夜の橋
著者 藤沢周平 (著)
博奕に溺れたせいで夫婦別れしたおきくが、半年ぶりに訪ねてきた。再婚話の相談で、もう自分には関係ないと一旦は突き放す民次だったが、相手がまぎれもないやくざ者と分かるや、危険...
夜の橋
商品説明
博奕に溺れたせいで夫婦別れしたおきくが、半年ぶりに訪ねてきた。再婚話の相談で、もう自分には関係ないと一旦は突き放す民次だったが、相手がまぎれもないやくざ者と分かるや、危険を顧みず止めに出る……雪降る江戸深川の夜の橋を舞台に、すれ違う男女の心の機微を哀感こめて描いた表題作ほか、武家物と市井物あわせて全9篇を収録。『暗殺の年輪』で直木賞を受賞し、作家として脂が乗ってきたころの作品群。ひとつひとつが胸に響く“人生の教科書”のような短篇集。
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暗さの残る夜の中に感じられる暁の匂い
2015/11/24 16:32
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投稿者:toku - この投稿者のレビュー一覧を見る
武家ものから市井ものまで、人々の哀歓を描いた短編集。
登場人物の憂いが感じられる作品が多いものの、その結末はさっぱりとしていて、心地よい読後が訪れる。まだ暗さの残る夜の中に、暁の匂いを嗅いだ気がした。
収録された作品の中で気に入っているのは【泣くな、けい】だ。
御納戸奉行配下の相良波十郎が研ぎに出した、藩の宝物の短刀が消えた。
実は、研ぎ終えた短刀を引き取った亡き妻から不倫相手の手に渡り、そこから刀屋に売り飛ばされていたのだ。
逼塞を命じられた波十郎に残された道は、妻からしばしば折檻を受け、波十郎からも手込めにされた女中のけいに、短刀を買った武家から買い戻してきてもらうことだった。
苛酷な仕打ちを受けながらも、相良家のために、短刀を取り戻すべく奔走するけいの姿がきもちよかった。
しかし、けいの受けた仕打ちを許せない人だと、結末は納得いかないと思うかもしれない。