- 販売開始日: 2012/12/07
- 出版社: 講談社
- ISBN:978-4-06-310617-6
虫と歌 市川春子作品集(1)
著者 市川春子 (著)
自分の指から生まれた妹への感情を綴る『星の恋人』。肩を壊した高校球児と成長を続ける“ヒナ”との交流が胸を打つ『日下兄妹』。飛行機事故で遭難した2人の交流を描く『ヴァイオラ...
虫と歌 市川春子作品集(1)
【試し読み増量版】虫と歌 市川春子作品集(1)
商品説明
自分の指から生まれた妹への感情を綴る『星の恋人』。肩を壊した高校球児と成長を続ける“ヒナ”との交流が胸を打つ『日下兄妹』。飛行機事故で遭難した2人の交流を描く『ヴァイオライト』。そして、衝撃の四季大賞受賞作『虫と歌』。深くてフシギ、珠玉の4編を収録。
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書店員レビュー
優しくて静か、でも少...
ジュンク堂書店広島駅前店さん
優しくて静か、でも少しだけ残酷な4つの短編が入っています。
作品全体に独特な雰囲気があり、人と人ではないものとの繋がりが軽やかに描かれています。
絵もかわいらしくつい何度も読み返してしまいました。
私の個人的なお勧めは「日下兄妹」です!
コミック担当
「幽し(かそけし)」...
ジュンク堂書店三宮駅前店さん
「幽し(かそけし)」という言葉がある。
かすかであるとか、淡い、という意味の言葉だが、最初にこの作品を読んだときに、ぴったりな言葉だと思った。
少女漫画とも、少年漫画ともつかない絵柄で、ストーリーも、強烈な盛り上がりがあるわけでもない。
でも、淡く、かすかに、ひたひたと胸を打つ作品なのだ。
乾いた湿り気
2011/03/10 00:39
14人中、11人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:muneyuki - この投稿者のレビュー一覧を見る
俺が線が細い絵、あんまり好きじゃないのはそこに熱烈な思いの反映を感じられないからです。無論、漫画なんて所詮暇潰しだし、そんな疲れるの読みたくない、ってのも分りますが、せっかく時間使うならちょっと疲れるくらいのを読みたいのが俺。
しかし、書き込みが少ない、線が少ないから、思いが希薄であるというのは早計。
「デフォルメ」は世界を無理矢理シンプルに捕え直し、三次元の模倣では無い、二次元が二次元である事の優位性を探さなくてはならない、逆に知能と感性をフル回転させる作業なのです。
古くはトキワ荘、彼らが生み出した「漫画表現」を流用しつつ、8頭身のキャラが画面を走り回るのが現代の主流漫画表現でしょうか。
頭身は(理想的な)リアルに近いキャラクター達がこぼれ落ちそうな眼や一本線の鼻を装備してるのも変と言えば変。今こそ、ディズニー的、手塚的なデフォルメに立ち返ることで、漫画が漫画たろうとしてもよいんではなかろうか。俺が好きなウエダハジメ、西島大介はそうして立ち返りつつももっと可能性があるんじゃない?とゆるーく挑戦してる感じ。
前置きが長文化しました。
この『虫と歌』って漫画で初めて市川春子さんって人の漫画読みましたが、これはすごい。
頭身はすらっと少女漫画の理想形の如きですが、線のシンプルさが一筆書きかよ、って位簡素。簡素な線は作者の熱を排除して、共感・同情で泣かせることを拒絶し、読者の心にダイレクトにストーリーをぶつけることに成功しています。
内容。
四編の短編からなる本ですが、一貫してテーマは『人外が人を模倣する悲喜劇』。
そもそも模倣という行為はその対象以上には成り得ないという主観的悲劇・客観的喜劇を併せ持つものです。
昔からヒト以外のものがヒトになろうとする物語は世界中の人に愛されるテーマでした。
人魚姫しかり、雪女しかり。
なぜ愛されるか、それは分り易いからだ、と思います。
劇中人物と自分を重ね合わせた時、明らかに自分とは違う点がある。
劇中人物の独力でその違いを越えられない為に、自分の想定する結果とその行為にギャップが生まれ、笑いや涙が生まれるのです。ビートたけしも言ってましたよ、「笑いの源は差別」って。
『人外』にはその明確な自分との差異がある。
この短編集に登場する四人、いや人じゃないんですが、人と数えたい四組は皆自分が人ではない事を自覚しながらも、人を否定せず、人にそっと寄り添う。
テーマはすごく日本的というか、湿度の高い「泣ける」系なんですが、この春子さんの線と描き方はかなり乾いています。人物の心情を解剖学的に、下品に深く切り込んだりせず、あったことだけをサラッと描きだす。だから、喋る事・する事そのものが思想になり、読者の心にスッと沁み込む。読後感も非常に爽やかです。
俺の好きな話は『日下兄妹』。
言ってしまえば、うる星やつらから連綿と続く押しかけヒロインものなんですが、当初は単なる「違和感」が「妹」に成長していく物語。主人公はクーデレ。
「育てる」ってのはきっと誰にでも楽しいもので、その間の苦労を苦労と感じる割合によってその楽しさに個人差が出るものなんだと思いますが、知り、分ろうとし、分り合おうとした時、既に育ち切ってしまっているのが育成の常。
故に別れ。
何で顔も無い「ヒナ」がこんなに可愛く見えるんだろうか。
あちこちに散りばめてある「ギャップ笑い」もドロッとさせないことに一役買ってます。
「ああん やめて ごろうさん こんなところじゃおとうさまに」
「こっちにしなさい」
のやりとりなんか暖かさと同時にニヤリがもうね。
変な漫画じゃないよ。
生きることはさびしいから少しのあいだ一緒に歩きましょう
2016/12/08 22:41
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:休暇旅行 - この投稿者のレビュー一覧を見る
生きることはさびしいから少しのあいだ一緒に歩きましょう、そんな印象を受ける作品でした。
短編集。どれも、人と、人じゃないひととの、交わりの物語です。その交わりはとても深く、愛と呼びたくなるようなものですが、その裏には、人の側の(というよりもはや、作者の、と言いたくなってしまうのですが)、自分は他の人とは交われないという強い思いがあるのではないかという気もします。
だからそこから踏み出す「日下兄妹」が、この作品集の中で(わたしの見聞きしたかぎり、ですが)一番人気なのかもしれません。でも、出発点についていえば、これらの短編がどこまでも、さびしさから出発しているということ、それは記しておきたいと思います。きっとそのほうがこの本が必要な人に届くと思うのです。
鋭い感性、個性的な絵柄。
2017/05/21 01:02
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:色鳥鳥 - この投稿者のレビュー一覧を見る
長編『宝石の国』を読んだあと、あらためて読みかえすと、なぜ普通の家族の話じゃだめなのか、なぜSF的設定が必要なのかが、わかる気がした。傷つき方がみんなと違う。血は流れないし痛覚も鈍い。だけど人を求める、そんな物語だ。
素敵
2015/10/19 13:39
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:☆ακι☆ - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めてすぐに作品に引き込まれました。
そしてするすると私の中に溶け込んできました。
こんな素敵な漫画、誰にも教えないし勧めない。
曖昧な世界
2015/02/05 21:18
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:クロぽん - この投稿者のレビュー一覧を見る
死も生も、動物も植物も、虫も人も境界は曖昧に溶け込んでいます。そもそも境界なんぞは人が勝手に作ったもので、無いも等しいものなのかもしれませんが、そういう世界に人は躊躇してしまいます。
どこまでも曖昧で、穏やかで、そして哀しく残酷な薄明の世界はあまりにも美しく、無駄を省いた画面づくりと相まってじわじわと切なさが込み上げてきます。
星の指
2022/06/30 16:29
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やさし - この投稿者のレビュー一覧を見る
光と影、線とアングル、セリフもモチーフも、どれもすごくきれいに、静かに必要な分だけそこにあるようで、うわー素敵な世界だなあと思った。かわいらしいけど切ないようなハッとさせるような絵。星の恋人ってそういうことか…となるストーリーも、淡々としているけど惹きつけられる。
『宝石の国』へのきっかけ
2022/06/26 05:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いとたま - この投稿者のレビュー一覧を見る
きれいな表紙に一目ぼれして買ったのですが、
読了後、何ともいえない不思議な気持ちになりました。
特に「日下兄妹」の話が好きです。
収録作品の中で一番明るく、希望が感じられたから・・・。
本作をきっかけに『宝石の国』も集め出したのですが、
「星の恋人」の最後のコマなど、つながりを感じます(深読みしすぎ?)。
ところで、p.177の3段目のコマに描かれている風景、どこなんでしょうか。
柔らかい描写と脆く儚いメッセージ性が◎
2016/06/18 01:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オオバロニア - この投稿者のレビュー一覧を見る
円城塔の文庫本の表紙イラストを担当していたことをきっかけに知りました。
収録されている4つの作品すべてが、生命の儚さを描いていて、肉体と生命の柔らかさと脆さが綺麗に表現されていると感じました。
特に、人間と虫という寿命の時間軸が違う生き物を家族という枠で捉えた表題作「虫と歌」がとても良かったです。
描画の天才がなせるマジック
2015/11/26 19:46
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Yossy - この投稿者のレビュー一覧を見る
読後、視覚に訴える作家だなと思った。
市川春子は漫画家だから視覚に訴える云々は勿論なのだけれど、それでも唸らざるを得なかった。
細い線で綴られたふわりとした絵。
夥しいほどのフキダシ。
それらがページ上で渦巻くようにして、彼女独特の世界を作っている。
そして最も着目すべきは黒と白のバランス。
市川春子はその比率を変幻自在に操ることで物語の逆転を行い、突き放し、読む側の皮膚感覚や体感温度を変化させるのだ。
まさしく描画の天才がなせるマジック。
市川春子を女性の漫画家と侮るなかれ。
是非一読をお勧めする。
彼女は高野文子のフォロワーなのか…。市川春子「虫と歌」。
2011/06/15 13:21
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクー - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年度の手塚治虫文化賞で「新生賞」を受けた市川春子のデビューコ
ミック。受賞前から気になっていたのは、彼女が高野文子のフォロワー
みたいな扱いを受けているのをネットで知ったからだ。フォロワーとい
うのは、けっしていい意味には使われない。同時に、そういってしまう
には惜しい、という感想もあった。いずれにしても、高野文子は二人は
いらないし、彼女のような才能はそうそういない。迷いながらも読んで
みた。
表題作など4つの短編が収まっているが、そのうちでは「日下兄妹」
と「虫と歌」がいい。高野文子の影響は確かにある。本の帯には「深く
て、軽やか、新しい才能!」と書いてあるが、深度という意味では高野
には遥かに及ばない。高野は深海まで潜っていけるが、市川はまだ海面
付近でウロウロしている。しかも、息継ぎが浅い。めざすところも微妙
に違うだろう。「日下兄妹」は肩を痛めた投手と突然現れた異形の妹の
話。「虫と歌」は3人兄妹が暮らす家に異形の弟がやって来る話だ。こ
ういった「人間ではないもの」を登場させることでコミュニケーション
を語ることは、ある意味、常道という気がしないではない。ただ、彼ら
の関係が深まっていくプロセスには市川らしさがあって好感が持てる。
どうやら寡作の人のようだが、ちょっと後を追いかけてみたい。まだま
だ変化する可能性がこの人にはありそうだ。次回作を楽しみに待とう。
「ひとのくずとほしのちりの兄妹だ」
2018/12/23 09:38
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:きん☆ぎん☆すなご - この投稿者のレビュー一覧を見る
奇妙な画に奇妙な物語、市川春子の世界観に引き込まれます。どこか完全に理解しきれないところがあって、読み返すごとに新たな発見がある、なんだろうこの中毒感。兄妹が出てくる話が多かったなぁ。
ファンタジー
2020/02/02 17:22
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ワガヤ - この投稿者のレビュー一覧を見る
乾いた感じのファンタジーです。不思議な雰囲気ですが、引き込まれる感じがあります。細い線の絵が特徴的で、物語の世界観と合ってます。