葉室麟、ここからはじまる
2019/10/16 16:24
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
66歳で亡くなった葉室麟さんの作家活動はわずか十数年しかない。
その短い期間に直木賞(2012年)を始め、松本清張賞(2007年)司馬遼太郎賞(2016年)などの受賞歴が残る。
中でも2005年に受賞した第29回歴史文学賞は葉室さんの実質的なデビュー作にもなった
「乾山晩愁」で、本作はその受賞作を始め、戦国から江戸時代にかけての5人の絵師たちを描いた短編集である。
ここに収められている絵師は、尾形乾山(「乾山晩愁」)、狩野永徳(「永徳翔天」)、長谷川等伯(「等伯慕影」)、清原雪信(「雪信花匂」)、英一蝶(「一蝶幻景」)である。かっこ内はそれぞれの作品のタイトルで、わかるように絵師の名前が刻印されている。
受賞作であり表題作ともなった「乾山晩愁」の主人公尾方乾山よりはその兄尾方光琳の方が有名かもしれない。日本史や美術の教科書によく出て来る。
そういう才能を持った兄ではあったが、その生き方も奔放で、その死後光琳が夫という女が幼き子を連れて乾山の前に現れる。 その一方で、絵師たちの勢力争いの前で乾山の経済的な支柱であった二条家の支援も閉ざされていく。
有名な光琳でなく、その弟を描いた視点が葉室さんらしい。
ただ作品として面白いのは、「雪信花匂」だろう。
主人公が女絵師ということもあって、若い時から慕っていた男との恋愛、絵師たちの暗闘、その中で恋を成就させる思いなど、芯の強い女性は葉室さんの好んだ女性像だったに違いない。
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投稿者:Cassiopeia - この投稿者のレビュー一覧を見る
「実朝の首」と同時購入。私が葉室麟作品にハマるきっかけとなった本。
流派、時代、性別が違う絵師ごとに短編集形式で綴られている。
一つ一つの物語が丁寧に描かれており、自分自身が平凡なサラリーマンだからか、絵師の信念や生き様に胸打たれた。
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投稿者:雨読 - この投稿者のレビュー一覧を見る
尾形乾山、狩野永徳、長谷川等伯、狩野雪信、英一蝶を主人公に、その時代の背景や芸術に対するそれぞれの考え方、また自己の技量等、生き様を描いています。後世に残る偉業を成し遂げた主人公に敬意を抱きました。
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尾形乾山(光琳)・狩野永徳・長谷川等伯・狩野雪信・英一蝶…絵師たちを主役に歴史の動乱を書いた短編集。切り口が面白い。
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室町から元禄にかけて実在した絵師達を取り上げた短編集。表題作を読むと表紙の「花籠図」がまた違って見えてきます。文化と歴史上のできごとをうまく重ねた物語は人間としての絵師を親しみやすく感じさせ、光琳と赤穂浪士の関係についての新たな考察も興味深く読みました。一冊通して読んだときの、ぐるりと巡る構成も面白い。またそれぞれの短編に「絵師とは、芸術とは」を表す力強い一文が入っていて、何回か繰り返し噛み締めて読みました。あとがきの「(光と影だけでなく)光の周りの、光を支えている存在」、そこに目を留める著者の温かさが伝わってくるような一冊でした。
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面白かった!!!
安土桃山~元禄まで、日本画の中心を担った絵師達…とその近くにいた絵師達のお話し。
鮮やかな才能の迸りあり、
御用絵師になるためどう時流を読むかの権力闘争あり、
女絵師の切ない恋の物語あり、
大奥のドロドロと深い男女の情愛あり、
最後に読者をにやりとさせるちょっとしたひねり構造ありで、
かなり満足のできる小説でした。
最初は久々のキチッとした時代小説形式(と言うか名前の変わり方)にちょっと戸惑いましたが、
読み出すと硬い中に深さのある心理描写と、
人間模様の美しさに引き込まれます。
とくに狩野永徳の絵に関するシンプルなのにありありと目に浮かぶ様な描写は凄かった。
文章とストーリー全体が日本画っぽいと言うのは、分かりにくいでしょうが多分読んだ人は頷いて頂けるかと。
ところで私の実家は三代か四代続く表具師です。(私が継がないので絶えてしまいますが…)
いま60代のウチの父が子供の頃には、
まだ辛うじて『流しの絵師』という職業が存在したそうです。
ある日突然訪ねてきて、仕事場でいく枚かの絵を絹に描き、
謝礼とご飯を貰って帰ってゆく。
そんな人がいたそうです。
文化が変化していくのは楽しい事ですが、
そんな方達ともちょっとあってみたかったなぁ…と思います。
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葉室麟デビュー作。第29回歴史文学賞。
権力者の傍らに近侍して生き方そのものが修羅である画家達を描く。
尾形光琳の弟「尾形乾山」「狩野永徳」「長谷川等伯」「狩野探幽の弟子・清原雪信」「英一蝶」の短編連作5編。
画家の修羅を描きながら、詩・俳句・書画に対するその素養の高さ、文章の確かさと目のつけどころ。しかも、司馬遼太郎ばりの徹底した調査。司馬遼太郎が歴史・人物の史実を丹念に追ったのに対し、葉室麟の視点は背景・文化も繫ぐ。
葉室麟には「秋月記」で出会い山本周五郎「樅の木は残った」を連想し「川あかり」で大ファンになったが、「刀伊入寇」「星火瞬く」「風渡る」で少しがっかりし、「橘花抄」でその清冽な坦々とした世界感に感動し、「銀漢の賦」「いのちなりけり」でうれしくなり 、直木賞「蜩ノ記」では違う境地に入り、「柚子の花咲く」「千鳥舞う」「霖雨」では葉室世界観を感じ、「実朝の首」の後、14作目でやっとデビュー作にたどりついた。
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乾山晩愁/永徳翔昇天/等伯慕影/雪信花匂/一蝶幻景/
尾形乾山ほか戦国から江戸に生きた絵師達の話。創造することで生きた人達だけど、愛や欲などの人間くさいところも描かれる。文章での創造と通じるところもあるのだろうか。
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blogにて
http://iburin.blog.so-net.ne.jp/2012-07-09
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尾形光琳の弟、乾山を主人公にした1編からはじまって、歴代狩野派、長谷川等伯らの物語を勧め、井原西鶴なんかを狂言回しにして、最後に再び初めの作品の時代に戻る。
その構成は良いし、文章も美しいし、あの歴史的事件を隠れたメインテーマにしてる当たりもすげえし、さすが葉室さんやわぁと感心する短編集なんだが
いかんせん、なんとも地味。日本画に興味がない俺がアカンのかも知れんけど、もうちょっとこうエンターテイメント性が欲しいなぁ。
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尾形光琳と乾山兄弟、狩野永徳、長谷川等伯、狩野探幽と清原雪信、英一蝶などを主人公に配した短編連作集。歴史上の有名画家たちの若き日から成功するまで、身近な人物像として描かれており、彼らを理解するのに少し役立ちました。特に狩野派とそれ以外の人たちの確執というものがきっとあったのでしょう。この著者のしみじみとした情感が伝わってくるのは乾山が晩年に澄み切った心境になる場面、閨秀画人・雪信と兄・久隅彦十郎の心の通い合い、等伯の若き日に命の恩人なつを見捨ててしまった心の傷などに触れる部分です。この本も実在の人物(信長、秀吉、家光、綱吉など)が出てくる場面ではそれらの情感を感じないのは、この著者の「風渡る」に通じるところがありました。
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戦国末期から元禄にかけて活躍した絵師を描いた短編集。
狩野派と長谷川等伯、狩野派内の派閥闘争などが描かれており興味深い。
そして5つの作品がうっすらとつながっている。
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乾山・永徳・等伯・雪信・一蝶。
人や出来事のつながりを繋ぐのに感嘆。
繊細な感応力のある筆者だと思うが、表現はいまいち大雑把。
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「乾山晩愁」葉室麟◆戦国〜江戸時代にかけての5人の絵師を描いた短編集。尾形光琳ではなく弟の乾山を取り上げるなど、光に隠れがちな陰に焦点が当てられています。不勉強につき、どのくらい創作が入っているのかは分かりませんが、絵師一人一人に教科書には載らないドラマがあったのは確かでしょう。
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戦国から江戸時代にわたって絵師たちの姿を描いた作品を5編収録した短編集。
絵師に限らず芸術家は、自由気ままに自分の作品を作り上げている自由人というイメージだったのですが、この作品に出てくる絵師たちというものは、
自分の作品を認知されるために、時の戦国武将や権力者に取り入ったり、また絵の一派での内部抗争や狩野派・長谷川派の争いなども描かれていて、芸術家といってもやっぱり大変なんだな、
と読んでいてしみじみ思いました。
収録作品はそれぞれにドラマ性は感じられたのですが、いずれも短編なため歴史的背景なんかも書いていると、あっという間にページ数が足りなくなってしまうんですよね…。
そもそも自分自身の知識も何とか狩野永徳や長谷川等伯の名前が分かるくらいだったので、歴史的背景の説明がほとんどピンと来ず…。そのため各短編のドラマに入り込めませんでした。
自分みたいに歴史に不勉強な人が読むのではなく、歴史が好きな人に読んでもらいたい本です。
第29回歴史文学賞受賞作「乾山晩愁」収録