- 販売開始日: 2012/11/01
- 出版社: 新潮社
- ISBN:978-4-10-112204-5
孤高の人(下)
著者 新田次郎 (著)
いかなる場合でも脱出路を計算に入れた周到な計画のもとに単独行動する文太郎が初めてパーティを組んだのは昭和11年の厳冬であった。家庭をもって山行きをやめようとしていた彼は友...
孤高の人(下)
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商品説明
いかなる場合でも脱出路を計算に入れた周到な計画のもとに単独行動する文太郎が初めてパーティを組んだのは昭和11年の厳冬であった。家庭をもって山行きをやめようとしていた彼は友人の願いを入れるが、無謀な計画にひきずられ、吹雪の北鎌尾根に消息を断つ。日本登山界に不滅の足跡を遺した文太郎の生涯を通じ“なぜ山に登るのか”の問いに鋭く迫った山岳小説屈指の力作である。
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登山の原点
2008/12/23 09:10
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ベストビジネス書評 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まさに登山の原点だろう。現在のように、いたずらに百名山踏破などと有名な山ばかり登っていても山のよさはわからないのかもしれない。六甲を縦横無尽に歩き回る加藤文太郎。山の道具、食料を自分で工夫し厳冬期の冬山に挑む。リュックサックに岩をかついで通勤する姿は山男の真の姿であろう。ほんものの山男のバイブルである。
作家の倫理とは
2016/09/25 00:14
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:十楽水 - この投稿者のレビュー一覧を見る
偉大な登山家はなぜ生還できなかったのか。悲劇はなぜもたらされたのか。
その原因を、新田次郎は加藤本人に求めず、経験も力量も足りないパートナーによって死へと引きずりおろされた描き切りました。宮内を悪者にすることで、天才の死は避けられないものにできます。有能で判断力もある「正しい」加藤が、あらがえず、巻き込まれて北鎌に散る姿は、それは泣けるものした。悲劇作品としてよく描かれています。
しかし、これは事実を題材にした作品。新田は宮村のモデルになった吉田登美久氏の遺族の事など、なにも考えていなかったのでしょうか。その鈍感さに驚かされます。真実の吉田氏は、加藤の手記にあるように岩登りの力量にたけており、初めてパートナーを組んだ山行では加藤をリードしたこともあったというのに。北鎌で初めてパートナーと組んだというのも事実に反します。都合の悪い所を捨象して、悲劇一本で描き切った姿勢に倫理観の欠如を見ますが、昭和の作家にそんなものを求めるのがお門違い? 総じて言えば、吉田氏を故意におとしめることによって悲劇として完成した作品にすぎません。
加藤を描いた他の作品には「単独行者(谷甲州著)」があります。過度な脚色など無くても、加藤が充分に魅力的な登山家であったことがよくわかります。こちらも読んでほしいものです。