サザエさんと株価の関係―行動ファイナンス入門―(新潮新書)
著者 吉野貴晶 (著)
「『サザエさん』の視聴率が上がると株価は下がる」「イヌの人気が高まると株価も上がる」「観覧車が増えると地域経済は活性化する」「不景気に強いのは音楽よりも映画」……経済の分...
サザエさんと株価の関係―行動ファイナンス入門―(新潮新書)
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商品説明
「『サザエさん』の視聴率が上がると株価は下がる」「イヌの人気が高まると株価も上がる」「観覧車が増えると地域経済は活性化する」「不景気に強いのは音楽よりも映画」……経済の分析に人間の心理、行動をファクターとして取り入れた「行動ファイナンス」。その手法をもとに大和総研チーフクオンツアナリストが意外な法則の数々を明らかにする。投資家はもちろん、経済オンチにも楽しめる行動ファイナンス入門。
著者紹介
吉野貴晶 (著)
- 略歴
- 1965年埼玉県生まれ。筑波大学大学院修士課程ビジネス科学研究科修了。大和総研投資戦略部次長、チーフクオンツアナリスト。
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身近な情報から一ひねりして投資に活かす
2008/02/19 00:48
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
経済を動かしているのは人間。個々の人間の感情が大衆レベルで共有されると市場に影響が現れる。サブタイトルの「行動ファイナンス」とはこのような経済学と心理学を結びつけたものである。人間の選択は合理的なものばかりではないようで、それがこの学問のテーマの一つである。その選択は気分によっても左右され、天候や体調も気分を左右する。
本書は行動ファイナンスをテーマとした13の身近な話題から構成されている。様々なデータから株価との関係を導き出して見せてくれている。
まず、タイトルの「サザエさん」が株価とどういう関係にあるのか疑問に思うだろう。それは「サザエさん」の視聴率から景気を判断できる、という点にある(第1話)。休日の夕方に視聴率が高いということは在宅率が高いことを示し、景気には決してよい効果をもたらさないということになるわけだ。ただ、これが投資判断に活かせるかというと疑問である。
本書で取り上げた話題のうち投資に活かせそうかなと思ったのは、均等推進企業表彰企業、ディスクロージャー表彰企業、クールビズ賛同企業などイメージアップにつながった企業への株式投資。また、オリンピック関連銘柄も期待できる(今年2008年は五輪イヤーだし)。宝くじ販売額が翌年の株価と連動(先行)するというのも分かりやすい。
しかし、これらの情報は公にされるため、それを知った全ての投資家が同じ行動を取るだろうから、買うタイミングを少しでも逃したらうまみはなくなる。従って、本書の内容は考え方のヒントにはなったが、そのまま使えるわけではないというのが結論となる。
「あとがき」では「一般投資家は機関投資家に比べれば情報収集にかける時間やお金の費やし方の点で圧倒的に不利」だから、「同じフィールドで争わず身近で得られる情報を活用するのがいい」と言う。確かにそうかも知れない。しかしそこには独自の分析が必要になるから、その統計的な分析方法をもう少し分かり易く教えて欲しいものだ。本書はそこまでは踏み込めていない。定量的な分析がなければ何となく直感で投資することになり、なんらバクチと変わらなくなる。