1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
弱小高校の快進撃に密着した表題作は、スポーツノンフィクションの傑作です。スコアボードには映らない、それぞれのドラマが感動的でした。
「八月のカクテル光線」が一番好き
2019/02/04 21:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は和歌山出身なので、やはりあの箕島・星稜を描いた「八月のカクテル光線」が一番好きだ。星稜の堅田投手、箕島の森川が打ったファールフライを落としてしまった加藤一塁手、いまでも鮮やかに思い出せます
スポーツノンフィクション始まりの一冊
2017/10/29 15:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:鯉狂い - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本のスポーツノンフィクションはnumberから、『江夏の21球』から始まったとも言える。
その山際淳司の名作を収めた一冊。
個人的には表題作及び『たった一人のオリンピック』がお気に入りの一本。
40年前のモデルであった高校生投手がつい最近亡くなったことを、新聞で知りました。
2022/08/28 20:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひでくん - この投稿者のレビュー一覧を見る
約40年の時間の経過を否応なく認めざるを得ませんが、あの頃の読後の感激がよみがえってきました。すごく良い本です。山際さんが小生と同じ老齢に達した時の本を読みたかった。亡くなるのが早すぎでした。
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:qima - この投稿者のレビュー一覧を見る
かなり予想と違って驚いた記憶があります。当時は熱血スポ根&ファンタジーがスタンダードでした。その後、肩の力の抜けたような、ちゃんと技術的なドラマが読めるようになりましたっけ。
投稿元:
レビューを見る
私は角川文庫が苦手である。
決して社風が苦手とか、「あそこのレーベルはろくな本がない!」というわけではない。そうではなくて、なんだか、読みにくいのだ。それが文字の大きさなのか、フォントなのか、レイアウトの仕方なのかは、わからない。深く研究したことはないが、これはもう、相性、としかいえない。
少なく見積もって200冊はある私の本棚に、角川文庫は本書が3冊目である。そのうち「最初から最後まで読んだ本」は、一冊もない。つまり、本書の中のいくつかのエピソードは、最後まで読んでいない。
すべて読まずにレビューを書く、ということに抵抗感を抱かずにはいられないし、これを読んでいる方にはそう思われる方もいると思う。
しかし、本書について「面白かった」といわずにはいられない。それほど「面白かった」。
最後まで読みきったのは「八月のカクテル光線」「江夏の21球」「背番号94」「ザ・シティ・ボクサー」「スローカーブを、もう一球」。「シティボクサー」以外はすべて野球がテーマである。
一番面白かったのは、「江夏の21球」だった。有名なだけある。
読みにくかったのもあるかもしれないが、登場人物のバチバチとした心理戦に引き込まれ、読む速度をあげるにはもったいなかった。食い入るように一文字一文字確かめながら読んだ。
世の中には、才能というものがある。
それだけで闘えたら素晴らしいが、そういうわけにもいかない。プロ野球にいる時点で既に多くの凡人に比べて多大な才能を持ち合わせているはずなのだが、それだけではプロ野球では勝てない。
だから、プロはできるだけ、理詰めの努力をする。練習方法を厳選し、トレーナーの指示を仰ぐ。体を痛めるフォームを修正する。
しかし、そこから先は才能や感覚で判断する。できるだけ理詰めで成功確率を上げたところで、そこから先は、成功するかもしれないし、失敗するかもしれない。果ては「どこまで理詰めを守るか」といったところまで、感覚で判断する。そういった過程を含めたのちに結果を残せる人が、リスペクトに値するのである。
本書にでてくるスポーツマン(すべて読んでないですが)は、理詰めと追求している。著者の山際さんは読み物として敢えてそうしていると思うが、その理詰めの先の確率の部分を、必然であるかのように書いている。だからこそ面白く、スポ根マンガの「限界超えてやりますおおおおおお!!」といった気合と根性一本調子とは違った見方を知ることができる。
そして忘れてはいけないのが、今やっている甲子園も、出場者それぞれがドラマを持っているはずだ。「甲子園より、熱闘甲子園の方が面白い」という人の気持ちがわかった気がする。
本書を購入したのは、文化系トークラジオLifeの「夏の一冊」の回でオススメされていたからである。すごく面白かった。
投稿元:
レビューを見る
タイトルは随分前から知っていたのだが。
80年当初に発表されたスポーツ選手を取材した作品。著者は物故しているらしい。
高校野球の甲子園の延長戦や落球だとか、日本シリーズでの江夏のリリーフとか、何度も似た話を聞いた気がして、食傷気味。まあ、このノンフィクションがテレビや雑誌のルポのお手本になっているかもしれない。
実話なんだろうけれど、こういう文章にした途端、事実と微妙に違ってしまう気がする。
ランニング練習をやらず、リーゼントの乱れを気にするボクサーの話が面白い。
棒高跳びの日本記録選手。記録が伸びることが、限界に近づいていくことに繋がる。厳しい孤独な生活。
表題作。ラストのスローカーブは、くっきり絵が見えるよう。この作品が一番良かった。
投稿元:
レビューを見る
高校生のときに、毎月1冊国語教師指定の本を読んで
感想を書くという課題?のようなものがあって
その中に含まれていた一冊。
読んだときに強烈な印象を受けたので
ずっとこの本のことは頭に残っていたけど
最近野球に目覚めたことをもあり、
今回再読してみることにした。
スポーツルポルタージュというかスポーツノンフィクションというか
そういったもので好きな作家は山際淳司と沢木耕太郎だけど、
スポーツノンフィクションを読むと
選手に対しての感情のやり場に困ることが多い。
一瞬の輝きを放ち名勝負を作り上げても
そこには必ず勝者と敗者がいて、
敗者の人生、勝者の人生をある意味決定づけてしまう。
そのたまらなさ、やりきらなさが
スポーツノンフィクションの魅力なのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
・1/6 読了.面白い.ジャーナリストとは思えない情緒の表現で、取材した事実を記述しているにもかかわらず、なんとも文学的に語られているのが、劇的というのとは違ってじわじわと迫ってくる.
投稿元:
レビューを見る
スローカーブを、もう一球 読み終わりました
全て野球関係の作品なのかと思ったらそういうわけではなく。
スポ根に重きを置いているのかなという感じ。
面白かったですが、絶賛されている割に、僕には合わなかったように感じます。
投稿元:
レビューを見る
夏の甲子園を見て、思い出して再読。
何度読んでも感動できる珠玉のスポーツノンフィクション
早くに亡くなってしまったのが残念・・・
『江夏の21球』
何度読んでも感動する。思い出しただけで泣きそうw
江夏がベンチに戻って涙した理由がなんとなくわかる。
・・・上手く言えないけど
素晴らしい作品は僕を夢中にさせて癒やしてくれる。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
かなり前(たぶん学生のときに)初めて読んだ本。
以来、読み返すと、なぜか8月の夕方に昔の広島球場のスタンドに座って、始まったばかりのナイター(ナイトゲーム?今でもナイターって言うのかな??)を見ているような気分になる。
スポーツの素晴らしさだけではなくて、いろんなものが詰まった本。
kindle版を見つけたのを機会に、再読。カバーが変わってる?
投稿元:
レビューを見る
ノンフィクション作家山際淳司を有名にした、
デビュー作の江夏の21球を読んでみたかった。
本書は、江夏の21球を含む、8作品が収められている。
江夏の21球、しびれた。
スポーツのノンフィクションにはドラマがある。
現実はドラマに満ちている。
勝負をめぐる攻防。
それは、見方のベンチも、エースも、相手も、
真剣なわけで、
その中で心理はめまぐるしく変わり、交錯していく。
どの作品も、どこかに人間の哀しみを含んでいるように感じた。
勝者もまた、哀しみとは無縁ではないのだ。
読めてよかったなぁ、という作品ばかりで、
江夏の21球はよかったが、
それ以上に、本書のタイトルにもなっている、スローカーブを、もう一球もよかった。
高校野球という一瞬のドラマの中にある、悲哀のようなものを感じて、
涙が出そうな、哀しい清々しさを感じた。
投げろよ、スローカーブを、さ。
“キャッチャーの宮下がサインを送ったわけだった。
川端はその指先を見た。その指の形はこういっている-《スローカーブを、もう一球》
川端俊介は、微笑んだ。”
投稿元:
レビューを見る
【本の内容】
たったの一球が、一瞬が、人生を変えてしまうことはあるのだろうか。
一度だけ打ったホームラン、九回裏の封じ込め。「ゲーム」―なんと面白い言葉だろう。
人生がゲームのようなものなのか、ゲームが人生の縮図なのか。
駆け引きと疲労の中、ドラマは突然始まり、時間は濃密に急回転する。勝つ者がいれば、負ける者がいる。
競技だけに邁進し、限界を超えようとするアスリートたちを活写した、不朽のスポーツ・ノンフィクション。
[ 目次 ]
八月のカクテル光線
江夏の21球
たった一人のオリンピック
背番号94
ザ・シティ・ボクサー
ジムナジウムのスーパーマン
スローカーブを、もう一球
ポール・ヴォルター
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
大学生以来2回目。前回読んだ時にはなかった味わい深さを感じた。
ステージの高さとか、才能の多寡とか、享楽的とか、献身的とか、主人公たちの境遇とスタンスの違いを超えて、『ああ、スポーツって全部最高だな』って思った。
今の自分は誰のスタンスに近いんだろう?
投稿元:
レビューを見る
山際淳司さんも「パック・イン・ミュージック」を聞いていたのかもしれない。本書に収録された「たった一人のオリンピック」を読んでそう思った。野沢那智&白石冬美の深夜放送「パック・イン・ミュージック」で「ボートの津田」が話題を呼んでいた頃、よく聞いていた。津田選手はある日突然、「オリンピック選手になろう」と決意して実際にボートのシングル・スカル日本代表になってしまった。恐らく津田選手の友人の投書が発端だったのだろうが、津田選手の話題は断続的に続いた。よほど運と才能に恵まれた人なのだろうな、と当時は思っていた。
本書を読んで、それが誤解であったことが分かった。いくら競技人口の少ないボートでも、いくら体格に恵まれていても、それだけでオリンピック選手になれるはずはないのだ。津田選手はアルバイトをしながら20代の後半をボートの練習に捧げる。念願のオリンピックの代表になるが、モスクワオリンピックへの参加を日本政府はボイコットしてしまう。
有名な「江夏の21球」をはじめ8編のスポーツノンフィクションを収録してある。表題作の「スローカーブを、もう一球」は進学校の群馬県立高崎高校が関東大会を勝ち進んで、センバツ甲子園大会に出場する話。甲子園出場なんて予算も考えもなかった高校の奮闘は高橋秀実「弱くても勝てます」を彷彿させる。いや、「弱くても勝てます」にはこの作品の影響があるのではないかと思えてくる。バッティング投手を取り上げた「背番号94」、小柄な棒高跳び選手を描く「ポール・ヴォルター」もしみじみと心に残る。
「ポール・ヴォルター」の中で山際さんはこう書いている。
----------以下引用-------------------------------
ふと思い出した台詞がある。
ヘミングウェイが、ある短編小説の中でこんな風にいっているのだ。
「スポーツは公明正大に勝つことを教えてくれるし、またスポーツは威厳をもって負けることも教えてくれるのだ。
要するに……」
といって、彼は続けていう。
「スポーツはすべてのことを、つまり、人生ってやつを教えてくれるんだ」
悪くはない台詞だ。
---------引用ここまで------------------------------
「競馬は人生の比喩だ」と言った人がいる(寺山修司だったかなと思って調べたら、正確には「競馬が人生の比喩なのではない。人生が競馬の比喩なのだ」だった)。競馬に限らず、スポーツは人生の比喩なのだろう。山際さんのノンフィクションはそれに加えて選手の人生の断面を鮮やかに切り取っている。30年以上前の作品だが、まったく古びていない。それどころか、今も輝きを放っている。当然のことながら、社会風俗は古びても人の考え方は古びないのだ。