稿元:
レビューを見る
素朴に「仕事で成長したいと思っている日本人って5%なの?」って思って、興味を惹かれた。書店にふらっと立ち寄ったら目に入ったので、思わず衝動買いしてしまった。ここ数年いるコンサルティング業界では、「人は仕事しながら成長するのが基本」って考え方なので、感覚がマヒしてきているのか、はたまた、日本人が腐ってきているってことなのか・・・まあ、そもそも人間は怠惰な生き物で、ちょっとでもサボりたいと考えがちですが、「5%」という数字が気になります。ということで、読了。特段、「5%」という数字についての記述はなく、「上位を目指す」という意味合いで書名に採用された模様。内容としては、日頃からの研鑽の積み重ねが重要であること、仕事に直結することだけでなく、いろいろなこと(人)に興味をもって接し続けることで、自身を鍛えることになる、など、著者の経験から学んだ、感じたことを中心に読み物として整理されています。
投稿元:
レビューを見る
【共感した部分】
●「能力主義を顕在化させていない」ということの大きな問題は、どこの部署からも声がかからない人たちのコストがあちこちに残ってしまっていることです。
●
【覚えておきたい部分】
●自分の仕事の価値を決めるのは自分ではありません。
●
投稿元:
レビューを見る
タイトルにもある5%という数字は確かに信ぴょう性がある。自分も人前で話すのが仕事なのだが、真剣に聞き入る割合はこれくらいなのだろう。
M,V,Pが大切で、特にPだという説も納得出来る。日本社会から離れてヨーロッパで生活しながら客観的に日本を眺めていたという経験がいたるところで活かされているのだと感じられた。自分にもヨーロピアンなところがあると思っていたので共感できる。
色々な職種で使える知恵がたくさん盛り込まれていると思う。若い人にも読んでもらいたい。
投稿元:
レビューを見る
今北純一著「仕事で成長したい5%の日本人へ」新潮社(2010)
* プロジェクトを行うには、それを始める前に「仕事の成果への貢献度」の算定スキームを明確にし、合意しておくことが不可欠である。
* どこでもよいのですが、個人の資格で社会にインテグレートして自分の個人としての力量でネットワークを作り、尊敬も得て、生きた情報源を持っている人がグローバル化について話すのと、過去の事例をヒアリングしてレポートとして纏めているだけの人がグローバル化について話すのとでは決定的に違うという溝がある。発せられた言葉の重みが違いすぎるのです。
* 海外で暮らしていると、集団のために自分の力を活かそうという発想より、自分の個性を組織の中でどう活かし、認めさせるかというマインドが強い。
* 自分自身の成長のためには、自分が好きなこと、自分に向いていること、自分をよりドライブできることに注力すべきだということが大切。
* 欧米人は、個人の生活をエンジョイしたいという思いが強い。
* 日本は自発的なチームワークを適用できるものづくりなどでは力を発揮してきたが、個人の力量を組織として活かすということは、あまり得意ではない。ただ、こらからの時代に創造的なブレークスルーを生み出していくのは、やはり個人の力量だと思いますし、日本人がもう一度「個が持つ潜在能力」をしっかり見直すことはとても重要だと思います。
* 日本の企業が世界からベンチマークされるグローバル企業になってほしい。
* クリエイティブにいたるまでを「情報」「知識」「知恵」の三段階の階層で考えている。
* 日本には二種類の沈黙があり、その沈黙を見抜く必要がある。1つは、ノーアイデアの沈黙。これは世界中にあり問題ない。2つめの沈黙には気をつけなければならない。それは「あなたが聞く耳を持たない人だと判断された時の沈黙である。」1つ目と違って2つ目は非常にシリアスである。この沈黙を見極めないと上手く組織が回らない。
* 現在進行形のグローバル化で重要なことは、「考え方」の伝達である。信条、信念、その人のパッション、クリエイティブなアイデア、そういったものが国境を越えて伝播されていく。
* 「なぜ、本気になる必要があるのか」という疑問に対する答えは簡単です。その必要はないし、義務もない。ただ、「成長したい」と思っている人にとっては仕事に本気で取り組むことが、成長という果実を手にする最も手っ取り早くて確実な方法である。
投稿元:
レビューを見る
成功者の体験談でしかないこういう本を読む理由はそこに何か1つでも行動を変えうる何かを見出せないかと思うから。
でもこういう本を読んでいつもあまり共感できないなあと思って終わってしまう。残念。
ここまでくると問題は自分にあるんだろうな。
投稿元:
レビューを見る
ヨーロッパに渡り30年以上ビジネスの最前線で活躍してきた著者の経験則をまとめたビジネス書。特に欧州での「個人主義」に戸惑い、どうやって克服してきたかに多くを割いている。特に目新しい内容はなかったがエンジニア出身らしい冷静な分析に好感が持てる。
投稿元:
レビューを見る
海外の組織で30年以上働いてきた著者の本。欧州ではお互いに自己主張するのが人間関係の前提であるということ。仕事で成長するには、M(ミッション)V(ビジョン)P(パッション)が必要であることを知った。日本では個を生かさず組織全体で仕事をするが、イノベーションを起こすには個を生かした組織が大切だと認識した。
投稿元:
レビューを見る
今北純一著のこの本は、シンガポールからバリに移動するときに読んだ。
前提条件は、作業でなく「仕事」があること。
その仕事の評価は打点(契約額)と打率(スポンサー付きのプロジェクトの割合)で実施される。
そう評価における仕事で成長する場合の話。
私の現状はさておき…、この本にはぐいぐい引き込まれる。
理論書でなく経験の紹介だからだろうか。
抜書を以下に記す。
著者からカルロス・ゴーンへのアドバイス(P.84)
沈黙には、ノーアイディアの場合と、聞く耳がないから喋らなくなった場合の2つがある。
スライドショーに気づく(P.102)
クリエイティブに仕事をしているつもりでも、
スライドショーがうまい、紙芝居おやじみたいなものだった。
労組リーダー(P.109)
昇給を提示しても、労組理論家は、彼のパッションなので辞めない。
最後に(P.145)
一番つらかったのは、知的冒険がないこと。
なぜ知的ブレークスルーにこだわるかというと、
それを手にすることで、生きている証としての夢やパッションの手応えを感じ、
「群衆の中の孤独」ではない、自分のアイデンティティを確信できるから。
・・・・・・・・・・・・・・・
今までお世話になった方たちが、
私のアイデンティティを、使いににくいにもかかわらず、
うまく無理矢理活用してくれたから、なんとかなっていた。
本当に感謝しなくては。
今はそういう個性ではなく、
群衆の一部として権能を確実に果たすことが求められているのか。
どっちのスタイルが上とか下とかという話でなく。
疑問点は近いうちに解消したい。
投稿元:
レビューを見る
1.この本をひと言でまとめると。
組織に埋もれてしまわない為の助言集。
2.お気に入りコンテンツとその理由
P.10~「目の色の違う色の比率は一定です」
意識していなかったけれど、言われてみればそうかもしれないと感じました。
P.151~「語学より言葉の勉強を」
英語を使う時に時々違和感を感じる事があり、
それは自分の語学力のなさだと思っていました。
しかし、この段落を読んで、もしかしたら表現力の問題かもしれないと思うようにもなりました。
P.201~「自分にどんな才能があるか分からない」
最近この事について悩んでいたので、一番この文章が心に刺さりました。
3.突っ込みどころ→センテンスでもいいですし、全体を通してでよいです。
この著者は度々「自分にはパッションがなかった」という様な事を
書かれているのですが、
元々非常に強いパッションを 持たれていたのではないかと感じました。
この方と同じレベルに並ぶには相当の努力が必要ですが、
エッセンスとして取り入れられるところだけ取り入れて行きたいと思いました。
投稿元:
レビューを見る
読んだだけで、情熱やパワーをこんなにも感じたのは初めてです。
読むだけで、「もっと頑張らねば!」と鼓舞させられました。
欧米の組織で30年以上活躍する著者の体験を交えつつ、仕事を通じて自分を高めるためのポイントが書かれています。
この本を読み終わった後、何と自分は小さいところで勝負してるんだと反省させられます。
常に手元に置いておきたい、そんな一冊です。
投稿元:
レビューを見る
欧米の組織で30年以上生き抜いてきた著者の経験に基づくアドバイス。
半年以上前に購入した時は、何故か書店には全く見かけず、Amazonでも残りわずかとなっていたと記憶しておりますが、素晴らしい本です。キャリアに悩んでいる方や更なる上を目指している方は必読です。
特に、「独身寮と社宅の風景」という、旭硝子に勤めていた時のエピソードの中で、「同質性に対する拒否反応」、「群衆の中の孤独」といった感覚は、今まさに私自身が抱いているものだったことが、個人的には、嬉しかったです。
投稿元:
レビューを見る
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110120/218050/