年とったなあ、俺も。
2005/08/22 17:18
15人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
筆者の吉崎さんと同世代の私としては、ここに描かれているすべてがつい昨日のことのようなのである。それが何時の間にか20年も前の大昔のことになってしまった。なんというか「浦島太郎」になった気分でっせ。筑波科学万博、「金魂巻」のヒット、新人類、御巣高山にJAL123便墜落、「金曜日の妻たちへ」のヒット...それにしても最後の阪神優勝のくだりは余計だったなあ。結局、バースの、掛布の、岡田の三連発ホームランのことだけが書きたくて、わざわざ振り返りたくもない1985年を振り返ったんじゃないか、と思えてくる。評者のこの邪推は、おそらく「図星」だろう。巨人ファンの私は常々、巨人が弱くなることと日本経済の衰退、犯罪増加率には正比例の関係があると主張している。巨人の衰退と日本社会の乱れは表裏一体の関係にあることは既に様々なデータによって証明された歴然たる事実だ。そのことを振り返らずに、なにが三連発だ。なにがバースの打率だ。そんなことだから日本はダメになったんだ。強い巨人無くして正しい青少年の育成は至難である。教育水準の向上もおそらく不可能である。正しいものが正しくかつ姿を毎日見て、青少年の心ははじめて健やかに育つ。巨人こそは日本のベストアンドブライテストであり、国家の柱石にして礎。視野狭窄な地方の住人に世界の広さを伝える伝道師。「巨人の星」で、あの金田正一は言い放っている。「大リーグのスターも、日本人と同じ5本の指で野球をやっているんだ。貴様らだって、鍛錬を積めば大リーグの連中と五分の闘いが出来るんだ!」この言葉があったからこそ、野茂が育ち、松井が育ったんである。巨人の再建無くして日本の再建はありえない!なんだか話がそれてしまったんで、今日はこのへんで。
私はある程度楽しみながら読みましたが、万人に薦められる書ではないこともまた確か
2005/11/23 23:02
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:yukkiebeer - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者は1960年生まれのエコノミスト。今から20年前の1985年の世相を、政治や経済、消費文化の側面から切り取って見せた一冊です。
当時の著者は社会人2年目。私も22歳で就職活動中の頃です。あの若き日々を懐かしく振り返る書といえます。中曽根政権下のプラザ合意、科学技術の進歩を信じたつくば博、食うために生きることが許されるようなグルメブームなどなど、自らが体験したあの頃を、まるで古いアルバムを本棚の奥から引っ張り出してきて紐解くように、心くすぐられる思いと共に読みました。
つまりこの書は全くもって懐古趣味に彩られた書であり、何か新しい発見に出逢えるような本ではありませんでした。「1985年が現代史の中でどういう意味を持っていたか、あるいは日本はそこでどうすべきであったかといった議論には、筆者はあまり関心がない」(4頁)と臆面もなく記すように、著者自身はこの年を「掛け値なしに面白い年」だから選んだに過ぎません。
確かにプラザ合意はバブルの膨張とその破裂の端緒となったともいえる出来事であるといえますが、その事実は大抵の社会人には常識の範囲であり、本書の記述も目新しいものはありません。
あるひとつの年が日本の分水嶺たりえたということを興味深い形で示した書に「1940年体制」(野口 悠紀雄 著/東洋経済新報社)がありますが、あの類いを期待すると肩透かしを食うでしょう。
それでも私は、本書「1985年」をやはり楽しく読んだというのが正直なところです。長い学校生活を経て、いよいよ社会へと足を踏み出す直前のあの頃を振り返り、未熟で不安と焦燥を抱えながらも、将来に何か根拠のない自信と希望をもっていた自分を慕わしく思い返す体験は、やはり悪くはないものでしたから。
投稿元:
レビューを見る
1985年と2005年の違いはあまりない。
この本がそう教えてくれた。
20年の間には変化はあれど、また戻ってきた。
政治経済のみならず、文化も書かれているので、読みやすい。
投稿元:
レビューを見る
私は小学校6年生。
色々なことが世界ではありましたが、私にとっても色々なことがありました。なんだかとても小学校時代が懐かしくなりました。杉並区立和田小学校はまだあるのかな?冷戦終結に向けてゴルビーが登場したり、つくば万博があったり、日航機墜落事故があったり、阪神が優勝したり、NTT民営化されたりと本当に盛りだくさんです。
シンガポールからのフライトで読了。
投稿元:
レビューを見る
戦後日本のたどりついた「坂の上の雲」が1985年という年だったとする。プラザ合意、ゴルバチョフの登場、米ソ首脳会談、田中角栄脳梗塞、つくば博、スーパーマリオ、NTTの誕生、全員集合の終了、ニュースステーションの開始、阪神優勝、日航機御巣鷹山墜落・・・・と、確かにおおっ、こんなことが、という出来事が起こっているのである。
投稿元:
レビューを見る
[ 内容 ]
右肩上がりの発展を続ける戦後日本がたどり着いた「坂の上の雲」。
それが1985年という年だった。
プラザ合意、米ソ首脳会談、NTTの誕生…この年を境に日本と世界は確実に姿を変えていく。
阪神優勝、日航機墜落事故を始め、忘れがたい出来事もたくさんあった。
「過去」と言い切るには新しく、「現在」と言うには時間が経ちすぎた時代の記憶は、妙に苦くて懐かしい。
愛惜の念と共に振り返る、「あの頃」の姿。
[ 目次 ]
第1章 政治-中曽根政治とプラザ合意
第2章 経済-いまだ眩しき「午後2時の太陽」
第3章 世界-レーガンとゴルバチョフの出会い
第4章 技術-つくば博とニューメディア
第5章 消費-「おいしい生活」が始まった
第6章 社会-『金妻』と『ひょうきん族』の時代
第7章 事件-3つのサプライズ
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
投稿元:
レビューを見る
自分が生まれた80年代とはどんな時代であったのか。そんな興味で手に取った一冊。
丁度この頃はプラザ合意もあって急速に円高が進み、バブル景気に浮足立つ頃なんだけれど……このご時世にあって、「超」円高にある日本(もっとも、ドルやユーロが勝手に崩れていっただけなんだけれども)。無駄な公共事業はナンセンスだけれど、必要な整備や投資、債務の返済……とか、嘆くだけじゃなくて、うまく円高を利用しようって考えにはならないのだろうか、なんてことも考えさせられた。
ちなみに『1●84』と取り間違えたとか、まさかそんな理由で読むことになったわけではありませんよ、念のため(笑)
投稿元:
レビューを見る
以前映画で「1984」というのを見た覚えがあります、あれは1960年代頃に1984年の未来をイメージしたものだと記憶していますが、この本は、これが書かれた当時(2005年)から20年前を振り返った本です。10年経てばもう別世界と思えるような変化の激しい時代なので、20年前を改めて振り返ってみると別の時代のような気分になりました。
1985年に私は大学3年生で、記憶にある勉強関連のことは、専門課程になって実験レポートだけは必死にやっていたことです。祖母にモニター(それも10行表示可能)付のワープロ(NEC文豪ミニ7)を買ってもらい、今では5000冊を超えている本のデータベースを作り始めたのを思い出しました。
コンピュータは友達の下宿にあるNEC 98シリーズでゲームをするのが専らで、プログラムを書いている友達を不思議な目で見ていたのを覚えています。
この本はそんな頃にタイムスリップさせてくれる懐かしさを感じされてくれた本でした。
以下は気になったポイントです。
・日本の国運の40年周期説によれば、1)1868-1904:明治維新から日露戦争(上り)、2)1945年まで:第二次世界大戦(下り)、3)1985年まで:プラザ合意(上り)、4)2025年まで?:バブル経済から将来(下り)(p12)
・1950年から35年間で、GNPは80倍、一人当たり所得は50倍、輸出は140倍、輸入は90倍となり、現在の中国成長の比ではない(p15)
・田中派内に「創成会」が立ち上げられる、竹下登や、幹事長の金丸信、後に竹下派七奉行と言われる、小沢一郎・小渕惠三・梶山静六・橋本龍太郎・羽田孜・渡部恒三等を始めとして40人が参加した(p23)
・1985年は中曽根政権が田中派支配のくびきを逃れて自前の政治課題を追い求めることが可能になった分岐点であった(p25)
・3月10日に青函トンネル開通、3月14日には上越・東北新幹線の上野ー大宮開通、6月8日には大鳴門橋開通、10月2日には関越自動車道の全線開通、幕張メッセ・横浜みなとみらい21は建設中(p31)
・GNPよりもGDPのほうが実態に即した指標として定着するのは1990年代後半(p40)
・4月には国民年金法の改正が成立、それまでの縦割り制度体系から、サラリーマンとその妻も国民年金への加入が義務付けられた、1・2・3号の分け方ができたのはこの時(p43)
・1985年末の外貨準備高は279億ドル、2005年5月末は8425億ドル(p49)
・20年前の日本人は貧乏だったが、若くて一億総中流、未来は明るかった、今はリッチだが高齢化、不平等、閉塞感あり、国民が保有する資産が少なかったので中流意識を可能にしていた(p61)
・1985年5月に西ドイツ(ボン)で行われたサミットにはカリスマ政治家が勢ぞろいした、アジア各国の指導者も同様(p68、71)
・ソ連経済が急速に悪化したのは、サウジの石油価格下落の決定がある、これはソ連にとっては「逆オイルショック」ともいえる大事件(p77、79)
・米ソ両方に強いリーダーが登場し相互を信頼し合ったので冷戦終了を可能にした、ソ連はレーガンが掲げていたSDI(���ターウォーズ計画)をする余裕はなかった(p87)
・1960年頃に生まれた人にとって「万博」は大阪だが、団塊ジュニア以降の人にとっては「つくば」が万博となる、動員人数が6421万人、当時の人口1億人とすると凄いイベント(p101)
・大阪万博が描いたのは遠い未来の絵空事、つくば博はかなり現実的な近未来に焦点を合わせた、日本企業が力を蓄えたから(p107)
・携帯電話という言葉が誕生するのは1987年、電電公社が民営化したものも1985年、それまでの最大企業の日立、東京電力、トヨタ自動車等と比べて遜色ない規模(p111)
・テレホンカードの成功は、死蔵されるプリペイドカードの販売により殆ど紙幣を発行するようなうまみのある商売となった、これは多くの追随者がでる(p113)
・ファミコンは8ビットCPUの家庭用ゲーム機であったが、2003年に生産中止となるまで全世界で6200万台の販売を記録した(p117)
・電子レンジ、ルームエアコン、VTRの普及はまだ途上、衛星放送・デジカメ・DVD・CDプレーヤー・パソコン・FAX・携帯電話はヒット商品として入っていない(p132)
・当時の売れ筋の車はほとんどが5ナンバー、RX-7、7thスカイライン、サニー、アルシオーネ、4thセリカ(FRからFFへ)、カリーナED(p136)
・イギリス人は住居や庭の手入れにお金をかける、ドイツ人は家具や車、イタリア人はファッション、日本人は「食べること」(149)
・当時は歌謡曲が世代を超えてヒットした、2000年以降は、中島みゆき「地上の星」、マツケンサンバ2程度(p158)
・金妻がTBSドラマで成功した一方で、看板番組であった「8時だヨ!全員集合」が最終回となった、阪神優勝と同日、フジテレビの裏番組「オレたちひょうきん族」に抜かれた(p169)
・週休二日制が普及するにつれて、土曜の夜のチャンネル権はお父さんに戻ってきた、雀荘は1978年の9500をピークに1990年には5000件程度、原因として土曜の半ドンがなくなった、以前のサラリーマンは土曜の午後は社員が一緒に遊ぶというライフスタイルがあった(p175)
・週休二日制の普及は大企業で当時5割、官庁・金融機関は1990年2月から(p175)
・8月13日に日航機墜落の事故と同じ日に、三光汽船の倒産により河本特命相の辞表提出、空の大参事と海の大型倒産が同じ日に訪れた(p186)
・三光汽船は1963年に施行された法律に基づく集約体制を拒否して、株で資金調達して船を増やした(p188)
2012年10月7日作成
投稿元:
レビューを見る
自分用キーワード
(日本の国運における)40年周期説 空白の10年 全米自動車労組(1983)(日本車が輸入された事で職を失い、ハンマーで日本車を叩き壊した) 輸入品生かしてわが家も国際化 前川レポート アジアの虎 87年10月(ブラックマンデー) 地上げ屋(バブル期) 総理府『国民生活に関する世論調査(1985)』(国民の半数が自分達を中流であると認識し、満足した生活を送っていると回答。但し、朝日新聞はアンケートに寄せられた「中流のイメージ」を述べた後で同様の質問をしたところ、自分が中流であると回答したのは23%となった。) マル金・マルビ 豊田商事事件 渡辺淳一(時代に応じて作品の雰囲気だけでなく、登場人物も歳をとっていく) ウィリアム・ギブソン(サイバーパンクというSFのジャンルを切り開いた) つくば万博 谷間の世代 カエルコール おいしい生活(生活していく上で必要なものは揃い、生活を味わうしかないという、消費の新局面を描き、おいしいと感じる物を提供していこうというキャッチコピー) 恋におちて~Fall in love~ 御巣鷹山(日航ジャンボ機墜落事件) 森下玲子(前事件の生存者)「暁の里」 三光汽船の倒産 ランディ・バース(阪神を支えた選手。王貞治の記録を塗り替えるかと思われたが、四球攻めにあってしまった)
投稿元:
レビューを見る
エコノミストである著者による一冊。
今から約30年前(本書発行だと約20年前)である1985年の世の中を振り返る。
政治、経済、世界、技術、消費、社会、事件、と章を分け、それぞれどのような出来事があったかが書かれている。
例えば、プラザ合意、ゴルバチョフ、ファミコン、日航機墜落、NTT発足、など。
著者自身の郷愁を挟みつつ当時をありのままに示した内容と感じた。各章での話題はきっちり分かれており、ありがちな、世の中全体に単一の軸を見出そうといった書かれ方はない。1985年を「解き明かす」本ではなく「振り返る」本である。
1985年は、高度経済成長から一息を付き、バブルを迎えようという狭間にある1年。私自身は物心が付くか付かないかの年齢であり、具体的な記憶や思い出はなかったものの、本書の締めにある「やっぱりいい時代だった」という言葉には同意を感じることができた。
投稿元:
レビューを見る
「1985年」という一年を政治・経済・世界・技術・消費・社会・事件というカテゴリーでそれぞれのトピックを中心にその時代の空気を伝える本書。
本の内容紹介では「右肩上がりの発展を続ける戦後日本がたどり着いた「坂の上の雲」。それが1985年という年だった。プラザ合意、米ソ首脳会談、NTTの誕生……この年を境に日本と世界は確実に姿を変えていく。」とあるが、1985年、この年のボクはこれまでの男女共学のバラ色の学園生活から男子校黒一色の学ランの軍団の違和感に、自らおバカなことして現実逃避を図るしか己の理性を保てない世界に属していたのだ。
そんな85年は21世紀はまだまだ未来の夢に満ちあふれた世界であり、つくば科学博はたしかに未来にあこがれハァ〜ハァ〜している田舎の高校生にはそらぁ〜まぶしい世界だったことを久々に思いだしたのである。あまりにハァ〜ハァ〜しすぎて3回訪れた記憶がある。
そんな現世から乖離したおバカな高校生であっても、本書を読み進めるとあぁ〜たしかにそういうこともあったよな、本当は大変な時代に生きていたのね。そんな時代に育てて頂いた御尊父様ご母堂様に感謝感謝と頭を垂れる一冊である。
投稿元:
レビューを見る
大学を卒業し、就職したのが1984年(昭和59年)だった。
1985年は社会人2年目で、東京でヒトル暮らし。仕事の面白さも少しは分かるようになってきた頃か。
あんなこともあった、こんなこともあったと色々思い出す。
一番印象的なのは、やはり「オレたちひょうきん族」か。
(すいません、レビューになっていなくて・・・)
投稿元:
レビューを見る
阪神優勝。ファミコン、金妻、ひょうきん族。レーガンとゴルビー。ブレードランナー。パソコン通信、美味しんぼ。全く印象のないつくば博。御巣鷹山。あだ花だったのだろうか。ただし、超高齢化の進展を政府が認識していたらしい。それなら、無為無策のまま推移した、以降の自民党政権担当者は、その舵取りの責任をどう取ってくれるのか?
投稿元:
レビューを見る
『1985年』。。。題名だけを見ると、ジョージ・オーウェルのディストピア小説『一九八四年』を思い出してしまうが、本書は、まさに“1985年”という年の出来事を回顧したノンフィクションである。
著者の吉崎達彦は1960年生まれで、双日総合研究所副所長(当時)。本書の発行は2005年である。
私は、1985年当時、地方都市から東京に出てきて、田中康夫氏の『なんとなく、クリスタル』(1980年に発表され、80年代の都会の若者のライフスタイルに大きな影響を与えたと思うのだが、本書には一切登場しない)などを読みながら、大学生活を謳歌していた。
今にして思うと、1985年は、著者が冒頭で語っているように、日本にとって1945年の終戦に始まった40年に亘る「上り坂」のピークの年であり(80年代後半に訪れたバブル期は、その後に咲いたあだ花のようなものであった)、それを象徴するかのように、プラザ合意(1ドル=240円台だった円相場が、その後3年かけて120円台まで上昇した)、ゴルバチョフの登場(1989年にベルリンの壁が崩壊し、東西冷戦を終結させることになる)、科学万博-つくば’85の開催、電電公社の民営化・NTTの誕生、ファミコンのスーパーマリオブラザーズの発売、ミノルタα‐7000の登場、CDプレーヤーの普及、ハーゲンダッツの流行、美味しんぼのヒット、ドラマ『金曜日の妻たちへⅢ』と小林明子の主題歌「恋におちて」のヒット、阪神タイガースの21年振りの優勝などの出来事があったのだ。(日航機の御巣鷹山への墜落事故も本年)
本書で著者は、それらの出来事の歴史的な意義や反省などには全く言及していない。
しかし、最後にこう言うのだ。「人は、無性に過去を懐かしみたくなることがある。どうでもいいこと、忘れていて当たり前のことが、妙にいとおしく思えるものだ。無理もない。未来などというあやふやなものに比べれば、過去ははるかに確かである。それが楽しい記憶であったとすればなおさらである。1985年は、日本人にとってかなりいい年であったように思える。だとしたら、そんな記憶を持つわれわれは、きっと幸福であるはずだ。思うに懐かしむことのできる時代を持つことは、人として最高のぜいたくではないだろうか。」
同感と言わざるを得まい。
(2018年9月了)
投稿元:
レビューを見る
約20年前に、約40年前を振り返った作品。
「思うに懐かしむことのできる時代を持つことは、人として最高なぜいたくではないだろか。」と説く著者にとって、1985年はまさにそのような時代なのだろう。
「予想外だったことは3点ある。・・・かくして1990年代になって、日本は低成長、低金利、低出世率の社会となった。」と指摘するが、この傾向が本書刊行の時代からなんと20年も続いたことになる。近年、インフレ傾向となり、この3点の中で、デフレ・低金からの脱却が本格化するか、そして賃上げから成長に繋げることができるか。
本書で言及がないものとしては、例えば、SNS、Kポップ、暗号資産。1985年はGAFAなどない時代で、アメリカ製品で日本人が買いたいものはない、という描写に、今との大きな違いを感じる