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電子書籍
アメリカの論理(新潮新書)
著者 吉崎達彦 (著)
なぜアメリカはイラク攻撃にこだわったのか。石油利権? 軍事産業の暗躍? そんな陰謀史観は全部ウソ。9・11以降のブッシュ政権内の力学を丹念に追えば、謎はすべて解けてくる。...
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アメリカの論理 (新潮新書)
商品説明
なぜアメリカはイラク攻撃にこだわったのか。石油利権? 軍事産業の暗躍? そんな陰謀史観は全部ウソ。9・11以降のブッシュ政権内の力学を丹念に追えば、謎はすべて解けてくる。新世代のアメリカ・ウォッチャーによる、目からウロコが落ちるアメリカ分析。
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紙の本
ブッシュ政権はなぜイラクに対して戦争を仕掛けたか:日本人のためのわかりやすい米国外交「入門書」
2003/04/20 15:34
2人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:烟霞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
イラク戦争に向けた米ブッシュ政権のやり方に疑問を持ち、あるいは反対している人々は日本にも多い。しかし、そのような人々がなぜブッシュ政権があのような行動をとったのか、十分理解しているとはいえない。単純に、ブッシュ大統領を含めた政権関係者の石油等に関する利権の確保のため、という(もっともらしいが根拠が示せない)「憶測」を正しいと信じている人は結構多いように思う。
しかし、ブッシュ政権に対する支持は米国内でかなり高い。日本のメディアは世界の世論を映し出すときに、(無意識にそちらに共感を覚えるせいか)反戦的・反米的な見解を取り上げがちであるが、米国民の圧倒的な支持があることが米国の対イラク戦争の欠かせない要素になっているはずである。「石油利権」ですべてを説明しようというのは無理がある。なぜブッシュ政権がイラクに対して戦争という手段に訴えたのかをまずきちんと客観的に理解することが、日本外交を考えていくうえで必要はずだが、日本のメディアや一般の人々は、自らの一面的な見方ばかりにとらわれていて、しかもそのことを自覚できずにいる。不幸なことだ。
その意味で、最近の米ブッシュ共和党政権関係者の主に外交に関する考え方と政権内での動向を、イラク戦争を中心に据え、事実をおさえながら、一般向けに非常にわかりやすく説明した本書には意義がある。特に、日本のメディアでも最近よく取り上げられるようになったが、ブッシュ政権の外交を主導しているといわれる「ネオ・コン(ネオ・コンザーバティブ、新保守主義)」の議論、中でも政権内に多くのメンバーを抱えるシンクタンク「PNAC」の議論を一般に紹介しているのはタイムリーである。また、ネオ・コン勢力に対抗するパウエル国務長官などの動きも要領よく描いている本書を読むと、政権内でもネオ・コンは必ずしも優勢であるわけでもないようだが。
本書は、内容にさほどの深みはないが、時宜を得た米国外交の入門書である。ただし、なぜ、この種の外交思想を持ったブッシュ政権が米国で誕生したのか、その背景となった米国の事情は何か、といった点に言及がなされていないのが物足りないところである。また、最終章である第9章「ナイーブな帝国の行方」は歴史を振り返っての米国外交の性格を書いたものだが、本当はこれで一冊の本が書けるほどの事項のはずで、本書の記述はあまりに単純にすぎるし、情緒的だ。「アメリカ外交の歴史の中で、対日外交はユニークな地位を占めているといえる」(175ページ)という点も本書を読む限りはよく理解できない。
いずれにせよ、本書のようなアプローチは、世界最強の国、そして日本の同盟国である米国について、常に行われてしかるべきものである。日本は米国については経済状況への関心は高いが、こと政治に関してきちんとフォローし分析することが少ないように思う。こうした点で本書が日本の多くの人に読まれることを期待したい。